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【本123】『羊と鋼の森』

著者:宮下奈都 出版社:文藝春秋

ピアノの調律師の物語。美しい音が響くたびに澄んだ空気に包まれ森の中にいるような感覚になります。

「大ホールの扉を開けると、気圧まで変わったように感じた。森だ。森にいるみたいだった。」

森で育った外村は、音を森で、森を音で感じながらその美しさを引き出しています。まるで、詩集を読んでいるようにゆったりと物語が流れていきます。

調律師が作り出す繊細な音。こんなにも音が作り出す世界が繊細なものだとは知りませんでした。もっともっと音に触れていたくなる、そんな心地よい小説です。

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