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本のドキュメンタリー

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経営とメディアを中心に、事業戦略、組織戦略、マーケティング、営業、チームビルディング、財務、会計などジェネラリストに必要なビジネス知識を幅広くお届けしていきます。
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#マーケティング

顧客は安心・安眠を買う

会社を長く続けるために重要なことは、経営方針やマーケティング面の意思決定をする際、大口の優良顧客だけでなく、すべての顧客に対して些細なことにまで気を配り続けることだと言えます。いざという時に頼りにできる会社である、どのような顧客にでも力になるためなら喜んで余分の努力をする、という態度は今後のビジネスでさらに差別化につながる、と確信することがありました。 私の知り合いに、書籍のPRをされている黒田剛さんという方がいます。本が売れないと言われる時代に数十万部のベストセラーを何冊

爆発的な拡大のメカニズム

自身のアイデアやプランをいかに他者に伝えればミッションを達成できるのか、と私が悩んだときに読み返すバイブルをご紹介したいと思います。 アメリカのジャーナリストであるマルコム・グラッドウェル氏は、一躍ベストセラーになる現象や口コミの伝播など、社会においてすべてが一気に変化する劇的な瞬間を「ティッピング・ポイント」と呼び、そのメカニズムを豊富な事実をもとに解き明かしています。 私が初めて読んだのは20代後半でテレビ番組のアシスタントをしていた時でしたが、日中は雑用とオペレーシ

SNS発信の心構え

知的生産における「価値ある仕事とは何か?」を問い直し、質の高い「課題」の見極めに意識を向けさせてくれる名著ですね。 マッキンゼーの消費者マーケティングコンサルを経て、Zホールディングスのシニアストラテジストをされている安宅さんは、 「イシュー」= 自分の置かれた局面で、問題に答えを出す必要性の高さ と定義され、時間の限られるビジネスパーソンは、まずイシュー度の高い問題に絞るべきと強調されています。 そして、生産性を高める手法として、 ・「一次情報」を死守する ・強引

「個客」と長く寄り添う

デジタルがビジネスのあり方から購買スタイルまで変化をもたらす中、「個人」を深く理解して長期の関係性を築くことが重要になっていますね。 花王の元デジタル・マーケターの本間さんは、大量生産・大量販売・売上拡大から転換し、個人ベースでニーズをくみ取り相応しいサービスを提供する「シングル&シンプルマーケティング」というコンセプトをこれからの基本戦略として提唱されていました。 具体的には、下記の変化が求められているといいます。 ・どこで顧客を探すか→どれだけ継続的に必要な手を差し

アイデアの競争に勝つ

変化の激しい時代となり、問題そのものの定義や発見が難しくなる中、いかに競争力のあるアウトプットを生み出せるかという「感性思考」が学べる1冊でした。 世界のビジネスエリートが殺到するデザインスクールのプログラムを書籍化したもので、優れたアイデアを生む「デザインリサーチ」の手法が紹介されていました。 ▼デザインスクール流「3つのS」 ・Structuralize(構造化する) ・Simplify(単純化する) ・Storytelling(ストーリー化する) ▼インプットの「

ビジネスの一等地

企業寿命が30年から半分になると予測され、誰もが職を3〜4回変える時代になると言われていますね。 そんな不確実な未来を生き残る知恵として、リクルート史上最年少で執行役員となったKaizen Platformの須藤さんは、2つのステップを紹介されていました。 1)世界を違った角度から見つめ、他人が気づいていない規則性や法則に気づく 2)その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入する そして、マーケティングを実践するなかで発見したのが、インパクトが最も大きいのは「プレ

独自の課題解決法

変化が激しく正解がない時代と言われる中、誰もが自ら課題を発見し、自分で考えて解決することが求められていますが、その代表とも言える「起業家」の思考法が言語化された本でした。 「生活機会の最大化」を目指す株式会社じげんCEOの平尾さんは、起業家の思考法にある5つの力として「発見力」「別解力」「実現力」「失敗力」「成長力」をあげ、中でも最も重要なのが「別解力」だといいます。 ・自分らしいやり方 ・優れたやり方 ・別のやり方 という3つのやり方を組み合わせる「別解」を実行したと

広告宣伝費をゼロにする

プロセスに価値を持たせるためにストーリーを語り、こだわりや哲学を示すことは、いまや多くの産業に浸透しつつありますね。 この本では、なぜプロセスに価値が出るのか、いかに実装するかが書かれていますが、私が特に好きなのが、Zappos.com のエピソードです。 1999年の創業からわずか9年で年間売上10億ドルを達成したというこの企業は、 「私たちは、たまたま靴を扱っているホスピタリティ・サービス企業であり、皆さんにWow!を届けます」 という想いを打ち出しています。

普遍の法則のデジタル化

昔から読み継がれる名著はいかにデジタル化できるか、書棚から引っ張り出して最近よく考えます。 この本では「一番手の法則」「カテゴリーの法則」など22章からなる不変の法則が紹介されていますが、私が個人的に重視しているのは16章の「一撃の法則」と呼ばれるものです。 ビジネス用語に軍事関係のワードが使われるのは有名ですが、 「歴史の教訓によれば、マーケティングにおいて実効を上げうる唯一の行動は、1回きりの、大胆な一撃である」 「成功する将軍というのは、戦場を子細に調査し、敵が