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「個客」と長く寄り添う
デジタルがビジネスのあり方から購買スタイルまで変化をもたらす中、「個人」を深く理解して長期の関係性を築くことが重要になっていますね。
花王の元デジタル・マーケターの本間さんは、大量生産・大量販売・売上拡大から転換し、個人ベースでニーズをくみ取り相応しいサービスを提供する「シングル&シンプルマーケティング」というコンセプトをこれからの基本戦略として提唱されていました。
具体的には、下記の変化が求められているといいます。
・どこで顧客を探すか→どれだけ継続的に必要な手を差し伸べられるか
・4P(製品・流通・価格・宣伝)→1D2P1V(Dialogue対話・Person人・Product製品・Value価値)
・完成品を宣伝する→顧客とともに成長する
・短期の顧客数→特定の顧客との継続性
このマーケティング手法を海外で早くも2015年に取り入れた事例として、「LATAMブラジル航空」が紹介されていました。
機内誌にある仕掛けをしたところ、持ち帰る搭乗者が劇的に増え、広告のエンゲージメント率が高まりました。
その仕掛けとは、搭乗者のFacebookのアカウントに応じて、個客ごとに異なる機内誌を置く、という取り組みでした。
搭乗者の名前を入れ、書き込みやシェアしている内容に合わせてスポーツやビジネスなどの記事を選んで印刷した結果、多くの人がこの機内誌を記念品として持ち帰ったそうです。
個人に深く長く寄り添うために、どのようなデータを集め、そこからどんなコミュニケーションを生み出すか、というルールをつくり実行する人が、今後のデジタル活用では重要になってきそうですね。