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短歌一首 ~ 望郷

故郷を思う
胡馬こばの北風に依る如く
越鳥えっちょう南枝なんしに巣くう如く
 

 中国の『文選』という詩文集のなかに、遠くへ去っていってしまった夫を思う妻の「行行重行行」という詩があります。その中で妻が、「北の国に生まれた馬は、南方に移されても北風に向かって身を寄せ、南の国に生まれた鳥は北方に渡っても南に面した枝を選んで巣作りをすると言います。あなたも私と過ごした故郷を恋しく思っていませんか」と問いかけています。馬や鳥でさえ、自分がやって来た方角を意識する、まして人は・・・。

 「胡馬(こば)」の「胡」は北の国、「越鳥(えっちょう)」の「越」は南の国という意味です。とてもいい詩ですので、ぜひお読みになってください。

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