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短歌一首 ~ 雪まろげ
庭に出て
雪まろげする女童
欲張りすぎて動かなくなる
『源氏物語』の第20帖「朝顔」に、雪が積もった夜、女童(めのわらわ)らが庭に出て「雪まろばし」をする場面があります。「雪まろばし」とは、雪を丸めて転がして雪玉を作る遊びのことです。張り切って転がしたので雪玉が大きくなりすぎ、押しても動かなくなって手こずる様子が描かれています。この歌は、それを題材に作ってみました。歌中の「雪まろげ」は「雪まろばし」と同義です。
物語のこの場面は、私にはとても味わい深く感じられます。女童らが「雪まろばし」をする光景自体まことに趣があるのですが、あくまで背景描写であって、ストーリーの展開にさほど大きな意味を持ってはいません。だから、単に「雪まろばし」をしているというのでも構わないわけです。ところが、作者の紫式部は、女童らが欲張りすぎて、転がすことができずに困っているところまで書いている。何でもないような場面が、俄然鮮やかに浮かび上がってくるではありませんか。
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