
読む本のジャンルが偏ってしまうあなたに - 海外文学編 #1 アメリカ
こんにちは
本は読むけど、なんだかジャンルが偏りがち
新しいジャンルの本に挑戦してみたいけど、何から読んでいいのかわからない
こんな悩みをお持ちの方はいませんか?
このコラムでは、特定ジャンルの本を一冊ずつ取り上げて紹介していきます。
読書の幅を広げるのに少しでもお役に立てるよう情報を共有していきたいと思います。
今回は海外文学を取り上げます。
ひとえに海外文学といっても幅がかなり広いので、国や作者で絞って紹介していこうとも考えていたのですが、とりあえずは絞らずに紹介していければと思います。
皆さんは海外文学というと何を思い浮かべますか?
私は
ロシアであれば、ドストエフスキー、トルストイ
フランスであれば、ユゴー、ロマンロラン
ドイツはトーマスマン、ヘッセ
アメリカはヘミングウェイ、スタインベック
イギリスはシェイクスピア、ディケンズ
etc
という感じです。
内容は難解なものも多く、大概複数冊でボリュームがあるイメージ。
高い山々が聳え立っている光景を連想します。
ハードルが高いイメージでなかなか手が出ないと思っている方も多いのではないでしょうか?
そんなイメージを払拭できるような作品をご紹介していければと思っています。
前段長くなりましたが、本題に入ります。
今回紹介するのは
オー・ヘンリー『オー・ヘンリー傑作選』,大津栄一郎訳,岩波文庫
です。

各出版社からオー・ヘンリーの本が出ていますが、私は個人的に岩波の大津栄一郎訳をおすすめします。
オー・ヘンリー(1862-1910)はアメリカの小説家で短編の名手として知られます。
「最後の一葉」や「賢者の贈りもの」は学校の教科書に載っていたので、知っている方も多いのではないでしょうか。
傑作選なので短編が20編集められています。
短編なので一つ一つはそんなに長くありません。
オーヘンリーの短編の一つの特徴としては、「意外な結末」というのが挙げられます。
ものにもよるのですが、「あっ、そういうことなの!」と思わせかつ「ほっこり」した終わり方の話が多い印象です。
先ほど挙げた「最後の一葉」や「賢者の贈り物」以外で私のおすすめは「献立表の春」と「緑のドア」、「桃源境の短期滞在客」です。
その中で「緑のドア」という短編を少しご紹介したいと思います。
物語の主人公はごく普通の青年。
彼が晩、ニューヨークの通り道を歩いている時、ビラ配りの黒人男性からチラシを受け取るところから物語は始まります。
ごく普通の青年と先に述べましたが、彼には少しだけ他の人と違う性質を持っています。
それは普通の人なら追いかけないような事柄でも面白いことを求めて追いかける「本当の冒険者」であるということです。
物語の冒頭「本物の冒険者」についての説明があります。
本当の冒険者は古来多くはない。冒険者として書物に名前をとどめている人間はたいてい新しい方法を発明した実業家だった。彼らは自分の欲しいものを-黄金の羊毛とか聖杯とか貴婦人の愛とか王冠とか名声とかを-追い求める者だった。だが本当の冒険者は目的もなく、打算もなく、ただ未知の運命を探し迎えるために出かけて行くのだ。
そんな彼がとある勘違いから不思議な出会いを果たすことになります。
厳しい見方をすると、そんな上手いことあるかと言いたい部分もあるかもですが、そこはフィクション温かい目で読んでいただければと思います。
当時のアメリカの文化風俗を取り上げた例えや風刺が多く含まれているので、少し読みにくい部分もあります。しかし、1900年前後のアメリカではこういうものが流行っていたのかと思えば逆に興味深いです。
また、シェイクスピアの引用も多く、その影響度が伺えます。
私は昔大学の英語の授業で先生が、海外文学(特に英米文学)に読むにあたってはマザーグース、聖書、シェイクスピアを理解することが重要と言っていたことを思い出し、深く納得しました。
忙しくしんどいなと感じた時、少しホッとしたいなと感じた時に読むのをオススメします。
現代の我々が失ってしまった何かがそこにある気がします。
皆さんも自分の好きな話を見つけてみてはいかがでしょうか?