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詩以外のなにか
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#エッセイ

創造の倫理、不信への信仰

「アウシュビッツ以降、詩を書くことは野蛮である」
“Nach Auschwitz ein Gedicht zu schreiben, ist barbarisch”

このテオドール・アドルノの有名なアフォリズムに、私はずっと囚われています。この言葉の意味することと、その上で我々がとるべき態度について。アドルノは、ユダヤ人という彼の視点から生まれたファシズムに対する批判的な執筆とは裏腹に、ナチスに

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遊ぼう、ぼくは永遠を抱きしめているから

遊ぼう、ぼくは永遠を抱きしめているから

ぼくは無視する
すべての残酷は食卓に宿る、だからこそ
右手にナイフを、左手に愛を
だれかひとりを犠牲に、
または英雄にすることばかりが横行している
それはフォーカスのしすぎ
ぼやけること
そして点たちを適当に繋いでゆくこと

これはnoteをはじめた理由にも繋がるんだけど
と、ふたつめの前置き

ぼくは言葉をつかって
きみに(あるいはぼく自身に)聴いている
「きみはどう思う?」
いまやぼくの使う言

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詩の価値について

詩の価値について

してきたことの総和がおそいかかるとき
おまえもすこしぐらいは出血するか?

堀川正美
『新鮮で苦しみおおい日々』

詩とは何なのでしょうか。

僕は詩が何であるか、その答えを知りません。詩は、近づけば離れていってしまい、離れれば突然迫りくるような運動です。そのため僕は、永久にそれが何かを知ることはできないでしょう。そんな得体の知れないものに、何故か惹かれてしまうのは、殊に現代においては、詩に対して

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