名作探訪 その17 高いビルを建てるよ 『マンハッタン』
こんにちは、ボードゲームデザイナーの山田空太といいます。
今回は、ボードゲーム 名作探訪シリーズ その17をお届けします。
ボードゲーム 名作探訪 : 皆さまに是非とも遊んでほしいボードゲーム紹介のシリーズです。1990〜2015年くらいのファミリーストラテジーのゲームを中心として、100作を目指して書いております。
前回の記事はこちらからどうぞ⇩
本日、ご紹介するゲームは、1994年のSDJを受賞した『マンハッタン』。世界の6都市に高層ビルを建築して、そのビルを自分のものにするぞってゲームです。
韓国のMandoo Gamesから新版が出ており、アークライトさんから日本語版も出版されているので、今比較的手に入りやすいです。
マンハッタン Manhattan
DesignerAndreas Seyfarth
Artist: Jacqui Davis, Ramon Mascarenas, Monika Mucha
Publisher: Hans im Glück, Mandoo Games
(1994)
2-4人
好み:AA
プレイ時間:30-45分
ゲームの概要
『マンハッタン』は、エリアマジョリティのゲームです。エリアにより多くの自分の駒を置くのが一般的ですが、このゲームではビルの一番上に自分のビル駒を置くことで、ビルの所有権を獲得します。
ビル駒を置くためには、「それまでに誰かが置いたビル駒の階数以上であること」と、「そのビルの位置のカードをプレイする」の2つの条件が必要です。
手札のカードは常に4枚です。カードの引き運があるので、置きたいところに置けるとは限りません。
プレイヤーのビル駒の色が決まっているので、誰が一番高いビルを持っているかが一目瞭然なのですね。
せっかく自分が育てたビルなのに横取りされたって、感情を揺さぶるんです。そこが何より面白いゲームだと思います。
ゲームデザインの観点から
『マンハッタン』は、見た目の分かりやすさが何よりの長所だと思います。ルールもシンプルな上に、セットアップを見ただけで、ルール説明の大半が終わっているという素晴らしさ。
運の要素が結構ある、ファミリーゲームとして成立するくらいのエリアマジョリティのゲーム。
エリアマジョリティのゲームでは、1位を取るか取られるかで結果が大きく異なるので、シビアなゲームになりやすい。ところが、『マンハッタン』では、ファミリーゲームとしての適度な緩さにチューニングされています。
エリアマジョリティでプレイヤーに大きな自由度を与えると、マルチに傾きやすい。そのため、プレイヤーにある条件を課することで、そのエリアに対する影響力をコントロールする方法が良く採用されています。
『マンハッタン』では、カードで駒の置き先を指定しています。手札のカードは4枚しかなく、さらに手札は秘匿情報です。そのため、自分の狙いは制限され、他プレイヤーの狙いも見えづらいのです。
つまり、プレイヤーがコントロールできる選択肢が制限されているのですね。そうすることで、ゲームの難度を和らげているとも言えます。
もっとカードに細工をしたりしてゲーマーズゲームにもできたところを、ファミリーゲームに寄せたところは大正解だなと思います。
作者のアンドレアス・ザイファルトは寡作ですが、金字塔『プエルトリコ』や2006年のSDJ『郵便馬車』を作っています。
まとめ
何と言っても、分かりやすい。目的もやることも。
あの1番高いビル乗っ取るぞっていう。これくらいの適度マルチが好きです😌マンハッタン、いいですよ。
今日のnoteは以上です。
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