映画「ロストケア」を観て
8月25日「ロストケア」という映画を観た。2023年の日本映画で、前田 哲監督の作品。葉真中顕による『ロスト・ケア』は、日本のサスペンス小説が元となっている。
キャストは、斯波宗典役の松山 ケンイチ、大友秀美役の長澤 まさみ、椎名幸太役の鈴鹿 央士、羽村洋子役の坂井 真紀、斯波正作役の柄本 明などである。
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あらすじは、
と、いった内容。
で、観終わっての感想。
介護を経験した人であれば、この作品に引き込まれてゆく
介護問題。
誰でも、ある一定の年齢以上になれば、関わってくる問題である。
その介護の社会的な問題点を、ずばりとこの映画は指摘してくれている。
ボクも介護を経験した一人であるが、おそらく経験者が観ると確実に引き込まれてゆく作品となっている。
監督のセンスを感じる映画でもあり、ストーリーのつなぎ方、映像の見せ方を含めボクは知らず知らずのうちに引き込まれていった。
観賞前、津久井やまゆり園を元にしている作品と勘違いしていた
日本人であれば忘れることができない事件、「津久井やまゆり園の障害者殺人事件」。鑑賞前にプロモーション的映像を見て、勝手にそれが原点の作品かと思っていた。そのような作品だとしたら、観たくなかった。
しかし、それはボクのまったくの勘違いで、ある意味真逆の作品だった。
むしろ、犯人は優しい心を持ち、苦しい人の意持ちを理解している。
ボクのように、プロモーションで勘違いする人がいそうである。
犯人に共感してはいけないが・・・
殺人。
それは悪であり、法で裁かれるべき。それは当たり前であると思う。
しかし、この映画では犯人の気持ちに共感してしまう部分もある。「救い」という言葉が出てくるが、本来はその救いを国が行政がするべきである。
映画の中で、犯人に共感しかけている中で、裁判のシーンが出てくる。
そして、その中で「救われた」と思った家族の一人が、「人殺し!」と叫ぶシーン。
ここで、鑑賞者である自分も、ハッと目を覚ます。
そう、彼は殺人という犯罪を犯した人物だったのだ。
それまで、犯人に共感している自分がいたことに、間違いない。
切実な社会問題をテーマにした映画
犯人は、父親を介護していた時期がある。
その父の介護で、ついには仕事を辞め、アルバイトと介「」護を両立した生活をしていた。しかし父の認知症が進み、アルバイトを止めざるを得ない状況になる。
その中で、行政に生活保護を申請するも、「あなたは働けますよね」と却下される。ついには毎日食事もとれない生活の中で、父親に虐待するようになるのだ。
「一度底に落ちてしまうと、もう戻ることができない。」
この社会は、底にいる人に手を差し伸べてくれない。
残念ながらその通りであると思った。
話はそれるが、生活保護は外国人には簡単に出すとも聞いている。
なのに日本人には、相当厳しい。どうなっているのだろう。
映画の中では、対照的な位置にいる検察官の家族に対する介護状況。
やるせない気持ちになる。
この作品は、今の社会に対する問題提起、そして、現実をまざまざと見せてくれている。
ボクの心には、心の奥底に刺さる作品であった。