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0694 吉村昭を集めたい

管理職候補生の時の研修で、趣味を聞かれ読書と答えた。
どんな作家を読むか?と、たいてい二の矢が来るわけで、私は吉村昭と答えている。
他にも好きな作家はいるけれど、やはりダントツで吉村昭が好きだからだ。
三浦哲郎、阿部昭、開高健とも伝えたいところであるが、あんまりいうと、ガチの読書好きと思われてしまう。そこまでガチ勢ではないので、控えている。

その時、吉村昭という答えを聞いた相手は、珍しく食いついてきた。
自分も吉村昭が好きであるが、女性で好きだという人は初めてだと。妻は怖くて読めないという。
その人は、今も管理職を続けているだろうか。パワハラを受けた経験を持っていた人だったから、良い管理職になってもらいたいものだ(どうして上から目線w)

その吉村昭であるが、やっぱり好きだなぁと、とある本を再読してしみじみ思った。戦争関連はほぼ読んでしまったので、他の作品を少しずつ集めたい気持ちになっている。短編だと好き嫌いが出るのだが、長編はもれなく好きだ。あの淡白な中に、いろいろ風景が思い描けること、気がついたらその世界の中に入り込んでいて、時間を忘れられること。
必ず死の影が横に立っていること。林京子の原爆の作品で、「私は生き残る努力をしたわけではないし、死んだものは生き残る努力を怠ったわけではない、瞬時に何となく死んだのである」という一文があったけれど、そんな感じだ。もちろん、努力をした先に訪れる死も沢山描かれているのだけれど。

はまれる作家がいて幸せだなぁと思う。大学で、作家の勉強をしたらどういうものになるのだろう。最近そこに興味がある。
妻の津村節子氏の作品も、吉村昭を振り返るものは読んだ。他の作品を読んでいないので、何とも言えないが、ご夫婦で文体が似ている。感情を抑え、淡白なのに、胸に迫る…うーん、語彙力がないので、伝えた方がわからない。人によっては冷たいというかもしれないが、それがいいのである。

今読んでいる本は年内かかりそうであるから、年明けから吉村昭を制覇しようか。
まだ11月だけれど来年のことを考えてみたりする。
少しは気持ちが上向いてきた証左だろうか。

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