サガンは愛を信じていたか
フランソワーズ・サガン、20世紀のパリを代表する早熟の流行作家である。18歳にして『悲しみよ こんにちは』で衝撃のデビューを果たすと、続々とヒット作を生み出した。彼女の言葉選びの巧みさ、そこに漂う優美なブルジョワジーの香りと、対してとてもシニカルな視線に、16歳の私は完全に魅了された。当時の私と殆ど年齢も変わらぬサガンに見えていた世界の広さに、私は圧倒されてしまった。18歳になっても、当然私は『悲しみよ こんにちは』を書けるようにはならず、せいぜい飲んだくれてるだけだった。