痛み止め

24歳、ハムスターが好き。

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最近の記事

秋はカフカ

これまで私はサガンをはじめとするフランス文学については書いてきたが、ドイツ文学には触れてこなかったように思う。私は普段ドイツ語を話すしドイツ文学も読むのに、ついついフランス文学の話ばかりしてしまう。毎年、夏の間中サガンを読み耽り、秋になるとドイツ文学、ロシア文学、そして哲学書を読む傾向にある。今週は急に気温が下がり、東京ももうすっかり秋の空気が漂う。読書の秋、ということで今日はカフカについて書こうと思う。 フランツ・カフカ(1883-1924)は、チェコ出身の作家であり、

    • 米大統領戦TV討論会

       9月10日、アメリカ大統領選に向け、ハリス、トランプ両氏が出席するTV討論会がNHKで中継された。トランプの「移民はこの国にきて犬を食べている」という何のエビデンスもない発言は、しかしXでトレンド入りし、アメリカ国民の、この討論会の注目度の高さがうかがえる。  TV討論会において両氏が頻繁に使用した単語のNHKによる分析をみると、その違いが明らかになる。まず、トランプとハリス、両氏ともに “people” (人々)という語を繰り返し用いたが、それが指すものは異なっている

      • キャリアポルノ

         2019年の記事だがVOGUEオンラインに面白い記事があった。(日本語リンク https://www.vogue.co.jp/lifestyle/article/2019-09-26-social-media-burnout-cnihub) 私たちの世代の多くの人は常にソーシャルメディアと接して生活しているが、SNS上に蔓延るキャリアポルノについて、私は特に意識したことがなかった。私のSNSのアカウントには四六時中キャリアポルノが流れているというのに!  キャリアポルノは

        • お告げ界隈

           お告げ界隈、と言っても特にスピリチュアルな話ではない。ワードセンスが絶妙な友達が、急に思い立って何か大きな決断をする人々のことをこう表現したのだ。彼らはきっとなんらかのお告げに導かれて生きているのだろう、と。そしてその友達曰く私もお告げ界隈の片隅に位置しているらしい。  確かに私の人生は突発的で突飛な決断の連続だ。自主退学、急な進学、突然の引っ越し、転職。今月末の引越しに至っては、深夜の思いつきで内見予約をし、そのまま夜が明けたら内見に行っていた。私としてはお告げに従って

          サガンは愛を信じていたか

           フランソワーズ・サガン、20世紀のパリを代表する早熟の流行作家である。18歳にして『悲しみよ こんにちは』で衝撃のデビューを果たすと、続々とヒット作を生み出した。彼女の言葉選びの巧みさ、そこに漂う優美なブルジョワジーの香りと、対してとてもシニカルな視線に、16歳の私は完全に魅了された。当時の私と殆ど年齢も変わらぬサガンに見えていた世界の広さに、私は圧倒されてしまった。18歳になっても、当然私は『悲しみよ こんにちは』を書けるようにはならず、せいぜい飲んだくれてるだけだった。

          サガンは愛を信じていたか

          バタイユとサガン

           今日は土曜日、休日なのでゆったり文学の話を。ちなみにこれを書いている私は昼過ぎからカクテルを作って一人で飲んでいる。音楽か文学を肴に一人でお酒を飲んでいる時間は、休日を格別なものにしてくれる。恐らく来週以降はまた(毎夏恒例の)テキーラ祭りになってしまうので、今週末は思う存分文学を楽しむつもりだ。  私にとってキリスト(クリスチャンの方々ごめんなさい)はバタイユかフーコーかカポーティで、マリア様はサガンか金原ひとみだ。彼らは私の中で救世主同然で、彼らの言葉によって私は生かさ

          バタイユとサガン

          理性的人間、感性的人間

           一般的に、人は理性的か感性的かという二つの思考と行動のパターンで語られることが多いように感じる。つまりこれは、論理的思考に基づいた行為を重んじるタイプか、感情の赴くままに行動するエネルギーを重視するタイプかで人の性格や傾向を判断するということだ。もちろんそこまで極端ではなく、どちらかといえば理性的または感性的な傾向を持つ、という人々が圧倒的に多くて、極端にどちらかの特徴を持つ両極の人々との間にグラデーションを成しているのだろう。  「理性的人間の方がなんかカッコよさそう!

          理性的人間、感性的人間