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本を読むことの意味

本を読むことの意味は何?

本を読むことの意味は何?
と聞かれたとき、ただ漠然と

「本を読むのが好きだからだよ」
と答えていました。

しかし、『読書力』(岩波新書) を読み終わった今、答え方が少し変わりそうです。

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複雑な気持ちをたくさん取り入れる

読書の幅が狭いと、一つのものを絶対視するようになる。教養があるということは、幅広い読書をし、総合的な判断を下すことができるということだ。
(中略)
矛盾し合う複雑なものを心の中に共存させること。読書で培われるのは、この複雑さの共存だ。

齋藤孝(2002)『読書力』岩波新書

著者は本を読むことが自己形成の一部となり、総合的な判断を下すことができるようになるといいます。本の種類が偏りがちな私には、"ぐさっ"とささる言葉でした。なぜなら、納得はできても、総合的な判断を下すのって難しいなと思うことが多いからです。

A「あなたは絶対間違ってる」
B「あなたのほうこそ間違ってる」
C「お互いの意見はわかる(うーん、どっちもどっち!!)」

このやりとりで総合的な判断はCがしているように見えるけれど、AもBも当事者からしてみれば総合的な判断を下したと思っているはずで、だからこそ喧嘩とかいざこざとかはなくならないのかな。

D「Aが正しいのに、Cは喧嘩にまき込まれないようにしてる情けない」

と、さらに総合的な判断をしていると思っているDが登場して、小さな問題が予期せぬ大きな問題に発展。このままでは、Zまでいっても総合的な判断を下せるのが誰なのかわかりません。

だからこそ本をたくさん読まなければいけない。そんな風に感じました。複雑な気持ちをたくさん自分に取り込み、いろんなことに共感できるたくさんの自分をつくること。これが自己形成に繋がっていくのだと思えました。

楽しい緊張感

こちらから積極的に本を読まなければ、向こうからは来てはくれない。訪ねていって話を聴く。(中略)
 時と場所が離れた人間と出会うということは、ふだんのコミュニケーションとは違う楽しい緊張感を味わわせてくれる。

齋藤孝(2002)『読書力』岩波新書

シーンと静まり返る体育館。たくさんの観客の目が私に集まる。決勝戦。ボールを上に投げ上げてサービスを打つ。ミスしたら恥ずかしいという不安で胸はドキドキ。でも、不安の中に今後の展開にワクワクしている自分がいて__。

物語が始まりかけましたが、これは私が卓球の試合で経験した「楽しい緊張感」です。

スポーツで感じる楽しい緊張感 ≒ 読書で感じる楽しい緊張感

著者は「読書はスポーツだ」として、スポーツのような読書力の身につけ方を教えてくれました。たとえば、「三色ボールペンで線を引く」という方法です。スポーツが好きな私にはピッタリな方法でした。

自分と向き合う厳しさ

テレビの時間は、テレビをつくる側が管理している。どのようなテンポでどんな情報を組み合わせれば視聴者が退屈しないのかを計算しながら時間の流れをつくっている。

齋藤孝(2002)『読書力』岩波新書

テレビ番組を見ているとその番組の山場となるクライマックスの前で必ずCMが来て、はじまったかと思ったらまたCMが来て、「いつまで引きずるのか」と思うことがあります。やっと始まっても「散々引きずったのにそれだけか」と思うことも。

読書の時間の流れはテレビとは違うようです。

読書の場合は、読書の速度を決めるのは、主に読者の方だ。途中で休んでもいいし、速いスピードで読みつづけてもいい。読書の時間は、読書の側がコントロールしているのである。

齋藤孝(2002)『読書力』岩波新書

読書をしていて、なんだそんなことかと思えばサラーと読んでいいし、極論読むのをやめてもいい。もう一回読みたいと思えば、同じ部分を何回でも読んでいい。

言葉にするのは簡単ですが、難しい本になればなるほど、本当は山場なのにサラーと読んでしまって「結局何が言いたいんだっけ?」となってしまいます。自分と向き合いたいときに脳が勝手に回避してしまうのをどうカバーするのがいいんだろう。

そんな無意識な回避をどう回避するのかを、著者は第2章「自分を鍛える」、第3章「自分を広げる」で爽快に書き上げています。

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本を読むことの意味

本を読むことの意味を聞かれたら、
始めはやはり「本読むの好きなんだよね~」と答えると思います。

ただ、その後に「なんでかっていうとね~、スポーツみたいな楽しい緊張感があるんだよ」と付け足します。

「スポーツって何?」とか
「楽しい緊張感?」とか反応してくれたらこの『読書力』の話を少ししたいなと思います。相手が自己啓発本が好きだったら自己形成の話をし、スポーツをしていたら「スポーツとしての読書」を是非話してみたいです。

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ぶらっくこーひー * 読書
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