最近読んだ本②
木漏れ日に泳ぐ魚/恩田陸
アパートの一室での一晩。夜明けと共に終わった二人。そして始まったそれぞれの人生。今まで積み上げてきた秘密の共有というスリルや歪な優越感が、一瞬で崩れ落ちる。人の気持ちほど厄介であっけないものはない。それが非常によく書かれていてあっぱれ。いつしかSixTONES松村北斗が「いつか映画化する時は自分が演じたい」と言っていたの、忘れてないからね。誰かー!偉い人ー!
二木先生/夏木志朋
理不尽な暴力に終始腹が立って疲れる。なのにページをめくる手が止まらない。先生と生徒の関係の変化は、彼らの人生を少しずつ進めていく。正しさとは何か。普通とは何か。世間に弾かれ葛藤を抱え生きる彼らに小さな希望を見た。
哀しい予感/吉本ばなな
吉本ばななの作品は、魔法とか不思議な力とかが日常にある感じや、日常のさりげない幸せを取りこぼさない優しさがいいなあといつも思う。ぬぐい切れない違和感の先、哀しい予感が当たってしまっても、失くしたくない優しさ。それをぎゅっと抱きしめていけるように。忘れないでいようと思わせてくれる。
眠れぬ真珠/石田衣良
久々に読み返し。年老いていく体、更年期、積み重ねたキャリア、周りからの期待。彼女が様々な問題を乗り越えていけるのは、変化を恐れない勇気と柔軟な思考を持っているからだと思う。私もそんなしなやかな強さを持った立派な真珠の女でありたい。
TIMELESS/朝吹真理子
お互いの利害が一致し、結婚したアミとうみ。その間に生まれたアオ。
飛躍していく思考。溢れ出ていく言葉の羅列を必死で追っていくと、何の話だったかわからなくなる。記憶か夢か現実か。誰かの台詞で絡まった思考から目の前の出来事に引き戻されるように、行間が空き、台詞の最後に句読点がない。今まで出会ったことのない作品だった。