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花と万年筆

19
万年筆という概念
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#小説

王国で会いましょう(1)

王国で会いましょう(1)

「ねえ、それ、旧型キャップレスじゃありません?」

 いいにおいのする女の子、というものに気後れをするのは年を経てからも変わっていなくて、同じエレベーターに乗ってしまったのが運のつきだと思っていた。非の打ちどころのない美しさでわたしの傍らにたたずんでいる彼女は、しかしわたしを見て、ぱっと笑顔になった。

 塔の上のお姫様のお眼鏡に叶ったのは、わたしの胸ポケットに刺さった万年筆だった。

「え、ああ

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いんくすきっぷとりお の おはなし

いんくすきっぷとりお の おはなし

えらぼーが やってきたとき そこには たくさんの うつくしい ぺんが ありました

うつくしさ という いみでは えらぼーは かれんや すたいる さふぁり ぷらちなぽけっと といった ぺんに とうてい たちうち できませんでした

けれど ごしゅじんさまは えらぼーに いいました

「えらぼー こそ わたしが もとめていた りそうの ぺん」

「おもしろそうな ぺんだから いつか と おもって い

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いたりあ から やってきた まんねんひつの おはなし

いたりあ から やってきた まんねんひつの おはなし

あうろら すたいるの にぶは いつも とても きまぐれです

かきあじは しゅるしゅると きもちがよいのですが すぐに ひっかかったり せんが とぎれたり します

おいしゃさんから かえってきても やっぱり すたいるは きむずかしい ぺんでした

でも すたいるは きにしません

すたいるは いたりあの あうろらしゃ の ぺん

とても うつくしい すがたを しています

にぶの こくいんも き

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いなくなった えらぼーせんせい

いなくなった えらぼーせんせい

しかは たくさんの まんねんひつ を もっています

でも まいにち なんじかんも つかうのは いつも えらぼーせんせい

えらぼーせんせいは ぱいろっとしゃが つくりだした どくとくの にぶが とくちょうの まんねんひつです

しかは えらぼーせんせいが だいすき

しかは えらぼーせんせいをもつと めきめき おはなしが おもいつきます

だから けいいをこめて えらぼーせんせいと よんでいます

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くりあーきゃんでぃいちごみるく の ぼうけん

くりあーきゃんでぃいちごみるく の ぼうけん

くりあーきゃんでぃいちごみるくは ほんやさんの ぶんぐこーなーで たいくつしていました

やすい まんねんひつたちは ぶんぐこーなーの すみに おいやられています

しゃーぺんや ぼーるぺんは とぶように うれてゆくのに まんねんひつたちは ずっと おなじ かおぶれ

そんな ひびに おさらばした くりあーきゃんでぃいちごみるくは のーと いっぱいを ぴんくいろに しています

くりあーきゃんでぃ

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ななこちゃんと ぷれら

ななこちゃんは ぷれらが だいすき ななこちゃんは ぷれらを いろあい も あわせて ぜんしょく もっています 

ななこちゃんは ある はるのひ ろふと で じぇるぺん を えらんでいて ふと ぷれら に めを とめました 

ぷれらは まんねんひつ 

「まんねんひつ って なあに?」

その かわいいけど ちょっと たかい ぺんが ななこちゃんは すっかり きにいって しまいました 

「ぺ

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まいすたーしゅてゅっく146 と しんとみごるふ の おはなし

しんとみごるふ は せんそうが おわったばかりのころできた ごるふの おみせです

まいすたーしゅてゅっく146 が しんとみごるふにやってきたとき しんとみごるふは とても はんじょうしている おみせ でした

「なんたる こうけいき!」

146は わがことのように よろこびました

しんとみごるふの えらいひとが 146に いいました

「ぼくたちは これから あたらしいみせを つくるんだ

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