まいすたーしゅてゅっく146 と しんとみごるふ の おはなし

しんとみごるふ は せんそうが おわったばかりのころできた ごるふの おみせです

まいすたーしゅてゅっく146 が しんとみごるふにやってきたとき しんとみごるふは とても はんじょうしている おみせ でした

「なんたる こうけいき!」

146は わがことのように よろこびました

しんとみごるふの えらいひとが 146に いいました

「ぼくたちは これから あたらしいみせを つくるんだ その おいわいに きてもらったんだよ 146くん」

「これは これは うれしいことです なにしろ わたしは どいつのほこる めいひん まいすたーしゅてゅっく146」

まいすたーしゅてゅっく146は しんとみごるふのなまえを からだに ちょうこくし しんとみごるふの おとくいさまに わたされることに なりました

おとくいさまは みんな ごるふが だいすき

146は おとくいさまのもとで しあわせに すごしました

ときがすぎ おとくいさまは もう ごるふが できないほど としをとりました

それから しばらくして おとくいさまは 146を にぎることもできなく なりました

146は ひきだしのなかで しずかに ねむりに ついていました

ごるふのたのしさをつづった かつての ゆめをみながら

とつぜん あかるい ひかりに つつまれ 146 は じぶんが そとのせかいに つれだされたことに きづきました

「ごしゅじん おからだは おもどりですか ごるふに いかれますか おてがみを かきますか」

といかけた 146に こたえたのは しらない ひとでした

「きみの ごしゅじんは なくなったよ」

「なくなった……それでは しんとみごるふに もどされるのでしょうか」

「しんとみごるふも もう ないんだ」

「なんたる」

「きみの からだの もじは もう いまでは きずでしか ないんだよ 146くん」

146は ことばも ありませんでした

「きみを ほしがるひとが いるかもしれない」

146は おーくしょんに かけられることに なりました

すたーとは 1えん から

だれも 146を ほしがりません

ほかの 146は とぶように うれてゆきます

しんとみごるふは いいみせ だったのに……

146は じっと まっていました

ごるふを きらいな ひとでも いい

146を すきになってくれるひとに また であいたい

にゅうさつ は ゆっくりと ふえてゆきました

146を ほしがるひとは ちゃんと いたのです

146は かたずをのんで にゅうさつを みまもりました

きょうは らくさつび

きがつくと ひゃくえん ごひゃくえん だった かかくは いちまんえんまで あがっていました

こんなところ だろうか

146は あきらめた きもちで おもいました

しゅうりょう さんじゅっぷんまえ

いちまんごせんえん

いちまんはっせんえん

にまんえん

146は どきどきしています

どんどん あがっていきます!

らくさつかかくは にまんさんぜんえん でした

「すこしやすいけど」

「そうですね」

「でも きっと きみを たいせつに してくれる ひとだよ やすくない おかねを はらったのだもの」

「そうですね」

146は どきどきしています

また つかわれるひが きたのです!

146は はこに つめられています

これからさき 146は どんなひとのところに とどくのでしょう

どんなことを かくのでしょうか

そのひとは ごるふを するのでしょうか

なにもかも すべてまだわかりません

146は むねをたかならせながら とざされたはこのなかで これからを ゆめみています

おしまい


モンブラン 万年筆 マイスターシュテュック ル・グラン 146 ブラック

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