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エッセイ
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#読書感想文

若きウェルテルの悩み(ゲーテ)読了

若きウェルテルの悩み(ゲーテ)読了

先月あたりに読み終えた本。レビューを書こうと思いつつ、ながらく放置していた。じつを言うと、初読ではなく、学生時代に何回か読んでからの再読という形。再読しながら「こんなんだったかあ」とぼんやり思いつつ、初読とはまた違った感じを抱いた。ウェルテルの精神性に近かった悩み深き頃と、社会人になっていろいろブレイクスルーを経験し青春を終えた今では、この小説に対する捉え方が変わっていることに気づく。

青年期は

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「春の庭」(柴崎友香) 読了

「春の庭」(柴崎友香) 読了

じつを言うと、最近あまり日本の小説を読んでいない。読む小説の総数自体が減っているのも原因なのだけど、どうしてもこの頃は質・量的に「重い」ものを選びたくなる傾向にあるようだ。もしかしたら、ちっとも読書が進まないのはそのせいでもあるかもしれない(なかば進まなくてもいいとも思っているのだけど)、なんて言い訳をしてみたりする。

でも、久しぶりに日本の小説を読んでみた。先月読んだテジュ・コールの「オープン

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「夢から夢へ」/イーユン・リー

去年、古本屋で出会った「GRANTA JAPAN」(2016)という文芸誌。名だたる作家が短編を寄稿していて、かなりお得な拾い物をしたという実感がある。どれをとっても、珠玉の短編といえるのだけど、ここで紹介したいのは中国のチェーホフとも呼ばれている(らしい)、北京生まれのイーユン・リーの短編だ。

主人公のフェイはある日、薬を飲みワインを開け、海に入ることに決める。理由は説明されず、フェイの心の中

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