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ジャーナリングで1つ1つのことを「観察」する
日々の生活の中で、目の前の出来事や自分自身の思考・感情をじっくり観察する機会はどれほどあるだろうか。
意識せずに過ぎ去ってしまう“気になること”を、わざわざ立ち止まって見つめ直すのは意外と難しい。
しかし、その“観察”を続ければ、小さな出来事から大きな発見が生まれることもある。
ここでは、ジャーナリングを通じて自分と世界を観察する意味と方法を考えてみたい。
観察とは何か
辞書的に言えば“じっくりとものごとを見て意味を捉え直す行為”だが、学問や科学の世界では「観察」は特に重要なステップとして認識されている。
アリストテレス: 目の前の現象を言葉にして書き留め、新たな発見を得ることを重視したという。
ベーコン(近代科学の父): 観察と実験を繰り返すことで事実に基づいた知識を積み重ねる“科学的手法”を確立した。
もちろん、ここで求めるのは学術研究のような厳密な観察ではない。
“自分の気になる事象や感情を改めて見つめ直す”――日常的な観点での観察で十分だ。
日々の中で観察が難しい理由
慌ただしさ: 仕事や家事、SNSなどで情報が溢れ、“立ち止まって考える”余裕を感じづらい。
何となく流れてしまう: 小さな違和感や小さなアイデアはすぐ消えてしまい、深掘りせずに一日が終わる。
ところが、そうした小さな瞬間にこそ、自分の本当の欲求や興味が隠れている可能性がある。
“なんとなく気になった”ことを放置せず、観察してみる――そこに自己理解の鍵がある。
ジャーナリングを通じて“観察”する
気になったことをまず書く
たとえば「今日、○○が気になった」と一言メモする。
“なぜ気になったのか”“そのときの感情は?”など、少し掘り下げてみる。
心の動きを整理する
「どうして自分はそれを重要だと感じたのか」「その背景にはどんな考え方があるか」をジャーナリングで言語化する。
改めて問いかける
「実はこれは自分の好きや嫌いにつながっていないか?」
「以前に似た体験があったかも…」
見出したものを振り返る
ある程度書き溜めたら定期的に見返す。小さな“気になる”が実は大事な価値観に結びついている可能性もある。
観察がもたらす効果
自己理解の深まり
ふとした思いつきや違和感の正体を探るうちに、「自分はこんなことに興味がある」「こういう部分が苦手なんだ」といった発見が生まれる。感情を客観視できるようになる
何が起こったのか、なぜ気になったのかを整理するうちに、感情が落ち着き、“自分”を少し引いて眺められるようになる。行動のヒントを得られる
もし「この分野が気になった」という発見があれば、次は本を読んでみたり、関連するイベントに参加したりと、行動につなげやすくなる。
小さなヒントが大きな変化につながることも
往々にして、私たちが大切に思うものは、最初は些細な“気になる”“なんとなく興味がある”という感覚から始まる。
その瞬間に立ち止まって観察をするかしないかで、大きな分岐が生まれるかもしれない。
例:
「ふと目にした海外のドキュメンタリーが気になった」→観察して調べるうちに留学や旅行への熱意が高まる
「なんとなく怒りを感じるテーマがある」→書いてみると、自分の深層の価値観が見えてくる
まとめ:ジャーナリングでじっくり観察する習慣を
日常の“なんとなく”を見逃さない
ちょっとした違和感や思いつきこそ、書いてみる。観察をじっくり楽しむ
学問的・科学的な大発見でなくても、自分にとっての大事なものを再認識できるのが観察の醍醐味だ。自己理解を深め、行動を促すきっかけに
書いて整理するうちに、「こういう方向に進んでみようかな」と具体的な行動に落とし込める。
「観察」は本来、ちょっと手間や時間を要する行為だ。
しかし、ジャーナリングという“書く”行為を日常化すれば、何気ない事柄をしっかり捉えて、自分にとっての意味を見つけ出すことが容易になる。
そこから生まれる発見や自己理解が、人生の豊かさにつながるはずだ。
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