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GTM戦略を実行しきるチームをつくる
どうも、すべての経済活動をデジタル化したい、LayerXの諏訪です。
今回はコンパウンドスタートアップを目指すLayerXの事業開発部における重要なスキルのひとつである「GTM戦略を実行しきるチームをつくる」ことについて成果につながったポイントを記載したいと思います。
はじめに
事業開発と聞いて、皆さんはどんな業務を思い浮かべるでしょうか。
事業を伸ばすためになんでもやる人、新規事業の営業担当、アライアンス担当、チャネルの開拓担当など広義な意味でつかわれているのが「事業開発」というワードだと認識しています。
そして、前述したすべてが事業開発であると個人的にも思います。会社の方針や事業モデル、事業開発以外の他組織との役割の持ち方によってその定義はさまざまです。
LayerXの事業開発は、コンパウンドスタートアップとしての「強固な事業ポートフォリオをつくる」という組織ミッションを掲げています。
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具体的には、「新規プロダクトのPMF〜GTM」や「既存プロダクトの新しいPMFの探索〜GTM」といった業務を、主体者としてなんとか実現するようなイメージです。弊社では、今現在でもプロダクトは6つほどあり今後も半年に1つ新しいプロダクトをつくっていきます。
※GTM(ゴートゥーマーケット/Go-to-Market)とは、自社の商品をどのような流れで顧客へ届けるかをまとめた戦略のことです。
※ PMFとは、自社の製品が市場に適合しており、顧客に受け入れられている状態のこと。 「Product(製品) Market(顧客や市場) Fit(適合)」の頭文字を組み合わせた マーケティング用語です。
また、LayerXの事業開発がどんなイシューに向き合っているか?はこちらのPodcastでも詳細をイメージいただけるかと思います。
事業開発は孤独だと思われがちですが、LayerXの事業開発は探索して事業/プロダクト価値をみつけるだけでなく、プロダクト価値がお客様に届くまで組織で実現することまでがセットの役割です。
いわゆる、組織マネジメントの領域も求められます。
今回は、その中でも組織をつくって、事業/プロダクトのGTMを実現する過程におけるチーム運営でうまく行ったポイントについて記載していきたいと思います。
GTM戦略を実行しきるチームをつくるために
まず、結論から記載します。
長々と文章を読みたくない方はこちらを見ていただければこの記事でお伝えしたいことはすべてです。
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マネジメントの役割として、当たり前のことを当たり前のようにやるといってしまえばそうなのですが事業開発は意外と孤独に探索するといったシーンが多いと思います。
一方、探索で見つけた事業価値の種をどのように組織で実現するかまでを意識することは非常に大事な部分だと認識しています。
事業開発個人が高い熱量を持ってビジョンを掲げ、共感者を増やしながら組織をエンパワーする。ビジョンを形にするムーブメントを作れる力こそが事業開発として重要なスキルだと思います。
3つのポイントを一つ一つ解説していきます。
1.シンプルにして伝える
まず、このチームは何を目指すのか?どこにむかっているのか?をシンプルにする必要があります。チームメンバーがなにを目指すチームなのか?を明確に認識してもらい、なるべく忘れないようにしてもらうためです。
そのための工夫を画像の実現のためのHowに記載しているような5つの要素で実現していきます。
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a,方針をうちたてる
まずは、シンプルな方針が必要です。この組織が実現するのはなにか?どこにむかってGTMをすすめるか?このあたりを明確に共通認識をもつ必要があります。
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b,全社戦略から解釈する
どの組織にも年間や半期、Qで事業部全体のテーマや方針があるかと思います。その方針をこのチームはどう解釈して貢献するか?を明示する必要があります。これはテーマと全く違うミッションでもできるだけ解釈して紐づけて説明することをおすすめします。
c,達成ストーリーを描く
組織の達成に向けて、いつまでに何が必要か?のイメージを持ってもらう必要があります。明確な時期感と指標設定がポイントです。
例えば、ビジネスチームであれば「成約のリードタイムを考慮すると何月に最注力ターゲットで何件の成約を目指す必要がある。そのためには最低でも何月には最注力ターゲットのリード獲得から何件商談化している必要がある。」といった感じです。開発チームであれば、「ターゲットのぺインを何月までに明確に洗い出す必要がある、開発バッファを想定すると何月までに、価値を作り切る必要がある。」といった感じです。
ここまで明確にしてストーリーを描く事が重要です。
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d,達成ポイントを絞る(Qごとなど)
達成のために各役割のメンバーが、いろんな打ち手を考える状態になるかと思います。そのうえで、組織としては何がポイントなのか?をQ単位などで絞ることが重要です。自分の場合は、組織としての達成ポイントを3つに絞ることを意識して伝えていました。
ここで何に絞るか?は事業開発の腕の見せ所です。
e,想いを伝える
実は、このシンプルに伝えるという項目で一番重要なのはこれかもしれません。自分はQのチームキックオフで必ず最後に、想いを伝えるスライドを1枚用意していました。
なぜこのGTMをやるのか?これが実現できればどんな未来が待っているのか?どの程度会社として重要なことなのか?これらを自分の言葉でつたえることが重要です。
極論かもしれませんが、人や組織は「論理×想い×明るい未来を描く」という3要素でしか動かないと思っています。
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2.戦術アクションまでおとす
大枠が決まったら、行動ベースまで落とすことが重要です。多少、遊びをもたせることも組織の状態によってはありだと考えますが基本はすぐ動ける状態にすることを意識しました。そしてそれを定点でしっかりウォッチする仕組みをつくる事が大事です。
進捗に応じて、早めに打ち手(対策)を考えて実行できるか?にこだわることが達成への近道だとと考えます。
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a,達成への行動イメージ
達成するために、それぞれの役割がどんな動きをするか?のイメージは重要です。例えば、マーケであれば最注力ターゲットのABMを考える、リードチャネルを考えるなど行動のイメージをもってもらうことが重要です。各役割でそれぞれの行動イメージを明確にすることで、個人の動き出しが早くなります。
ABMとは、Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)の頭文字を並べたもので、BtoBマーケティングの領域における戦略的なアプローチとして昨今注目されている手法です。
b,全体俯瞰で数字をおとす
組織には様々な役割のメンバーがいるからこそ、それぞれの役割がどう連動しているか?を示す事が重要です。以下の画像はbiz組織の例ですが、dev組織は、方針を前提としてbizのタイムラインと連動する形で開発ロードマップを明確にすることを実施しました。また、進捗していく中で新しい機能が必要になるケースもあるのでその点は織り込んだ上で決定します。
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c,タスクを管理する
タスクについては最初は全体で管理しつつ、徐々に小チームごとに管理するようなイメージで設計できると良いのではと思います。
タスクベースまでやるべきことがきれているか?またその優先度は正しいか?という観点をもち整理することで最小工数でやるべきことに向かえるようになります。
d,最注力は切り出して管理する
さまざまな指標を組織で追う中で、そのGTMの実現において一番重要なKSFが存在するかと思います。その指標に関しては、切り出してでも管理することをおすすめします。
※KSFとは、Key Success Factorの略であり、日本語では「重要成功要因」と訳される。 事業戦略において事業を成功させるために必要な要因を指す。
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e,会議体を設計する
GTM戦略を実行するためには、チーム内での気づきをシェアする機会をこまめに設定する事が重要です。これは、数字の達成だけでなく組織のモメンタムの醸成にもつながります。
例えば、GTMを組織で実現するために、最初は毎日15分でも時間が合うタイミングで現場の声をシェアし合うことが事業成長に大きく影響します。
また、biz全体の会議、dev全体の会議、チーム全体の会議、bizとdevで顧客の声や要望を解釈する会議など定期的に目的をもってコミュニケーションする機会をつくることで細かい戦術のチューニングができます。
また、会議体の設計は事業フェーズによって変えていくことも重要です。
3.状況で軌道修正する
GTM戦略を遂行するチームは、途中で方針変更しないといけない局面がかなり多く発生します。前提として、チームには方針変更があることを認識してもらうことが重要です。その上で、変更の背景とセットでどう変わるのか?を説明する必要があります。
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a,方針変更の明示
方針変更はなにが変わるのかを明確に伝える必要があります。プロダクト型の事業の場合、プロダクト価値をどこに置くべきか?という観点からbiz組織はどう変わるか?という順で整理し明示するイメージです。
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b,体制変更の明示
方針の変更とセットで体制についても明示する必要があります。
レポートラインを明確にし、かつ必要役割の拡張なども明示します。
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事業開発は一人では何も成し遂げられない
今回は、「GTM戦略を実行しきるチームをつくる」ことについて成果につながったポイントについて記載をしました。いろいろと試行錯誤しましたが、事業開発が事業/プロダクト価値をつくるためには、組織の協力が不可欠です。
そして、いくら工夫してもリーダーが一人で組織をつくるのは難しいと強く感じました。
今回、一番の学びは一人では組織を動かすことはできないということです。ここに記載したことは一人で実行しようとしてもかなり難易度が高いのではとおもいます。
同じ組織目線で、セールスチームをマネジメントしてくれたメンバーやbiz全体をみてくれたメンバーがいたからこそ成し遂げたものだと強く思います。
改めて、事業開発は組織を巻き込み動かす力も重要なスキルであると強く感じました。
今回のチームで達成した成果と試行錯誤については、こちらのインタビューでもお話ししています。
最後に
ここまで本記事を読んで頂きありがとうございました。
実は、本記事は #BtoB事業開発アドカレ の最後の記事となっています。
※事業開発アドカレは2本走っていました。
※熱量の高い皆様のおかげで自分の枠はカレンダーにはありません。
事業開発のノウハウや知見はなかなか表にでない印象なので、事業開発の役割を担っている方、今後事業開発にチャレンジしたい方にはかなり参考になる知見やケースが集まったのではと思います。
どの記事も濃密なのでぜひ、ご覧いただき「いいな」と思っていただけたらシェアいただけますと幸いです。
そして、本当の最後に宣伝です。
LayerXでは事業開発、事業責任者を担っていただける方を大募集しております。コンパウンドスタートアップという挑戦の中で事業を伸ばす主体者になれるのはとても面白い環境だと本心で思います。
ぜひ少しでもご興味いただいた方はカジュアルにお話しさせてください!