『すずめの戸締まり』が心の戸を開ける
先日、子どもたちと友人らと新海誠監督のアニメ作品『すずめの戸締まり』を観てきました。映画では戸は締めたはずなのに、そこはかとなく開いた気がします…(ホラー⁉)【個人的感想】
回収されるストーリーが面白い
小6の娘は「新海監督の映画は最初はわからないところがあったけど、だんだんストーリーがわかってきて、最後につながるのが面白かった」とご満悦。まんがのキャラを描くのが大好きな彼女は、最近、ストーリーも考えているそうです。面白くなるストーリー展開に着目するとは面白いなと思います。
びっくりしたクロネコの登場
小3の息子は「人間はいい部分と悪い部分があるね」といきなり難しい話をしだすので何事かと思ったら映画の話でした。「クロネコがバン!と出てきたシーンが大きな音がしてびっくりした」と息子。少しネタばれですが、どうやら、おばさんの悪い部分が出ているときの話のようで、途中で話が飛んでわかりづらかったけど、丁寧に聞けば彼の中でのつながりがみえてきました(^^。
そういう息子は突然、大きな声を出すことがあります。びっくりするので家族には不評なんですが、ぼくは何か理由があると思っています。
①すずめの戸締りは、そこはかとなく心の戸を開ける。
さて、自分はどうだったかなーとぼんやり考えてはいたけど、映画のあとは特別何も思い浮かびませんでした。
帰宅して湯舟につかってぼーとしていたとき、思い出が流れるようにストーリーが流れていくのが観えました。
そのストーリーのなかで「(自分が)追徴課税が〇億円」とかリアルな話をしているのだけど、今の自分ではない話なのでぼーっと眺めていました。
それはまるで起きているのに夢をみているような感覚でしたが、
これは、過去か、未来か、別世界の自分のストーリーに違いないと思えました。
きっと、今までも何となく観えたり、感じたりしていたのだと思うのですが、映画を観たおかげで、”別の世界”への意識ができて、その「映像」に対する接し方が変わったのかもしれません。
そういう意味で、この映画は心の中にある”別の世界”への戸を開ける映画なんじゃないかと思いました。
②未来は人々の意識で変わる。
たしか「人の心の重さが戸を閉めている」という内容のセリフがあったかと思います。
人々の意識は自分たちが思う以上に現実に影響を与えているのではないかと思いました。飛躍しすぎかもしれないけど、そうした集合意識が世界を形成しているともいえるのではないでしょうか。
過疎となり、人々の思いが薄くなった廃墟が境目となり、行き来する扉が形成されるということでしょうか。
ちなみに境目というのは家においては、1階から2階へいく階段であったり、水場であるトイレやお風呂、鏡だったりすると思います。
しかし巨大なミミズと『もののけ姫』に登場したデイダラボッチがかぶってみえたのはぼくだけでしょうか(^^)/
③あの世の世界との行き来が肯定されている。
現世(うつしよ)と常世(とこよ)というテーマは、ぼくも子どものころからテーマとしてきたことであり、東北の人たちにとってもいきなり直面せざるを得なかったテーマだと思います。
昨年、息子と気仙沼へ行ったとき『呼び覚まされる霊性の震災学―3・11生と死のはざまで』という本を宿で手にしました。その本によると、東北の人はこの世とあの世の中間があることを否定していないようです。
石巻市のタクシーでは「そういう乗客」を乗せても、変に怖がることなく送り届けるそうです。
永久に変わらない神域、死後の世界である常世は、実はいつも存在していてそこに意識を向ける(戸を開く)かどうかだけであるのだと思います。
子どものころ、死に対する恐怖でいっぱいでした。夜中にあまりにも怖くなってどたぼたと階段を大きな音を立てながら降りて、両親の眠る布団にかけこむことがよくありました。
夢の中でときどき遭遇するその世界が怖くてたまらなくて、これは夢だから夢だから!と体に力を入れて何とか脱出できたと安堵したりする日々でした。
そんな少年も成長したある日、逃げずにいようと思ったことがあります。そのときどうだったか、どこかにいったのか、何が起きていたかどうかは、いつかとらえることができるかもしれないけど、今のところ記憶がないというか、ことばがない状態です。
子どものころに観た世界
新海監督も、子どもの頃そんな体験をして観た世界があって、映画に表現したのもしれません。
さて、息子の大きな音の問題に戻ります。
息子が大きな声を出したり、大きな音を出すのは、たぶん…
たぶんだけど、ぼくと同じように無意識の恐怖からくるものではないかとぼくは思っています(息子には言ってないけど)。
それは彼が大人になるにつれて少しづつ自分で言語化していくのではないかと思っています。その扉は自分で開く必要があると思うので、そっと見守っています(^_-)-☆
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