ITエンジニアごときと舐められる理由が解った
IT業界外の人と話していると、やはりITエンジニアって理解されていない仕事なんだなと感じます。
いかに理解されていないかは以前に記事を書きました。
そして何より、ITエンジニアはオタクとかコミュ障というイメージもつきまといますし、更には2010年代以降に注目を浴び始めた職種でもあるため、世の中の理解も追いついていません。
でも段々とITエンジニアが理解されていない、そして舐められやすい理由が解ってきました。
ITエンジニアが低く見られている理由
オタクのイメージがある
ITエンジニアと言えば、PCに向かって黙々とコードを書く理系オタクというイメージが強いかもしれません。
最近よく見るキントーンのCMでは、文系管理職の部長がシュシュっとアプリを作っています。理系のイメージが強いからこそ文系を主張しているのでしょう。
しかし現実にはITエンジニアは半分くらいの人が文系です。特に経済学部出身者が多いです。
プログラミングに必要な数学は高校レベルまでで十分なので、文系でも論理的思考力さえ身に付ければプログラミングを習得できます。
これだけでも世間のイメージとは違いますよね。
それから実際にアニメオタクやPCマニアな人はいるにはいますが、楽器やスポーツが趣味という人も割といます。
ITエンジニアというと、家に引きこもってアニメやゲームに夢中になっている人が多いイメージかもしれませんが、そうとも限りません。意外と普通な人はいます。
またコミュ障ばかりではなく、社交的な人も多いです。さらには飲み会も多い業界です。ただし飲み会が多い理由は残業が多い業界だからストレス解消のためでしょう。
言われた通りに作業するだけの人と思われている
最近、経営者と話していて気づいたことが、ITエンジニアは言われた通りに作業しているだけの人と思われていることです。
「そうか、だから低く見られるのか!」と思いました。
普通は仕事は営業だけが顧客と話すものだと思われていることは多いでしょう。
私は工学部の学生にマネジメントをしていると言ったら、「それは営業の仕事でエンジニアには関係ない」と言われてしまったことがあります。
また経営者と話していても、「顧客と調整するのは営業の仕事で、ITエンジニアには関係ないでしょ。ただ言われた通りにコードを書くだけでしょ」と言われました。
そのイメージだと顧客の要望を営業が聞き、それをエンジニアに伝えるという流れになります。
そしてエンジニアは営業伝いに聞いた顧客の要望に沿ってモノづくりをするということになります。
これだと特に違和感はなく普通に思われます。しかしこれはIT業界の人が聞けば問題大ありです。こんなやり方ではプロジェクトが炎上すると感じるITエンジニアは沢山いるはずです。
なぜなら営業は技術的な話が解らないから、顧客の要望を技術的に実現する方法を顧客と話せないためです。
モノづくりのプロセス自体が理解されていない
毎回作っているものを今回も作って渡すなら営業伝いでもいいかもしれません。
しかしシステムは顧客毎にオーダーメイドだったり、既製品でもカスタマイズして導入したりするのです。
技術が解らないと顧客の要望を実現する方法が解りません。それをすっ飛ばしたモノづくりは間違いなく失敗します。
業界用語でいえば要件定義をしない開発であり、これはあり得ないことです。失敗が目に見えています。
また営業が売上を増やすために、無茶な要望も次々に請けてくるかもしれません。そうしたらエンジニアはたまったものではありません。ひたすら無茶な要望に対応し続けて、燃え尽きてしまいます。
まとめるとおそらくは世間一般からも経営者からも、ITエンジニアには顧客と話せるだけのビジネス知識やコミュニケーションスキルがないと思われているのでしょうね。
だからITエンジニアは経営者からも低く見られるのでしょう。
そりゃ言われた通りにモノを作るだけなら、高いスキルがあるとも高い価値を出しているとも言えないでしょうから、お金を払う価値がない対象だよねと。
舐められないためには本当のことを知ってもらう必要がある
設計をするためにはビジネスを理解する必要がある
ITエンジニアがシステムを設計する際に、顧客のビジネスを理解することは必須です。
情報システムはビジネスをサポートするために作るものです。様々なデータを保存し、みんなで共有をできるようにし、検索も容易にし、成形したレポートなども出力できるようにします。
ルールがあればルールに沿ってまとめて処理したりもしますし、他のシステムと連携したりもします。
更には保存したデータを店別や製品別、地域別、顧客別など様々な観点で分析して、戦略に役立てたりもします。
これらの機能を作る際に、ビジネス面で何をしたいかが解らないと決まりません。ビジネス面での理由なく作っても、使われない機能ができるだけです。
ITエンジニアは顧客とスケジュールや仕様の調整を行う
以上のことから、要件定義(何をやるか?)や設計(やりたいことをどう実現するか?)を考える、いわゆる上流工程のITエンジニアは、ビジネスを理解しなければ仕事ができません。
そのため要件定義や設計をやるITエンジニアは顧客と何度も対話します。コミュ障には務まらない仕事です。
ITエンジニアはビジネスの知識やコミュニケーションスキルがないとできない仕事なのです。
たしかに経験が浅いうちは、リーダーの指示通りにコードを書くだけの人から始めます。しかし経験を積んで設計や要件定義をやるようになれば、顧客との調整も増えていきます。
自分の経験やスキルが上がることで自分の影響力が上がります。するとチーム内や顧客への影響力も上がるため、調整事が増えていきます。
こうなるとコミュニケーションスキルなくして仕事が成り立たなくなります。
また私のようにマネジメントを仕事にしていると、顧客のビジネス課題への解決策の考案と提案や、スケジュールの調整などが発生します。
ITエンジニアは、世間一般のステレオタイプなイメージであるPCに向かって言われた通りにコードを書くコミュ障オタクとは180度逆の仕事なのです。
こういうことをもっと広く世の中に伝えて理解してもらわないと、ITエンジニアの立場もITの効果も理解してもらえないですね。
今まで世間一般が知らないことに私は気付いていなかったのです。だから低く見られてばかりだったのですね。
終わりに
ITエンジニアごときとかITエンジニア風情と舐められている限り、ITエンジニアの待遇は変りません。
ITエンジニアの仕事を世間に知ってもらうこと、特に影響力がある経営者に知ってもらうことが大事です。
経営者がITを理解していないから日本はIT後進国と言われるとよく聞きます。ITはもっと便利なものなはずですからね。
しかし経営者にITを理解してもらえていない理由は、IT業界の人が、特にITエンジニアがITの効果や自分たちが出せる価値を世の中にちゃんと伝えられていないというのも大きいのです。
ITエンジニアが業界内に閉じていると感じることが私にはよくありますが、それも諦めからなのかなと思ったり。
もっと広くITの力とITエンジニアの仕事を知ってもらうようにしてきましょう。