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AIブームを覚めた目で見てしまう理由に気付いた
2010年代にビッグデータを活用したAIが登場し、AIが人間の仕事を奪うと言われました。
そして2020年代には生成AIが登場して、膨大なパラメータと学習データにより、驚くべき精度を出してきました。
これによりいよいよAIが人間の仕事を奪う説が現実味を帯びてきて、世の中はAIブームと言わんばかりに、AIに夢中で盛り上がる人たちが沢山出てきました。
私のプロボノ先でも、みんながみんな生成AI一筋です。他は全く興味がなさそうです。AIさえあれば全てを解決できると言わんばかりです。
しかしこのAIブームを私はどうしても冷めた目で見てしまいます。どうしてもAIの勉強をしようという気にならないのです。それよりも他に勉強したいことが沢山あります。
この理由に最近気づきました。
AIの仕組み
AIは考え方を決め(モデルと呼ばれる。要するに計算方法)、学習データを与えて学習させることで、道具として使えるようになります。
ガベージイン・ガベージアウトと言って、学習データの質が悪ければ、ゴミみたいな結果しかアウトプットしてくれません。
よってAIにまともな結果を出させるには、計算方法の選択や調整、質のよい膨大な学習データの用意が欠かせません。
2010年代にAIが騒がれても、AIの導入事例をあまり多く聞かなかった理由は、これらが上手くできなかったからでしょう。
そこで生成AIです。生成AIは億単位のパラメータを持っています。計算方法については膨大な人員を割いて何度も調整して、調整方法としてパラメータを億単位で与えているのです。
そうした上でネット上のあらゆるデータを学習させています。つまり億なのか兆なのか解らない量のデータを学習させています。
人間だって知識レベルの高い人、例えば高学歴とか大学の先生、士業などは知識が膨大です。それくらい覚えるという行為は重要です。
だから生成AIは膨大な暗記量によって、かなりの精度で人間の質問に答えられるのです。
AIが得意なこと
このようにAIは学校教育よろしく、問題の考え方と教科書や練習問題の丸暗記によって、優等生のような回答を出せるように訓練されているのです。
だから型が決まっていることは得意です。例えばテンプレートを作成するなどです。
お誘いのテンプレート、挨拶メールのテンプレートなどは調べればネット上に記事が沢山出てきます。生成AIはそれらの記事を学習しているので、作ることも容易なのです。
他にも百科事典みたいに「〇〇とは」について詳細な情報を出すことや、それらの情報を要約することも生成AIは得意です。なぜならそういう記事がネット上に沢山あるからです。
つまりネット上によくあるパターンの記事みたいなことは、生成AIは得意なのです。
現状ではAIができないこと
逆にAIでは現状はできないこともあります。将来的には可能になるようにデータサイエンティストたちがチャレンジしていくでしょう。
特にAIが今できないことは、言葉の意味を理解することや感情を持つことです。
あくまでもAIは統計学で動いていますので、言葉を意味ではなく相関性で捉えています。
例えば「記事」という言葉の意味は理解していませんが、記事と関係がありそうな言葉は「文章」みたいなことは覚えています。
自分の仕事はAIで代替できない
AIについて解説したところで、私がAIブームを覚めた目で見てしまう理由を書きます。
それは自分の仕事をAIで代替できないからだと思うのです。
例えば仕事で問題が発生したときを考えてください。正解はありますか?多くの人は上司に相談するでしょう。
私が長年やっているマネジメントという仕事は、正解がない問題をどう解決するかという仕事なのです。多くの人が上司任せにしていることを解決するのが私の仕事です。
正解がない以上、アイディアを広く出し、よりベターな案を選択するしかありません。
また顧客が抱えている問題や課題の解決方法を考えるときだって、正解はありません。より上手い解決方法があるだけです。だからここでも広くアイディアを出して、よりベターな選択肢を考えます。
技術検証だって、どうすれば動くのか、このエラーはなぜ発生しているのか、何が原因で上手く動かないのかは、正解はあるでしょうけど、調べてもすぐには出てきません。
ネット上にある記事は最低限の設定で動かしてみたというものばかりです。そして生成AIはそういう記事を学習しています。
だから生成AIに「この技術を動かしていたらこういうトラブルが起きているのですが、解決方法を教えてください。」と聞いたところで、一般論しか応えてくれません。
そして何より、これらは全て特定の顧客の特定のプロジェクトという独自の条件がある中で行われています。
〇〇の概要を知りたいとか、△△という技術の教科書レベルの基本的なやり方を知りたいでは足りないのです。もちろん前提知識としてそれらを知らないといけませんけどね。
生成AIは教科書レベルのことは教えてくれますが、それを基に自分で考えなければいけません。
もちろん私が生成AIの使い方をあまり知らないからというのもあるでしょう。その場合は上手い使い方を教えてください。
私のAI活用
それでも私は一応生成AIを使っています。ブログや作曲にです。
ブログを書くときに、知らないことについて書く場合や、実際に実践している会社を探す場合に、生成AIに代わりに調べてもらっています。
もちろん生成AIに丸投げするのではなく、自分で本当かどうかは調べます。上司が部下に調査とまとめをしてもらい、上司が正しいかチェックするイメージです。
ちなみにブログはこちらです。勉強の手段として色々な知識について書いていますが、練習問題とか事例、架空の例などをできるだけ盛り込んでいます。
作曲についても、こういうイメージの曲を10曲挙げてくださいなどをやっています。
例えば明るい曲でギターのリフがカッコイイ曲を10曲挙げてくださいなどです。
こうすると自分が知らない曲がいくつも挙がっています。
そして生成AIが挙げている以上は、ランキング上位すなわちヒットした曲なのでしょう。それなりに有名な曲ということです。よって曲自体の質も高いのです。
なにより知らない曲を知ることができるのが楽しいのです。こういう点では生成AIは自分のインプットを拡張してくれるツールですね。
ちなみに作った曲はYouTUbeにアップしています。是非聴いてみてくださいね。
終わりに
私はAIを覚めた目で見てしまっていますが、AIは本当はとても便利なツールです。
しかもAIの難点だった学習データの用意を、生成AIはクリアしています。最初から学習済みの状態で提供されているのです。これは膨大な理系人材を抱える大組織にしか為せないことです。
我々はローコストでその膨大な開発コストがかかったツールを活用させてもらいましょう。AIをアシスタントとしてしっかり活用していきましょう。
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