農業が年々かっこよくなっている件
こんにちは、つちいじりです。
今日は、農に関心を持つようになって変わった常識について書きたいと思います。
これを読むと農業や農家に対するイメージがすこしでも変わればよいと思います。
農に関わるかどうかはさておき、日本の大切な食文化を守ることは大切なことです。
食や農に興味があるけど実際のところはよく分からないという方向けに素人が書きますので、プロの方はどうか温かい目でお見守りください。
これまでの農業のイメージ
これまで農業のイメージといえば、3K「キツイ、キタナイ、キケン」で、そして「モウカラナイ」でした。
わたしもそのようなイメージをもっていました。
事実データとしては、令和元年度の平均農業所得は121万円です。
だれも扶養控除を狙っているわけではありません。
さらに農業は、自然が同僚の仕事です。
自然はめったに休まない働き者でもあり、たまに秩序をみだす厄介者です。
本当に大変な仕事だと思います。
それにもかかわらず、誤解を恐れずに言えば、腰のまがったおじいちゃん、おばあちゃんがやる仕事というイメージがあると思います。
日本の農業の現状と課題
そのためか、農業従事者は年々減少傾向です。
こちらは農林水産省の統計データです。
この60年間でほぼ1/10という著しい右肩下がりです。
さらにもう一つ大きな課題があります。
高齢化と後継ぎ不足です。
現在、農業従事者の平均年齢は約67歳です。
高齢者雇用安定法によって会社員や公務員の定年が60歳から65歳まで上がってきたという話は、農業界にとってはどこ吹く風。
すでに安定的に高齢化しています。
多くが後継ぎがおらず、その方の代で農家が途絶えてしまうという状態です。
そのため、カロリーベースでの食料自給率は長期トレンドでは減少傾向。
近年は肉食になってきたことで、国内畜産の生産量が増えてきたため何とか横ばいという状況です。
食料自給率の政府目標は、以下の通りです。
これがいかに難しい目標か。
市場分析をして、営業戦略を立てて、それに基づいて実行する一般企業であればここまで高い目標を掲げないかもしれません。
なぜそこまで高い目標をかかげないとならないのか?
食はエネルギーと同じく安全保障の問題であり、国家存亡に直結する重要なテーマだからです。
食料やそれを作るための飼料の多くを輸入に頼っていると、何か海外との関係で問題が起きたときに、極端なことを言えば生きていけなくなる可能性があるからです。
日本の食と農への評価
そのような悲観的なデータばかりが並んでしまう日本の農業や食ですが、海外から見るとまた評価が違います。
わたしはこれまで15年以上、訪日外国人旅行をお手伝いしてきています。
お客様の旅行目的として、和食や食文化に対する期待は常に最上位におかれています。
世界の国と地域によってお客様のニーズはまちまちですが、食に関しては全世界共通で常に最上位です。
旅行を組み立てる際も、定番の日本食、ご当地料理を入れることが当然となっており、旅行の満足度は食の満足度と一致していると言っても過言ではありません。
海外にもよく行きますが、世界中どこに行ってもどんなに小さな町でも日本食のレストランを見かけます。
寿司やラーメンだけでなく、うどんや居酒屋料理など多種多様なレストランがあります。
和食は、2013年に世界無形文化遺産として登録されており、日本食は世界的なブームになっています。
それだけでなく、日本の里山風景がもつノスタルジックな魅力は世界中のメディアで取り上げられ高く評価を受けています。
棚田や農泊などの日本の農は、近年アグリツーリズム(農業Agriculture + ツーリズムTourism)として注目され、国内だけでなく海外からも高い期待を寄せられています。
日本人としては大変誇らしいことです。
わたしは、この世界からの期待と日本の現実とのギャップが、農業は特に大きいと感じていました。
何とかならないか、何とかしたいという思いがわたしを農へと導いたのかもしれません。
調べてみてわかったこと
農業というビジネスは、伝統的で硬直していると思っていましたが、大小さまざまな進歩や進化があることがすぐに分かりました。
今の農業には、3K「キツイ、キタナイ、キケン」に替わって、新3Kというキーワードがあるそうです。
「かっこいい」
「感動があって」
「稼げる」
新3Kすべてに違和感を覚える人が多いかもしれません。
しかし、これらは本当にこれからの農業の可能性を感じさせるキーワードです。
実際、かっこよくて稼げる農業を実践している人はたくさんいらっしゃいます。
ただそれはイメージしている農業とは違うかもしれません。
農を中心に事業領域をしている人たちがかっこいいと言えるかもしれません。
『世界を農でオモシロくする』をフィロソフィーに、さまざまな事業を展開している株式会社The CAMPus BASEの井本喜久さん
『日本一小さな農家』菜園生活 風来 西田栄喜さん
作るだけが農家ではないと独立農家でありながらしっかりと稼ぐ現代的な百姓を実践しています。
農業から社会課題を解決しようとされている鴨志田農園・鴨志田純さんは日本だけでなく世界にも飛び出して地域密着のサーキュラーエコノミーをつくろうと活動されています。
農は自然相手の仕事です。
植物や動物の成長には神秘的な一面があります。
機械化によって効率が上がってもそれぞれの農家さんの手仕事や想いだけでなく自然のなせる業があります。
そのストーリーがあります。
そういう意味で農業とはもともと感動があるビジネスでした。
そのストーリーや感動を新しいテクノロジーで伝えているのが産直ECのポケットマルシェや食べチョクではないでしょうか。
産直ECは一般消費者にとってもなじみのあるものになってきました。
これまでの流通の仕組みを大きく変えたと言えると思います。
流通構造が多様化したことで、農業自体の収益性も上げやすくなってきました。
それだけでなく、生産者と消費者を直接つないだというところが大きいと思います。
農業を盛り上げている多くの人が、異業種から参入や転身者であるということも農業の進化、可能性を感じさせるところです。
それはまさにイノベーションが農業界に起きていること教えてくれています。
そのような業界の変化もあって、実は新規就農者はここ10年は横ばいとなっています。
人口減少を考えれば、相対的には増えていると言えます。
また農業法人や新規参入が増えているというのも良い傾向です。
この先も産業構造の変革や新陳代謝は必要だと思いますが、着実に農業界は変わってきています。
また特に若い人たちがSNSをうまく使って、自営農家の稼ぎ方やイメージも変わってきています。
農業ってかっこいいというイメージが世間に定着するのもそう遠くないかもしれません。
そうなることを願っていますし、その一助としてできることをしていきたいと思います。
今日はこれからが楽しみな農業について熱く書いてみました。
ではまた。