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【MOMO原書PJT②】さまざまな読み方の実践
『MOMO』ドイツ語原書を読み始めて数日が経った。
単語の羅列と物語のはじまり
相変わらず一語一句に足踏みしている。
そのたびに大島かおり訳の偉大さに畏敬の念をいだきながら岩波少年文庫をめくる。
そうすることで、すーっと物語が入ってくる。
ドイツ語で読む限りはただの単語の羅列だが、大島かおり訳では物語のはじまっている。
ギャップがすさまじい。
このままではアルファベットを何十万文字と見せつけられるだけで、内容が入ってこない。
一語一語調べて、単語の意味は分かれど、文章としての意味がほとんど分からない。
そうこうしているうちに、主人公Momoの登場だ。
街の情景描写からMomoという単語が出てきたことがその合図だ。
日本語版を読んでいたので、モモの見た目はイメージができた分、分からないはずの単語も分かった気になれる。ありがとうモモ。
音読してみた
文字だけ目で追っていても、何か情報を得られそうもないので、試しに音読してみた。
といってもドイツ語の発音は大学1,2年生の頃に習って以来、苦手意識しかない。
読み方の規則みたいなものはなんとなく分かるが、舌が回らない。
目で追ってもつっかかり、声に出してもつっかかる。
それでも、街の住人たちがモモにあれこれたずねる場面に入り、会話が始まる。
10歳前後の女の子に大人たちが平易な言葉を選んで問いかけ、言葉をあまり知らないモモがシンプルに答えるやりとりが続く。
これは読みやすく、意味もだいたい分かる。
「いったいどこからきたの?」
「お父さんやお母さんはいるの?」
「いつ生まれたんだい?」
まさに初級ドイツ語講座の疑問文の攻め。
それもこれもモモが子どもだから。ありがとうモモ。
筆記してみた
モモや優しい住民たちのおかげで、和やかなやり取りをドイツ語でも楽しめるという奇跡に遭遇してやる気が回復したのもつかの間、会話は終わり、モモと住人たちによるモモの小さなすみか作りと食べ物おすそ分け描写が始まった。
これはまた黙読迷子になると察知して、今度は書き写してみた。写経のように心を落ち着けて、書き写していく。
不思議なことに書けば書くほど、モモのすみかは出来上がっていく。
とてつもなく自然に翻訳できる多言語翻訳ツールDeepLのおかげだった。
※ちなみにGoogle翻訳をも超える精度と言われるDeepLはドイツのスタートアップである。
ドイツ語にはドイツ企業の生んだイノベーションをということで新たな武器を手に入れたが、
DeepLは大島かおりと同じくらいの破壊力がある武器で原書を読むプロジェクトとしては反則級であるため、以後はできるだけ控えることとしたい。
幸い、後半はご近所さんのおすそ分け、ドイツの朝食で見慣れた「パン」や「チーズ」や「果物」など単語たちが迎えてくれたため、自力でも読解できた。
(モモには出てこないがビール das Bierは中性名詞であることは一度も忘れておらず、最も使った記憶があるドイツ語である。)
そうして、第1章が終わったのである。
ありがとうモモ。ありがとうDeepL
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