‡特殊書店☆BiblioMania‡
店主が出版業界唯一の専門紙『新文化』に執筆した記事です。 2023年2月から約半年間記事を執筆しています。 本誌に掲載後一定期間後にこちらの方に再掲載します。
読書感想文
(こちらは出版業界唯一の専門紙 『新文化』 2023年4月27日号に掲載された記事になります) 4月30日の夜から5月1日にかけて行われる、「ワルプルギスの夜」と呼ばれる魔女たちのお祭りがある。 これは伝説だが、この記事が掲載される頃にはちょうどその時期が過ぎる頃だと思うので、魔女の話でも。 最近メタバースで知り合ったアート系の人たちと、色々なカルチャーについて語ることがあり、つい最近は「魔女」についての勉強発表会に参加していた。 魔女といえば魔女狩りや中世ヨーロッパ
『おはよう!』 白い皿の上に落とされた元気よく卵の黄身が挨拶する。 衝撃的な写真と言葉からこの本が開始される、一体卵の黄身がなぜ『おはよう』と呼びかけるのか、それは本書を読むことで解き明かされる..…ことはない。 ただとてもユーモラスで可愛らしいのでこの本に興味がなくてもその一文で引き込まれるに違いない。 さてこの本はマーシャル・マクルーハンという文明批評家(そんな肩書があるらしい)によるメディア理論のご本だ。 このマーシャル・マクルーハンは少し意識の高いコンピューターやカ
(こちらは出版業界唯一の専門紙 『新文化』 2023年3月30日号に掲載された記事になります) 本屋を営むかたわら、趣味の範囲でサブカルオタク史の研究啓蒙活動に精を出している。 こうした分野は近年やっと文化的に評価や研究がなされ始めてはいるが、まだなかなか歴史的文脈が共有されていないと感じる。 元々の担い手にはこうしたちょっとアカデミックなことに興味ない層が多く、雑誌やミニコミ、イベントや個人の記憶など残りにくいものが資料となることが多い。複数の領域にまたがることが往々にし
日本は妖怪大国として様々な妖怪や怪異が暮らしている。 アニメなどでおなじみ水木しげるのゲゲゲの鬼太郎をはじめ、遠野物語等の伝承や寺社仏閣などにも髪として祀られることもある、近年だとアマビエ等も街に繰り出してよろしくやっていたし、妖怪は身近な存在だ。 さて中国にはなんとも言えない死神がいる、『無常』と呼ばれる死神も日本の妖怪と同じ様に中国の地元民に愛され独自の信仰が形成されている。 背の高い帽子に口から伸びる長い舌、道教の神のような古代中国の役人のような衣装。、中国の廟と呼ば
2023年7/12 以前より制作が発表されていた山崎貴監督の「ゴジラ」が発表され30秒トレーラーが公開された。 ゴジラ生誕70周年記念作品と銘打ち「シリーズ史上最悪の絶望が日本を襲う!」と公式サイトも公開された。 この30秒トレーラーが公開されるやいなやツイッターのTLは様々な意見が湧き上がった、予想通り「ドラゴンクエストユアストーリー」の二の舞いにならないかと心配するもの、大喜利、それはともかくとして期待を叫ぶものなど様々。 私の観測範囲では否定的な流れの方が多数派のよう
近年は実話怪談というものがブームだ。 実話怪談も多岐に渡る、定番の幽霊や怪奇現象、そして人間のサイコな一面を見せる人間に関する怖い話など。 今読み始めている「怖い食べ物」もそんな実話怪談の一つだ。 事故物件に住みトークライブやラジオそして本の執筆等を手掛ける事故物件芸人松原タニシが食べ物にまつわる怖い話を描き下ろした一冊だ。 これまでに事故物件にまつわる書籍や自らが体験した怖い話、身近なところから蒐集した怪談などを発表している。 私も実は過去の書籍の中にお話を提供しているの
人間の感覚や認識は常日頃から多くのものを、ないものとして扱っている、有形無形問わず。 自分たちがいる世界をどのように捉えているのか、通常視覚や聴覚やらの五感、その器官をフィルターのごとく通して世界を外界を捉えている。 まるで一種のバリヤーのようにして、そうして慣れ親しんだ世界を私達は自分の眼球で確認して今日も世界に異常はないなと安心して過ごすことができる。 では世界は本当に目で見たままの景色がそこに広がっているのだろうか? もし何らかの方法で感覚器官を弄ることが出来たとしたら
(こちらは出版業界唯一の専門紙 『新文化』 2023年3月3日号に掲載された記事になります) 先日とある書店が閉店した。 街の本屋でありながら名古屋では個性派な品揃えで知られる店だ。営業最終日に思い立って訪れた。 10年近く覗いていなかったが、かつては私もお世話になっていた。最終日ということもあってかなりの人で賑わい、熱心に棚を物色している。 何冊も腕に抱えながら。 棚もだいぶ空いてはいたが、それでも店の主力やイチオシなど抜かりはなく、そのラインアップはどこかウチの棚と同
(こちらは出版業界唯一の専門紙 『新文化』 2023年2月2日号に掲載された記事になります) サブカルとは一体何なんだろう。「サブカルは死んだ」と耳にすることが増えた。その意見には個人的に同意したいのだが、そもそも「サブカル」とは? 時代によって「サブカル」の意味や使われ方も変わってきた。私はサブカルをメインにした本屋を営み、勉強はしているが、いまだだによくわからない。 私はその文化や表現のなかに、何かしらの思想や矜持あるいは反抗的な態度が見え隠れするものが好きだ、そ
ラノベを読むのは何年ぶりだったか。 アタシがラノベに初めて触れたのは、神坂一の『スレイヤーズ』、当時アニメの方から入りヒロインのリナ・インバースを演じる林原めぐみに夢中になったものだ、そこから同じく『ロスト・ユニバース』『魔術士オーフェン』等富士見ファンタジアにはお世話になったものだ。 今回読んだ『囚人諸君、反撃の時間だ』こちらも、その富士見ファンタジアの系列のファンタジア文庫から出版されたファンタジア大賞金賞受賞作品だ。 富士見ファンタジア文庫はかつて富士見書房から、出て
エヴァにさようなら、今まで庵野にありがとう。 前感想文ではボロクソにこき下ろした気がするけれども、先にも書いたとおり実は今回のシン・エヴァについては評価してます、繰り返しリピート。 初日に見て3週間近く経った今でも、実はこのシン・エヴァについて色々ともやりもやりと考えさせられていて、数々の感想戦イベントなどに参加してこのもやりの正体や解消を図ろうとしているのだけれども、なんとか落ち着いて考えてみた。 よく言う感じにエヴァに囚われているとかエヴァからの卒業を拒んでいるとかそ
シン・エヴァンゲリオン公開後の初見での感想文 と言う名の弔事的ななにか。 インターネット上では箝口令が敷かれていて、まあそれもそうだなと思いつつもう少し時間がおいてから感想文書こうと思ったけどほとばしる熱いパトス的なアレが湧き上がってきたので忘れないうちに。 個人的なエヴァーとの初対面はアニメ大好きキッズだった小学校生時代まで遡る、学校行く前の朝のアニメタイムに始まって観始めてしまったのが運の尽きだ。 私の住んでいる地域では朝放送だった。 「しまじろう」とかの子供向けアニ
【はじめに】 これはアダルトゲーム「さよならを教えて~commont dire adeu~」ファン同人誌、甚だ夜に様主催「夕焼けは夜に染まりさよならの続きを、もう一度」への寄稿文をnote向けに加筆修正を加えたものになります。 「さよならを教えて~commont die adeu~」20周年おめでとうございます。 雨の中で僕は 来夢来人 さて、どこに行こうか? 1999年の奇跡と対をなす2001年の新世紀に起こったもう一つの奇跡、たぶん1995年の新世紀の
コレまで海外古典SFばっかをメインに読んでいたこともあったし、日本SFはじつはあまり読んだことがなく日本SFといえば神林長平を好んで読んでいたくらいだった。 先日とあるSF作家さんと知り合うきっかけがあり、その著作を読んだことがきっかけで最近の日本SFもだいぶ凄いことになっていることを感じさせられたので、最近話題となっていた柴田勝家のこの著作を読むに至った。 そのSF作家さんの作品はそのうち読書感想文に上げる予定。 最近の私の興味がVRやAI等のテクノロジーが社会に与える
名古屋は清涼な水を提供する木曽三川を水源に穀倉地帯は小麦の生産量トップ10に入る。 そのため良質な小麦が産出され、また味噌醤油等の醸造も盛ん、そのため数百年前から麺料理が盛んでそのころから営業している。 また市場の中に麺販売と飲食を提供していくスタイルの店舗も昭和30年頃増え、店舗を展開するパターンも増えた。 ・きしめん 平ぺったいうどん。 生地を竹筒で碁石の様に丸く押し切った「碁石麺説」 紀州藩の殿様が伝えた「紀州麺説」雉の肉を入れた「雉麺」説等語源に関しては諸説ある
遥か遠い未来、自転が停止し永遠の昼と夜が覆う地球、巨大な熱帯雨林が地上を支配し、ほぼ滅亡した人類は大幅に退化し食物連鎖の下部に位置しながらも辛うじて種を存続させていた。 ほそぼそと存続していた群れのリーダーと反発した所為でから追われた主人公は知能を上げるアミガサダケに寄生され、あてもなく旅立つ。 もともと人類の知能は人間に規制した生物アミガサダケによってもたらされた物で、文明崩壊後はアミガサダケと人類は切り離されほそぼそと生き抜いてきた。 アミガサダケの勢力を拡大するために人