教材プロジェクトは「設計・制作・運用」三位一体で考える
こんにちは。「教材の力」で人材育成の課題を解決する教材戦略ラボの矢澤です。
私は普段、教育サービスを展開される事業者様向けに、教育プログラムの構築、メソッドの体系化、カリキュラム設計、テキスト・ワークブック・マニュアル等の制作のお手伝いをしています。
今日のコラムのテーマはこちら。
教材づくりの落とし穴・盲点
教材戦略ラボは、その名の通り「教材」に特化したソリューションを提供しています。
ですが、「教材」は「作ることだけ」を考えたところで、大した効果は期待できないものです^^
こんなことを書くと、元も子もない発言に聞こえるかもしれませんが、これは真実だと思っています。
仮に「教材を作ることだけを目的にしている」「教材さえ形にできれば良い」というお客様が来られた場合、私たち(教材戦略ラボ)ができることは、限りなく少ないです。
(このようなニーズの場合は、資料作成を専門とされる会社さんや、自費出版を扱う会社さんに相談されてみては?と提案します)
この辺りに、このWebサイトが「教材【制作】ラボ」ではなく「教材【戦略】ラボ」という名前である理由があります。
…と前置きが長くなりましたが、要は教材戦略ラボとしては、教材を以下のようなものとして扱っているのです。
教材とは…
人材育成の課題を解決するためのもの
教育サービス(商品)の質・価値を引き上げるためのもの
つまり、「教材づくり」はこれらの目的を叶えるための「手段」であって、「教材づくり」そのものが「目的」ではない、 という考え方です。(=「教材を戦略化する」という発想)
01|「教材の力で問題解決をする」という発想
そのためには、「教材を作ろう!」というときは、以下のような問いを立てるところから始めます。
そもそも、どんな人材を育てようとしているのか?
その人材は、現状ではどの程度、意図通り・期待通り育っているのか、いないのか?
提供している(またはこれから提供しようとしている)サービスや商品は、どんなクオリティであるべきものなのか?
そのサービスや商品は、どんな価値づけをしようとしているものなのか?
これらの問いに対する答えが「教材づくりの目的」になります。
まずはこれが明確になってはじめて「教材の設計」に入ることができます。
02|教材の「設計」フェーズ
明確にした「目的」に対して
では、どんな教材があったら、その目的を達成できるのか?
と考えるのが次のフェーズです。
「目的は何か?」→「それを実現する教材ってどんな教材か?」
この順番で考えることで
「その目的なら、教科書タイプの教材が必要だ」とか
「その課題を解消するためには、ワークブックがあると良さそう」とか
「講師マニュアルを整備するのが最優先だ」
などといった「具体的な教材の姿・形」が見えてきます。
これが「教材を戦略的に設計する」という第1フェーズです。
03|教材の「制作」フェーズ
「教材の設計フェーズ」を踏んではじめて「教材作り」に着手できます。
すでに「どんな目的で、どんな教材を作るのか」が決まっているので、あとは
その教材をどのように作ったら良いのか?
という方法論を考えればOKです。
「ワードよりもパワポのスライド形式で作る方が使い勝手が良さそう」
といった、使用ツールや形式の選択にはじまり
「テキスト(文章)部分は自分で書いて、イラストは外注して…」
といった役割や業務の分担を考えたり
「先にテンプレートを作って、後から原稿を入れる」
といった作業の優先順位を判断したりと
どんなツールを使って、誰が、どういう手順や段取りで作っていくか?
を考えていきます。
もちろんここでも「どのツールで作ろう」とか「スケジュールはどうしよう」などと悩む要素は多数あるのですが、すでに「教材を作る目的」と「作りたい教材の姿・形」は決まっています。
そのため、悩んだり迷ったりすることはあっても、ゴールを見失うことはなく、空中分解するようなことはまずないです。
産みの苦しみを味わう段階ですが、一つひとつの作業を粛々と着実に進め、教材を「完成」に持っていきます。
これが「教材を戦略的に制作する」という第2フェーズです。
04|教材の「運用」フェーズ
と、ここまでで
教材の設計
教材の制作
が終わりました。
「教材をちゃんと設計して、ちゃんと作って完成させた! これで完璧!」
となりがちなのですが、実はここに「教材作りの盲点・落とし穴」があります。
それが「運用・運営の視点」です。
要はその作り上げた教材を、実際の教育サービスの中で
どのように活用し、とりまわしていくか?
を考えておくということ。
結局どれだけ「モノ」として完璧な教材を作ったとしても、
それをどう活用するか?
いつ受講生に配布して、どんな動機づけをして、どんなふうに使ってもらうのか?
までを含めてシミュレーションしておかないと、教材の効果は半減してしまいます。
実際に、この最後の「運用・運営」のシミュレーションが充分でなかったことで、「教材を作ったものの思うように機能せず、せっかく作ったのにお蔵入りしてしまった」というような残念な事例もまれにあります。
確かに教材が完成したことで満足してしまう気持ちはわかるのですが、これだとものすごくもったいないです。
05|まとめ
というわけで、教材プロジェクトにおける落とし穴・盲点を紹介いたしました。
設計
制作
運用
を三位一体で考えることが「良い教材」を作るためには不可欠。
ぜひ「教材の完成形」が見えてきた頃に、「この教材をどう運用する?」という目線を入れて、シミュレーションしてみてください。
これにより教材に命が吹き込まれ、講座や研修内で活き活きと活躍してくれるようになります。
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