旅打ちを夢想。〜山口瞳「草競馬流浪記」をまたつまみ読み。
山口瞳「草競馬流浪記」
不定期に読み返したくなります。
作家の山口瞳さんが、全国の公営競馬27ヵ場を完全踏破し、どのような馬券を買って戦績はどうだったのかはもちろん、それぞれの競馬場の特色や雰囲気、旅の道中、どんな宿に泊まったか、どんな食事を摂ったのかまで含めて書き記した本です。
目次が、
「1.笠松のおぼこい乗り役たち 17頁」から始まり、
「2.水沢競馬、北国の春はまだ 37頁」
「3.姫路、紀三井寺は玄い客ばかり 57頁」
・・・中略、
「21.旅の終わりの帯広、岩見沢 501頁」まで、27ヵ場なので非常に内容が豊富で読み応えがあります。
私は、いつも本棚の目につくところに差しておき、よく手に取ります。
得意の、つまみ読みです。
ぱらぱらめくって、自分も地方に旅打ちに出ている気分を味わうことができます。
27ヵ場のうち、13ヵ場が閉場。
目次が洒落ていて、当時の公営競馬場の分布図になっているのですが、半分近くの競馬場はすでに閉場してしまっています。
27ヵ場のうち、1988年の和歌山県・紀三井寺競馬場の閉場を皮切りに次々と姿を消し、実に13ヵ場が閉場しています。(閉場した競馬場を赤字で示してみました。)
本書は、すでに閉場となってしまった競馬場の雰囲気を知ることのできる、貴重な競馬資料とも言えますね。
取材は、ミスターシービーが三冠を達成する頃に行われたようなので、1983年頃。
すでに多くの公営競馬が赤字経営で苦しそうな様子も描かれますが、山口瞳さんはシビアな目線で、こう書いています。
少し補足すると、当時の三条競馬場は、第3コーナーがほとんど直角になっており非常に危険で、本書の取材の際にも落馬事故があったことが記されています。
危険で騎手のためにも馬のためにもよくない、しかも、赤字で地方自治体も苦しい。であれば、廃止した方がよい、という現実的な意見。
三条競馬場は、その後2002年に閉場しています。
「僕を生かしめているのは競馬。」〜旅打ちを夢想する。
シビアな意見を述べている部分を紹介してしまいましたが、山口瞳さん、自身と競馬の関係について、このように書いています。
ここまで競馬を愛している方の旅打ち本、つまらないはずがなく、フランチャイズではない競馬場で地元の馬券オヤジと馬券勝負を繰り広げる様子に読み入っているうちに、自分も旅打ちに出たくなるのです。
(ちなみに、文庫版の解説を映画監督の森田芳光さんが書いているのですが、森田さんもやはり、この本を読んだあと競馬仲間と笠松競馬場へ旅打ちに出たそうです。)
現在残っている公営競馬場は、以下の15ヵ場。
私はこのうち、南関東の大井と川崎しか行ったことがないです。
今はどこの競馬も、現地まで足を運ばずともネットで買うことはできるのですが、やはりできれば現地観戦で馬券も楽しみたいところ。
そのうち旅打ちでもしたいな〜と夢想しながら、地方競馬のホームページを覗いてみると、各競馬場、それぞれの特色があって。
特に目に止まったのは、さがけいば。
こちらがホームページ。
この記事のトップ画像に使わせてもらった競馬場のバーチャルツアーのコンテンツがあったり、元JRA騎手・佐藤哲三さんと佐賀競馬所属の飛田愛斗騎手など若手騎手との対談動画をyoutubeにアップしたりしていて、興味を引かれました。
あとは、何と言っても競馬場グルメが気になります。
その点も、佐賀競馬はなかなか充実していそう。
これは現地に行かないと食べられない。
いつか行ってみたい。。
あとは、金沢競馬もサイトが綺麗で、グルメが充実していそう。
これから、サイトをちょいちょい覗いて旅打ち構想を練ってみたいと思います・・。
最後の方はB級グルメネタっぽい記事となってしまいましたが、「草競馬流浪記」は、古い本ですが、競馬ファン必携の本だと思います。
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