愛す、故に、叩く。〜海老沢泰久「みんなジャイアンツを愛していた」を読んだ。
一気に読み終えてしまいました。
「みんなジャイアンツを愛していた」。
本の内容。
本の構成としては・・
1.川上哲治が、巨人の監督となり、メジャー(ドジャース)の野球を取り入れていった話。
2.長島茂雄の第一次政権(1975年〜1980年)の話。(長島は、監督としては一流ではなかったのでは?)という話。
3.広岡達朗が西武の監督を引き受けるまでの話。広島コーチ時代、ヤクルト監督時代、そして西武監督へ。
4.1982年、広岡達朗の西武監督一年目の話。
5.巨人を愛した巨人キラーとして、江夏豊、平松政次、星野仙一などの話。
6.高橋一三など、巨人のユニフォームを着たが、他の球団に移籍した男たちの話。
どれも、「ジャイアンツ」というチームを巡っての話。
ジャイアンツに在籍した人間はもちろん、ジャイアンツと敵対しているチームに属した男たちも、実はジャイアンツに対して熱い想いを持っていた、ジャイアンツは、”熱い想いを持つに値する”チームだった、という事が伝わってきた。
特に面白かった部分ー巨人・広岡監督の可能性もあった?
特に、広岡達朗とジャイアンツの不思議な縁、広岡のジャイアンツに対する想いが書かれた部分が面白かった。
長島が巨人を去る1980年。翌年以降の監督に、広岡達朗が就任する可能性があった、というのも面白かった。
この本を読むと、巨人はV9以降、戦力の衰えもあったが、球界の盟主として相応しくない振る舞い
が目立つようになった。それでも、長島監督時代はよく練習はしたが、藤田元司監督(1981年から三年間、第一次政権として巨人の監督を務めた)は選手の自主性に任せ、選手は練習をしなくなったという。
個人的に藤田監督は好きだったのだが、巨人・広岡監督が誕生していた方が、巨人のためには良かったのかも?と思ったり・・。
実際には、広岡・西武が誕生し、黄金時代が築かれ、その後さらに、森・西武の時代まで、球界の盟主は「西武ライオンズ」となってしまったのだから、監督としてはやはり広岡さんの方が優秀だったのだろう。
他に面白かったのは・・
”長島茂雄、監督向かない論”も面白かった。
長島さんは、あまりにも光の当たる道を歩んできたので、人の気持ちがわからない。用兵ひとつとっても、たとえば守備の悪い張本を試合終盤でベンチに引っ込ませる、5万の大観衆の前をとぼとぼとベンチに帰る人間の気持ちが、長島にはわからないのだろうとか、なるほど、と思った。
人の気持ちがわからないと、という意味では、いろんな苦労をしてきた人、ポジションとしては、負けん気の強い投手をなだめすかす女房役、キャッチャーがやはり、監督にはいちばん向いているんだろうな〜と思ったり。
あとは、星野仙一や、平松政次も、ドラフトにかかる前に巨人は”一位確約”をしていた、という話。
昔っから、巨人がやることは変わっていないんだな〜。。
続いて、この本を読もうかなと思ってます。
(トップ画像)
ピッチャー交代の場面ですかね。変えられたのは高橋直樹だと思う。代わりにマウンドに上がってきたのは工藤公康。左は片岡晋作。みんなスリムでカッコいい。今の選手はみんなムキムキになっちゃいましたよね…