団地の本屋の新たな試み
若葉台、というと京王相模原線の稲城市の駅を連想する人が多そうだが、横浜市旭区にも若葉台がある。こちらは駅からは離れたバスでのアクセスが中心の高層棟が建ち並ぶ団地。十日市場や長津田などからバスが出ている。
中心部の商業エリアはイトーヨーカドーを核として、チェーンのコンビニやファストフード、ドラッグストアの他に飲食店は個店が多い。
ご多分に漏れず書店は昔はあったが閉店していたのが、移動書店ブックトラックを運営している店主さんが2022年に新刊・古書・ドリンクスタンドのハイブリッド型書店をオープン。
移動式書店を営みつつ、住民が高齢化した団地に適した固定店舗の書店のあり方を模索中。
そしてインタビューなどでも近くの別の団地で育った、と語っているのが、同じ旭区内にありこれまた駅からは離れた左近山(さこんやま)団地。運転免許を持っている神奈川県民なら一度は行く二俣川駅からバスが出ている、若葉台よりさらに住民の高齢化の進んだ団地。
そこに、閉院した診療所を改装したコワーキングスペースがあり、そこの一角に古本を置く形でブックスタンド分店がオープン。左近山団地も書店がなくなって久しい中で、無人でも本を買える新たな試み。時間はかかるが新刊の取り寄せも可能。
以下の日経ブックプラスのインタビューの中ですでに他の団地に分店を作る構想が語られている。これが今回初めて具現化した形。
左近山第三バス停そばのトリオ左近山というコワーキングスペースは基本は無人だが管理人が定期的に駐在する。その一角に置かれた本を買うのは無人の時はペイペイ払い、有人のときは現金も可。高齢化率からするとなかなかペイペイで買う人はいない気もするが、都内でいくつか夜間もやっているテクノロジーを駆使した無人書店と真逆で、ほとんど野菜の無人販売のノリ。とはいえ、販売管理に防犯カメラに買う本をかざす、というやり方は万引き防止策も兼ねているわけだ。
上記サイトに埋め込まれたインスタの動画内でそのへんの買い方が暫定として触れられている。
もともとのブックトラックでの出張販売は継続しつつ、若葉台でのブックスタンドも営業して(営業はどちらかになる)、さらに分店なので古本の無人販売なのは当然ともいえる。
個人的には著者にも出版社にも1円も入らない古本は、結局は業界の首を絞めるのではないかという気もしているが、本屋側からすると新刊の利益率の低さでは賃料も賄えないので古本の扱いを厚くというのはごもっとも。むしろタイトルが分かれば取り寄せもできるというのが画期的なくらい。いずれにしろ手間に見合うくらいには売れるといい。
以下は若葉台の店舗の紹介やインタビュー。
ところで独立系でも増えつつある御書印の扱いは、そんな中では手間に見合う実入りなのかどうか。少なくとも集めてる人を呼ぶ力はある。ここはやってないが、別の移動式書店がやっていたのではなかったか。