台湾薬膳スープの世界 #3
小飛
第3回:「四神湯」〜胃腸の調子を整える薬膳スープ〜
こんにちは!台湾人の小飛です。
今回は「四神湯(スゥセンタン)」という台湾薬膳スープの紹介です。
このスープは豚のモツと「四神」という生薬を使って作った、体に優しいスープです。
四神とは
「四神」とは中国伝統医薬学では4つの生薬を組み合わせた漢方のことをいいます。
4つの生薬が入っているなんてなんとも体によさそうですよね!
日本でもネット通販などで簡単に手に入れられますよ。
今回の薬膳スープ「四神湯」
四神湯は、四神の働きにより食欲不振、胃腸の虚弱、精神不安、腎機能、疲労などの様々な不調に効果があるとされています。
また、豚肉、特に豚のモツ肉にも弱っている胃腸の働きを高める効果があるとされています。
そのため、台湾では新しい環境で生活し始めた時など、慣れない食べ物などによって胃腸や体を壊してしまった時に、昔から四神湯を食すのが一般的です。
私も、まだ小さかった頃、胃腸の調子が悪い時などに母親がよく四神湯を作って食べさせてくれました。
少し専門的な話になりますが、四神湯は食薬のもつ5つの性質(熱性・温性・平性・涼性・寒性)のなかで「平性」にあたります。
「平性」は他の性質に比べて穏やかな性質なので、体に過度な刺激を与えないし、誰にでも相性が良く、季節に関わらず一年中食べられます。
そのため、台湾では家庭料理としても、レストランや屋台料理としても人気がある、国民食的な薬膳スープなんですよ。
材料 (4人分)
スペアリブ ………………… 600g
四神 ………………………… 1パック
生姜 ………………………… 半分
ネギ ………………………… 1本
花椒 ………………………… 2グラム
料理酒 ……………………… 大さじ2
塩 …………………………… 適量
伝統的な四神湯は豚のモツで作られますが、日本では手に入れにくいため、今回は台湾でも代用されることがある、スペアリブ(豚の骨付き肉)を使います。
作り方
(1)四神をよく洗い、30分ほど水に浸しておく。
(2)ネギを鍋に入れやすい大きさに切る。生姜は半量を5mmほどの薄切り、残り半量を千切りにする。
(3)スペアリブ、ネギ、薄切りにした生姜、花椒、分量外の料理酒大さじ1杯を鍋に入れ、お肉が完全に浸るくらいの水を加えたら沸騰するまでたまに混ぜながら茹で、肉の臭みをとる。
(4)茹でたスペアリブを鍋から取り出し、水で軽く洗い、肉に付着したアクをとる。
(5)フライパンに千切りにした生姜をいれ、香りが立つまで弱火でじっくり炒める。
(6)鍋に四神、炒めた生姜、スペアリブ、料理酒、水1.5Lを入れ、強火で沸騰させる。沸騰したら蓋を閉じて、弱火で90分煮込む。
(7)塩で味付けをして器に盛り付けたら出来上がり!
もし、台湾の調理家電“大同電鍋”をお持ちなら・・・
難しい作り方ではないので、是非ご自宅で作って召し上がってくださいね。
今回の薬膳スープも味付けは塩だけのシンプルなスープです。
特に今回はほとんど茹でるだけのため、素材の素朴な味と風味が感じられる、ほっとするスープになっています。
お肉は時間をかけてじっくりと茹でているため、とーっても柔らかく、四神はホクホクした食感や、ぷちぷちとした食感を楽しめ、それぞれに味の違いも感じられますよ。
特に「茯苓」はほんのり苦くて健康的って感じ!でも子供は苦手(笑)。
そして、千切りにした生姜がたまにピリッと効いて良いアクセントになります。
優しい味だけど、大きなお肉が入っているのでお腹はしっかり満たされますよ。
ちなみに、四神に含まれる「芡實」は、食感や茹でた後の見た目が「ハトムギ」と似ているのでよく代用されます。
ハトムギの効果は胃腸の調子を整えたり、美肌などへの効果が知られますが、ハトムギを使った四神湯は妊婦の方や頻尿の方に対しては控えめにしたほうがいいと言われています。
本場・台湾の有名店!
最後に台湾の有名店の紹介です。台湾を訪れる時はぜひ立ち寄ってみてくださいね。
・惠安四神湯
場所:台北市萬華區內江街144號
地元民に人気のいろんな四神湯を味わえる専門店。
・小暫渡米糕四神湯
場所:高雄市前金區自立二路19號
南部では四神湯と一緒に食べることの多い「米糕」も有名なお店。