慣用句から学ぶ韓国語 #1
徐旻廷(ソ・ミンジョン)
「파김치가 되다(パキムチガトェダ)」
=「ネギキムチになる」
韓国語には「파김치가 되다(パキムチガトェダ)」という慣用句があります。「파김치(パキムチ)」は「ネギキムチ」、「〜가 되다」は「〜になる」という意味です。直訳すると、「ネギキムチになる」となりますが、これはどういう意味でしょうか。
まず、「ネギキムチ」について考えてみましょう。なんとなく、ネギで作られたキムチではないかと思いませんでしたか。その通りです。一般的にキムチの名前は、主材料となる野菜の後に「〜キムチ」と付くのが普通です。ここで、ネギはワケギ(分葱)のことをいいます。もちろん、地域の特産物として、地域の名前から名付けられたり、キムチ固有の特性から名付けられたりすることもあります。韓国には数百種類のキムチがあると言われているので、キムチの名前の由来も様々です。
生のワケギは、ハリがあってシャキシャキしているのが特徴です。このワケギをキムチのヤンニョム(合わせダレ)に漬けておくと、しんなりしてきます。これが、まさに元気だった人がクタクタに疲れて元気がなくなった様子に似ているため、このような慣用句が生まれたのではないでしょうか。
韓国では、立冬の前後、冬から春の間に食べるキムチを大量に作る「キムジャン(김장)」という食文化があります。「大量に」というのは、一体どのくらい作ると思いますか。もちろん、家庭によってそれぞれだとは思いますが、4人家族だと白菜20株〜30株くらいは漬けるでしょう。日本人としては考えられない量だと思いますが、韓国ではこれが普通です。
ということで、韓国人の家庭で「キムジャン」は、一年の中で最も大きなイベントと言えるかもしれません。前日に白菜を塩漬けして、当日に各種の素材を混ぜてヤンニョムに漬ける工程は、一人では絶対できないことなので、家族全員で協力しなければなりません。
この時期によく使われる慣用句がまさに「파김치가 되다(パキムチガトェダ)」です。キムジャンが終わった後、「キムジャンをしたら、ネギキムチになった!」と言います。韓国語では、「김장하다가 파김치가 됐네(キムジャンハダガ パキムチガトェッネ)」です! 確かに、キムジャンをするとネギキムチになりそうですね。この言葉は、日常的にもよく使われています。
最近では、スーパーにもキムチコーナーがあるくらい、キムチは日本人の食卓にもよく見られる食べ物になっています。白菜キムチに比べるとネギキムチはまだ知られてないかもしれないですが、ネギキムチを売っているところも増えているので、皆さんもぜひ召し上がってみてください!
ちなみに、ネギキムチと相性が良い食べ物としてはサムギョプサルやジャージャー麺、焼き芋などがありますよ。
*類似語としては、「녹초가 되다(溶けたロウソクになる)」もあります。