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すべての道は舞台に通ず

2021.4.17(土曜日) Go watch a play 2 

ざぁーざぁーと激しい音がしている。走る車の音もタイヤに水気を含んでいるようでスムーズではない。昨夜、お芝居の帰りは傘もささないでいいくらいの小雨だったが、いつの間にか夜は明け本降りになっていた。

その雨のせいか今朝は少し肌寒く、リビングの床暖房をつけた。猫も嬉しそうにお腹を床にペタッとつけてくつろいでいる。私も夫も床にペタッと座り、テレビでニュース番組を見る朝だった。政治家の言葉は私たちの耳を通り抜け雨の音と共に消えてなくなる。それほど意味もなく弱々しい言葉の羅列だった。

昨日はあんなに楽しい夜だったのに...

昨夜は久しぶりの観劇にとても興奮していた。いつもなら、仲間とお酒を飲みながら一晩中演劇論を語り合うのだけど、今の世の中そういうわけにもいかず、劇場で「おつかれさま」と声を掛け合ってそのままタクシーに乗って帰ってきた。好きなことを語り合えないというのは本当に寂しい。タクシーの運転手さんが「新感線、観てらしたんですか?」と話しかけてきたので「そうです。新感線、ご存知なんですか?」「もちろん知ってますよ」と、予想もしないところで10分足らずの演劇論が始まった。

お芝居はひと言で言うならとても愉快だった。劇団☆新感線の芝居は、いつもハードロックな感じが3時間以上続くのだが、今回は世の中の流れを鑑みて2時間におさめ、出演者も最少人数でのお芝居となった。それでも観客も巻き込んで楽しいものを作るというコンセプトは充分感じられた。昔からのファンのために過去に上演した作品のオマージュも涙もので、愛しの阿部サダヲは舞台所狭しと動き回り、古田新太は舞台中央で見得を切る。木野花さんの役者魂満載の台詞回しの素晴らしさ。お若い役者はこの大先輩たちについて行こうと張り切っている。もうそれだけで充分ではないかと思う。しかし、掛け声や歓声は禁止されたいた。じっと黙って彼らの姿を観る。

「上演時間内だけでも楽しく過ごしてもらえるように、一生懸命、精一杯くだらないものを作っています」(古田新太)
「とにかくたくさん笑っていただきたい。あまり筋は追わなくていいです(笑)」(阿部サダヲ)


抑制された生活の中の、束の間の快楽だった。

だから芝居はやめられない。


今日はいち日雨だそうだ。

諦めがつく雨だ。

じっとして過ごそう。






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イトカズ
読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。

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