【読書記80】ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
こんにちは。こんばんは。人材紹介会社5年目のFumiyaです!
本日はこちら。
内定者の学生から教えていただいた一冊。
初めはあまりネガティブ・ケイパビリティの概念がわからなかったのですが
本を読んで理解すると同時に、今の時代を生きるにあたって非常に大切な力であると感じました。
この本を読んでから、様々なところでネガティブ・ケイパビリティの話を聞く機会があり驚いています。
皆さんにも知っていただきたい概念です。それではどうぞ。
【著者】
帚木蓬生氏
1947年、福岡県生まれ。作家であり、精神科医。
東京大学文学部、九州大学医学部卒業。八幡厚生病院副院長を経て、通谷メンタルクリニックを開業。現在は専業作家。
【概要】
ネガティブ・ケイパビリティとは「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」のことを指している。
精神科医として「共感」を大切に患者に向き合っていた著者は
研修医の頃にうまく治ってくれたと思った患者さんが、数年後、前よりも重症となって再入院をしている姿を見て
精神科医としてどれだけの力があるのか悩まされていた。
そんな折に出会った一冊の論文。
タイトルは「共感に向けて。不思議さの活用」。
その中で語られていたのが、ネガティブ・ケイパビリティであった。
不確実な中でその事態や情況を持ちこたえ、不思議さや疑いの中にいる能力。
それが、相手を本当に思いやる共感に至る手立てであると。
この概念を理解した著者は、生きるすべも、精神科医という職業生活も、ずいぶんと楽になったとのこと。
現代の社会は「ポジティブ・ケイパビリティ(問題を的確かつ迅速に対処する能力)」に対する信仰がはびこっている。
ただ、それはえてして表層の問題の身を捉えて、深層にある本当の問題は取り逃がしてしまう可能性がある。
世の中には、どうにも変えられない、とりつくすべもない事柄に満ちている。
その中で、このネガティブ・ケイパビリティを理解し自覚することは、苦難の連続である人生の中で生きる力として活用することができる。
【所感】
内容はハードで難しかった。
過去の論文や哲学的な考え方の部分から説いている本になるため、内容は本質的で深いものではあるが、初心者向けには難易度が高い。
ただ、その中で非常に学びの深い示唆を得られる。特に、教育の章に関しては共感できることが多く、いい勉強になった。
[ビフォー]
・VUCAの時代で生きる本質的な考え方・術を学ぶ
[気づき]
・答えは好奇心を殺す。
・答えは質問の不幸である。
・運・鈍・根は、ネガティブ・ケイパビリティの別表現
・人の死を知ることは、自分の人生の限界を知ることに直結する
・すぐに答えが見つけられなくても、何とか持ちこたえていけるのも能力の一つである。
・共感の土台を強く深いものにするためには不断の努力と教育が必要。
[to do]
・ネガティブ・ケイパビリティの概念を知り、日々「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態」があることを念頭に置く