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【「嗜む」のすすめ】「Less is more(レス イズ モア)」に焦がれ本を嗜む


浅岡省一さん撮影

私達が密かに大切にしているものたち。

確かにあるのに。

指差すことができない。

それらは、目に見えるものばかりではなくて。

それらを、ひとつずつ読み解き。

それらを、丁寧に表わしていく。

そうして出来た言葉の集積を嗜む。





前述の記事の通り、「Less is More」とは、「少ない方が豊かである」という意味です。

20世紀のモダニズム建築を代表するドイツ出身の建築家のミース・ファン・デル・ローエが残した言葉として知られています。

シンプルなデザインを追求することで、美しく豊かな空間が生まれるという、建築家としての信念を表した言葉です。

また、同氏は、

「God is in the details.(神は細部に宿る)」

というモットーを掲げたことでも知られていますね。

ここから派生して、現代では、建築の分野に限らず、プロダクトデザインやWebデザインなどの分野における引き算の美学や、

少ないもので豊かに暮らすミニマルライフのポリシーを代弁する言葉として使われています。

また、近年では、環境保全の観点からも、物質的な豊かさを追求するのではなく、大切なものだけを選び取る「Less is More」の意識が欠かせないと言われていますね。

そして、ビジネスの世界においても、現状に変化をもたらしたり、改善を進めようとしたりする時、今やっていることに何かを追加する足し算の発想になりがちです。

しかし、冗長な文章から単語を間引いたり、旅行のスケジュールに余裕を持たせたりするように、組織や事業にとって不要なものを取り除くこと、すなわち、引き算の発想に立つことのほうが、価値創造に直結する可能性が高まります。

そう言えば、この「Less is More」と同じような意味合いを持つ表現として、海外のデザイン業界では、以下のフレーズがよく使われているそうです。

■「Everything you need, nothing you don’t」(必要なものだけ)

■「Perfection is achieved when there is nothing to take away」(完璧とはこれ以上削れない状態の事である)

因みに、「星の王子さま」の作者であるサン=テグジュペリは、

「星の王子さま」(新潮文庫)サン テグジュペリ(著)河野万里子(訳)

「Perfection is achieved, not when there is nothing more to add, but when there is nothing left to take away(完璧とはこれ以上加えられない状態の事ではなく、これ以上削れない状態の事である)」

という言葉を残しており、上記のフレーズは、ここから来ていると思われます。

また、平素なものを良しとする「Less is Mor」の価値観は、古来から、日本に根付く「禅」や「侘び寂び」の精神と共通する部分があります。

ローエ氏は、日本庭園を見て、

「Less is More」という言葉を思いついたとも言われており、日本人の美的感覚とは、相性が良さそうですね。

これまで、モノへの執着を捨てることをコンセプトとする片付け術である断捨離や、必要最小限の持ち物で暮らすミニマリストが、ブームを巻き起こしたこともあり、

「ぼくたちに、もうモノは必要ない。 増補版」(ちくま文庫)佐々木典士(著)

生活のあらゆる面で、

「減らすことがいいことだ」

と考える人が、増えているようです。

「Less is More」は、減らすことを目的とした思想というよりも、どちらかと言えば、

「少ないもので最大の効果を得るために、あえて最小限の要素に絞り込む」

という美意識を表した言葉だといえるかもしれませんね(^^)

少ないからこそ、ひとつひとつの要素をおろそかにできない。

このこだわりこそが完璧を生むことにつながり、まさに、

「神は細部に宿る」

のでしょう。



みなさんは、茶の湯の長い歴史のなかで生まれた「茶箱」を、ご存知でしょうか。

「愛蔵版 茶箱と茶籠の図鑑99」堀内明美(著)

一つの箱の中に、茶碗、茶杓、茶入、茶筒、棗、茶筅筒、茶巾筒、菓子器、などが入り、それぞれ、オリジナルの仕覆をこしらえられており、さらに、箱自体が、風呂敷などで包まれていることが多い、江戸時代後期より使われてきた杉の木箱です。

いわば、

「どこでも茶を飲める魔法の箱」

のこと。

きっと、何百年も前の茶人たちが、4畳半の茶室で季節を取り入れるだけでは飽き足らず、野山の中へと持ち出すために考えたピクニック道具だったのではないかと想像してみると、楽しいと思います。

箱の中にひしめき合う道具は、当然ながら取り合わせを考え、選ばれたものが顔を揃えることになります。

限られたスペースで、枠の中で楽しもうとする

「意気込み」

が感じられますよね。

形や大きさは、納まりの良いものでないとならないため、道具として美しくあらねばならないと。

きっと、道具の職人同士のせめぎ合いと、取捨選択がなされたはずです。

前述のローエ氏の「Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)」という言葉の真意は、少ないほうが良い、ということではなく、有限の時間や、スペースの制限があればあるほど、選び取らねばならず、選ぶとなると、

「本当に求めるものは何か」

に向き合わなければならない、ということかもしれませんね(^^)



さて、冬になると、ポットに水を張り、湯を沸かし、ハーブティー(Pukka Herbsの「オーガニックハーバルティーコレクション」)を飲んだりしています。

パッカの中でも人気の5種類(エルダーベリー&エキナセア/レモンジンジャー&マヌカハニー/ナイトタイム/スリーミント/フィールニュー)の有機ハーブティーがひとつの箱で楽しめるので、その中から、どのお茶にしようか、その日の気分で選び、湯を差し温めてあったカップにティーバッグを入れて沸騰したお湯を注ぎ、タイマーで時間をカウントしながら、抽出される時間をじっと待つ。

5分ほど蒸らしてが標準なのですが、種類&好みで長めに蒸らしているのだけれども、この見切り刻が難しく、あまり早すぎても、薄い味気のないお茶になってしまうし、じっくりやり過ごしてしまうと、渋くて苦い一杯になってしまう。

一寸も妥協はできない。

たったわずかな時間の出来事。

一瞬も妥協することができない。

人生は、選択の連続であると。

大袈裟に思ったりしています(^^)



今日は、どれを読もうかなんて。

好きなことに没入し。

自分と向き合う時間に浸る「ヒタ活」(^^)

今宵、嗜む本のお品書きは・・・

【「嗜む」のすすめ】「Less is more(レス イズ モア)」に焦がれ本を嗜む

「[図説]にほんのかたちを よむ事典」形の文化会(編)

「The Aussie Dad's Book of Sometimes Helpful Responses」Anon(著)

”Life is short.”
(人生は短いぞ)

”Just have a go.”
(ただやってみろ)

”Roll the dice.”
(運に任せろ)

”Maybe dip your toe in first.”
(試しにやってみた方がいいじゃない)

”Think twice. Decide once.”
(2回考えて、1回で決めろ)

”Ask me again, but nicely this time.”
(もう一度聞け、でも次はいい感じでな)

”Sometimes you have to dig for the gold.”
(たまには辛抱強く努力することも大事だぞ)

「おやすみなさい。良い夢を。」三山桂依(著)

「クマのあたりまえ」(ポプラ文庫ピュアフル)魚住直子(著)

「さささいいここううちちくくく ホンマタカシ」

「しっぽ.しっぽ.しっぽっぽ.」木曽秀夫(著, イラスト)

「ディエゴ・リベラの生涯と壁画」加藤薫(著)

「デザインのひきだし⑭」グラフィック社編集部(編)

「ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ!」堀井雄二(原著)スクウェア・エニックス(編)

「フィジカル・グラフィティ・ツアー せつだん81面相」松田行正(著)

「へんなの」国崎☆和也(著)

「みさおとふくまる」伊原美代子(著)

「悪い本」宮部みゆき(著)東雅夫(編)吉田尚令(イラスト)

「驚くべき学びの世界―レッジョ・エミリアの幼児教育」ワタリウム美術館(編)

「空海からのおくりもの 高野山の書庫の扉をひらく」印刷博物館学芸企画室/トッパンアイデアセンター/五柳書院(編)

「古語大鑑 第1巻 あ〜お」築島裕(著)

「今夜、笑いの数を数えましょう」いとう せいこう(著)

「詳解ベトナム語辞典」川本邦衛(編)

「蒸気機関車讃歌 白い息遣い」山岸起一郎(著)

「新版 大江戸今昔マップ」かみゆ歴史編集部(著)

「透明人間 ⇄ 再出発」谷郁雄(著)青山裕企(写真)

「日露戦争PHOTOクロニクル[新訂] A Photo Chronicle of Russo-Japanese War」澪標の会(著)奥定泰之(イラスト)

「片山若子画集 渋皮栗」片山若子(著)エディス編集部(編)

「明朝活字の美しさ 日本語をあらわす文字言語の歴史」矢作勝美(著)

「遊環構造BOOK SENDA MAN 1000  Environment Design Institute Book of circular play system」仙田満/環境デザイン研究所(著)藤塚光政(写真)

「魯迅の言葉」魯迅(著)一芯社図書工作室(編)中村愿(訳)

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