【本棚のある生活+α】2024年7月に読んで面白かった本
昨年(2023年度)から、思い付きで始めた月イチペースで、面白かった本と見応えがあった映画を、ご紹介してきました。
さて、国語教育に関しては、いろいろと改善しなくてはならない点が、たくさんあるように思われてなりません。
「赤とんぼのはねつまむやうに言つてごらん動詞よりわけてゐる君の指」
(大口玲子『海量』より)
<参考資料>
「リンボウ先生偏屈読書録」(丸善ライブラリー)林望(著)
林望さんは、感想文を止めろと言っていたのですが、それも改善点のひとつだと思います。
ちなみに、感想文に関しては、井上ひさしさんも大野晋さんも廃止論を唱えていましたね。
林望さんは、ダニエル・ペナック『奔放な読書』の書評でも、国語教育批判を展開していました。
「奔放な読書 本嫌いのための新読書術」ダニエル ペナック(著)浜名優美/浜名エレーヌ/木村宣子(訳)
国語教育の問題は、それが、いつも正しい理解のもとに本を読まなければならず、それができないのは愚かであるかのように喧伝し、「制度」としての読書を押し付ける点にあるといいます。
これではかえって「本嫌い」を生産してしまうというのだと語っておられました。
これは、昔の「教師用指導書」を見ればうなづけると考えられます。
『奔放な読書』は、ぜひ国語の先生に読んで欲しいと林望さんは言っています。
小説家であり、現役の高校教師でもあるダニエル・ペナックが見出した方法は、ひたすら読み聞かせるというものです。
そして、その幸福な子どもたちは、
「本を読め」
と言われないことによって、逆に、本を読むようになるといいます。
この点に関して、林望さんは次のように述べています。
「文学作品というものは、それをどんな風に読もうと、または一切読まずにいようと、あるいは評論家や学者のように分析的に読もうと、それはまったく各自の自由で、読む側のそれぞれの「問題意識」がそれを適切に読ませ感じさせてくれる。
それ以外には読む方法などありはしない」
私も、ダニエル・ペナックや林望さんの奔放読書論に賛成派なのですが、
「止めろ!」
と言われている感想文を書き散らしている・・・
それは・・・
ということで、2024年7月に読めた本の中から、特に面白かった本(1冊)のご紹介です。
【特に面白かった本】
「イラク水滸伝」高野秀行(著)
容易に渡航できない、イラクへ、3回もチャレンジするとは、流石、探検家ですね。
本書は、準備期間を合わせて、足掛け6年もかけ、古代メソポタミア文明を生んだ湿地帯を巡る旅本であり、世界中の辺境を探検してきた高野さんでも、イラクを訪れたのは、2018年の取材が初めてだったそうです。
目指すは、世界最古のメソポタミア文明を擁したチィグリス・ユーフラテス川下流域にある湿地帯の内部。
それにしても、イラクという国が、平和で安全なところであれば、人類初の文明の地ということで、旅行先として、とても魅力的であろうと思うのだけど・・・
以前、仕事で、イラクの手前に位置するバーレーンまでは、行った時の事があったなと、そんな事を思い出しました。
本書の執筆経緯に関するインタビューで、以下の様に、高野さんは答えていました。
「イラクという国も、その奥にある湿地帯も謎に満ちていて、いわば二重のカオス。
出発前には思いもよらない出来事ばかり起こりました」
「自然に長けた人に同行してもらいたくて、『世界で一番川を旅した男』の異名を持つ山田隊長に声をかけました。
出発前にYouTubeにあった湿地帯の動画を彼に見せたら、『おお、ええ舟やな。ええ舟大工がおるんやろうな』って言うんです。
山田隊長は高知の四万十出身なんですが、川と生活が密着した四万十には、今も舟大工がいる。
だからイラクの湿地帯にも舟大工がいるはずだと。
僕にはまったく出てこない発想で、探検の指針が生まれた瞬間でした」
「これまで、誰も行かないところを取材し、書いてきました。
今回はイラクを通して“文明”を捉えることができて、今までにない1冊になりましたね」
「イラクに行けず、日本にいる間、ものすごく色々なことを調べて考えました。
その過程で知ったのが、湿地帯に由来すると思われる謎のマーシュアラブ布。
日本でも買えますが、実は詳細がわかっていません。
こうした民芸品は、とうの昔にヨーロッパによって収集、整理し尽くされているはずなんです。
なのに、こんなにも個性的な刺繍布が、いつ、誰によって作られたのか未だ不明だなんて、僕には信じられませんでした」
「イラクについては治安に関する報道ばかりが目立ち、現地に暮らす人々の生活は知られていません。
砂漠地帯の印象が強いこの国で、鯉の円盤焼きや水牛の乳でできたクリームなど、湿地帯由来の料理が愛されていることにも驚かれるかもしれませんね。
この本を通して、みなさんが知らないイラクの姿を楽しんでもらえれば嬉しいです」
読んで驚いたのは、その広大な湿原地帯で、葦の家に住み、水牛を飼い、遊牧民のように暮らす人々がいるということ。
しかも、その地は、世界遺産になっていて、二度びっくり。
そんな未開の地を、
偶然性
と
ブリコラージュ
と
身体性
を駆使して、台風の目のように人々を巻き込んで爆進する著者と相棒である山田隊長。
湿地帯を巡りながら、古代舟と秘密基地を作ったり、更に、水牛のクリームに謎の布探しを行う、等々。
日本では考えられないような現地の方との交流等も含めて、なんだか、一昔前の海外を旅する探検番組のようでもあり、面白いと思います(^^)
想定通りなんだろうけど、潜入箇所が、反フセイン勢力も逃げ込んだアナーキーな湿地帯の治安は悪いのにも関わらず、イスラムの影響で、姿が隠されている女性達を、
「鶴の恩返し」
の鶴に例え、
「民泊する外国人の私たちも同じように行動する。
鶴になるのだ。」
と述べるところ等は、非常に、レトリカルだと感じられました。
また、おもてなしは、日本の上をいくと感じられて、三度目のびっくり。
出たとこ勝負、目的達成のためには怯むことなく、さらなる困難に立ち向かう姿は、見習うべき点が多いですね(^^)
<参考図書>
「イラク生残記」勝谷誠彦(著)
「イラクとアメリカ」(岩波新書)酒井啓子(著)
「イラク建国 「不可能な国家」の原点」(中公新書)阿部重夫(著)
<参考記事>
【二言三言】
「読書論」(岩波新書)小泉信三(著)
[ 内容 ]
人生は短く、書物は多い。
一生のうちに読みうる書物の数は知れている。
それを思えば、いつまでも手当り次第に読んでいるわけにはいかない。
どうしても良書の選択が必要になる。
何をいかに読むべきか。
著者多年の豊かな読書体験と、東西古今のすぐれた知性が残した教えにもとづいて、さまざまな角度から読書を語る。
[ 目次 ]
緒言
第一章 何を読むべきか──古典について──
或る程度多読の要──古典を憚るな──読書の利益──鷗外の「ヰタ・セクスアリス」中の一節──「福翁自伝」中の一節──つとめて大著を読め──読書家の顔
第二章 如何に読むべきか
難解の書に屈託するな──ともかくも読み進め──名著と名苑──名著と名曲──再読三読の要
第三章 語学力について
語学力を養う必要──それを養う方法──「蘭学事始」の前例──外国書味読の困難──筆写と素読
第四章 飜訳について
名著の飜訳と名画の模写──鷗外の飜訳論──細心と放胆との必要──「エミリヤ・ガロッティ」の例
第五章 書き入れ及び読書覚え書き
ミルの「功利主義」に対する福沢諭吉の書き入れ──漱石の書き入れと短評──鷗外と梗概──ヴァイニング夫人の「小恍惚」
第六章 読書と観察
名を知って物を知らぬ片羽──アルフレッド・マーシャルの観察力──ゲーテのイタリヤ紀行──福沢の「西洋事情」──同じく「旧藩情」──如何に読むべきか
第七章 読書と思索
読書と思索、受動と能動──ショーペンハウアーの警告──ファウストとワグナー──我らの内なるワグナー──漱石と鷗外──「私の個人主義」
第八章 文章論
福沢、鷗外、漱石の文章論──福沢の「文字之教」の嘲罵──マルクシストの難文癖──マルクスの文章論──劉知幾の「史通」──フランツ・オッペンハイマー──推敲の大切なること
第九章 書斎及び蔵書
書斎についての理想──明窓浄机──広さ、色調、椅子その他──書斎の記憶──ファウストの月に対する独語──書籍の購入と厳選の必要──書評の厳正──タイムス文芸附録の実例
第十章 読書の記憶
(一)
父母──太平記──慶応義塾の学風──馬場孤蝶、福田徳三──「三田文学」──水上滝太郎──久保田万太郎──永井荷風
(二)
ロンドン留学──大英博物館読書室──クインス・ホールのプロムネード・コンサート──「資本論」──当時の記憶──ベルリン留学──シュニツラー
(三)
「戦争と平和」──始めてアメリカの学芸に接す──「国訳漢文大成」──文学に於ける音楽──谷崎潤一郎──志賀直哉──佐藤春夫
[ 問題提起 ]
大正昭和の経済学者で慶応義塾塾長や、天皇陛下の皇太子時代の家庭教師をつとめた小泉信三による読書論の古典。
自身の学者人生を振り返り、読書の理想形、何を読むべきか、いかに読むべきかを語った。
岩波新書の初版は1950年だ。
[ 結論 ]
名言の連続であるが、3つほど感銘したポイントを抜き出してみた。
1.大著を努力と忍耐で読め
「つとめて古典を読むこととともに、私はつとめて大著を読むことを勧めたい。
名著は必ずしも大冊ならず、大冊は必ずしも名著でないが、しかしそれぞれの時代を制した名著の多くは大冊であり、そしてこれらの大冊に、偉大なる著者の創始と刻苦と精励とが体化されるのが常である。
それを読むことによって、吾々は単にその書の内容を知るばかりでなく、辛苦耐忍、いわば格闘してものを学ぶという、貴重な体験を得るのである。
読む本のページ数のみを数えて喜ぶのは無意義であるが、努力して大冊を征服することは、人生の勉強としても大切なことであり、十数日、或いは数十日わき目もふらず一冊の本に取りついて、それを読み、且つ読みおえるという努力と忍耐とは、必ず人に何者かを与えずにはおかない。」
「難解の箇所にぶつかっても、辟易して止めるな、ともかくも読み進んで、読みおえて顧みれば、難解の書と思われたものも意外によく解るものだというのが私の主旨である。」
これは、もう、知的スパルタ精神論なわけであるが、大著を、ともかく読み切ると、読んだ気になって、前へ進めるという経験論は、真理といえるだろう。
頑張って読み切る過程で、精神的に鍛えられるのも事実だ。
2.読んだら何かを書く 漱石と鴎外のやり方
本を読んだら、何かを書く習慣を身につければ、読書の感興が大きくなる。
少なくとも、読書の歩留まりを多くするとして、明治の二人の偉大な思索家の対照的なスタイルを取り上げている。
夏目漱石は、蔵書の余白に自分の意見をびっしり書き込む癖があった。
意に沿わない部分があると、
「ソンナ馬鹿ナコトガアルカ」
に始まる激しい反論を、びっしり書き込んだ記録が残されている。
脳内議論家である。
一方、森鴎外は、本を読むと、すぐに紙に粗筋梗概を書く習慣があった。
まとめブロガーであった。
「読み且つ考える読書家の最も立派な一例は漱石であろう。
漱石はこの点において鴎外と或る対照をなし、著者に対して、納得できないことはどこまでも争う気むずかしい読者であった。
鴎外の博覧は絶倫であったが、彼はしばしばその読み得たものを、興味を以て取り次いで、そこにしばらくの拠り所を借るということをした。」
確固たる信念と定見を持つ漱石と、マイブームを乗り換えていく鴎外。
思索のスタイルは違うが、読んだら何かを書くという点では共通していた。
とにかく書くべきなのだ。
そして、著者は、読書の功を取り上げるだけでなく、読書の罪、すなわち、自分の目で見たものより、本に書いてあることのみを信用して、観察や思考を怠る危険に警鐘を鳴らしている。
3.古典を読め
「前にもすでに説いたように、人は意外に定評ある古典的名著をおいて、二次的三次的の俗書を読むことに労と時を費やすものである。
読むほうはしばらくおき、買うほうでも実につまらないものを買い込み易いのである。
それは一には鑑識の不足ということでもあるが、また一つには本が好きだという弱みにもよるのである。」
すぐに役立つ人間は、すぐに役に立たなくなる人間であるように、すぐに役立つ本というのは、すぐに役立たなくなるものだという。
実用や時事の本は、すぐ役立つがすぐ使えなくなる。
それに対して、淘汰を生き残ってきた古典の寿命は長い。
吸収した知識は、一生物になる。
[ コメント ]
この本自体が、70年以上も読み継がれてきた古典だが、速読術や多読術とは、次元の異なる読書という行為への本質的な洞察なのである。
背筋を伸ばして、改めて自分の読書を見直したい人におすすめ。
【補足情報】
「読書と社会科学」(岩波新書)内田義彦(著)
[ 内容 ]
電子顕微鏡を通して肉眼では見えない世界を見るように、社会科学では、概念という装置をつかって現象の奥にある本質を見きわめようとする。
自前の概念装置をいかにして作るか。
それを身につけることで何が見えてくるか。
古典を読むことと社会科学を学ぶこととを重ね合わせて、本はどう読むべきかの実習を読者とともに試みる実践的読書論。
[ 目次 ]
1 「読むこと」と「聴くこと」と(はじめに-読書の問題性;読みの構造;読み深めの諸相;聴くということ)
2 自由への断章(創造としての読み;経験科学の創造に向けて)
3 創造現場の社会科学-概念装置を中心に(はじめに-問題の所在;日常語で見えるもの;社会科学のウルトラ・アイ?;概念装置の手作りを)
[ 問題提起 ]
仕事の関係で論文や技術資料等を読んだりするのだが、自分が文章を読めていないと、感じることが多い。
他の人の理解を聞くと、自分が考えてもいなかった論点や主張が分かって、納得することが多々ある。
実は、納得できれば良い方で、特に、専門会議の中では、結局分からずじまいで議論が進み、会議の後、こっそり知り合いに聞いて、何となく分かるということもある。
別に、予習の段階で分からないと気付いたのに、放っておいたというわけではない。
全く問題が見えずに、読み飛ばしてしまっていたのだ。
どうも、私は、いわゆる
「深く読む」
のが苦手なようだ。
と思って読み始めたのが内田義彦のこの本。
内田義彦は、経済学者・思想家。
[ 結論 ]
この本は、彼が講演などを中心に、3部にまとめたもの。
第1部「「読むこと」と「聴くこと」と」しか読んでいないのだが、それが、非常に面白かった。
「「読むこと」と「聴くこと」と」は、読書及び読書会について書いた文章である。
いろいろ示唆に富む記述があちこちにあって面白いのだが、特に、興味深かった点を二つ。
第1に、感想文の功罪について。
やはりというべきか、読み深めのためには、感想文は、不可欠であると内田義彦は言う。
これは感想文の「功」の面。
「ささやかながら公開を前提にした文章」、「自分の思うところを他の人にも納得してもらう目的で書かれた公の文章」を短いながら書くことは「本を読む上に絶対必要です」と。
低い鼻を高くしていると「罪」の指摘が。
感想文を書くことを前提に読もうとすると、感想文を書きやすいような本を求めるようになる恐れがある。
「感想を狙いに本を読んじゃいけない。
感想は読んだ後から-結果として-出てくるもので、それを待たなければいけない」(54頁)
この本は、社会科学の本を読むことを中心に書かれているのだが、読書一般について述べている個所もある。
ここが、どちらかは、不明であるけど、フィクションを読む場合は、この「罪」の面は該当すると思うが、ノンフィクションでは、必ずしも、そうではない気がする。
例えば、会議のために関連資料を読む時には、批判すべきところを探して読む。
そうすると、内容をより細かく読み込むようになるという経験は、誰にでもあると思う。
しかし、小説を読む時などは、確かに、内田義彦の指摘が該当しそうだ。
第2に、読み深めについて。
ここで、内田義彦は、深く読むための前提条件として、
「自分の読み対する信念」
と
「著者に対する信念」
を挙げている。
確かに、これは、思い当たる。
ちょっと以前まで、私は、
「著者に対する信念」
が、ほとんど無かった思う。
疑問点は、著者の表現力の無さのせいにして、かなり読み飛ばし・粗読をしていた。
技術的な専門図書や資料等も、この調子で読んでいた。
ところが、会議等で議論すると、著者の真意が、より正確になり、自分の読解の粗さに気付く。
内田義彦によれば、このような
「著者に対する信念」
の無い読みでは、本を読んだことにならない。
うう、厳しい指摘だが、その通りかも。
「読み飛ばし」という変な癖がつく分、「本を読んだことにならない」どころか、「読まないほうがマシ」なのかもしれない。
こうなると悪循環で、次には、著者は、信用するけど、自分の読みに対する信念が全くなくなってしまう。
今の私の状況がこれ。
内田義彦は、もちろん、これも良くないと言っている。
この状態では、
「ここにはこう書かれている(がそれはどういうわけだろう)という事実が、はっきりとした形で自分の目に映り、確認されてこない」(40頁)
とのこと。
あぁ、彼は、今の私のこの惨状を見て、この文を書いているのではないか?
ここで挙げた2条件を満たしていない読書を、内田義彦は、
「盲信からくる粗読」
と呼んでいるが、私は、
「はーい、それは私でーす!」
と思わず手を挙げてしまいたくなった。
「盲信からくる粗読」をいかに克服するか?
これは、時間をかけて、じっくり読むことだろう。
でも何を?
本当に内容が無い本を、じっくり読むのは、時間の無駄である。
でも、どうすれば、じっくり読むに値する本を、見つけられるか。
これに対する内田義彦の答えは、「賭け」である。
読み込む本が深読みに値するかどうかは、賭けだというのには、いささか拍子抜けの感もあるが、彼の言う「賭け」とは、信念と疑念の微妙なバランスから成り立っている。
「賭ける」のだからそれなりの信念はあるが、「賭け」は、運命に任せることでもあるから、そこに、一抹の不満・疑念もある。
「どうか、何もせずに万事を疑っている暇があったら、一事でいい、何かを踏みこんでやること、鋭敏な感覚を保持し、念のため事を確かめる労力と軋轢を厭わぬ気風を養って下さい」(44頁)
結局、砕いて言えば、
「当たって砕けろ」
ということだと思うが、内田義彦の語りには、要約では伝えられない、微妙なひだがある。
深く読みこむ作業を続ければ、そのうち、本の選び方も、うまくなるということなのだろう。
石工には、常人では見えない石の切り目が見えるという話を、昔聞いた記憶がある。
すごい話だと思った記憶があるが、読書術も、似たようなものかもしれない。
最後に、「賭け」の話のところで、内田義彦は、そもそも学問・研究が賭けだという。
「未だ学問的に論証されていないことに自分を、自分の生涯をかける」(46頁)
「まことにささやかな小発見でも、大へんな勇気-自分の思ったことに一切を托して賭ける信念がいります」(47頁)
「賭け」事には、無縁で来たと思っていた自分が、いつのまにか、そういう世界に足を半歩踏み入れていたなんて・・・
[ コメント ]
これを読んで、自分に、この「賭ける勇気」が欠如していることに気づいた。
こんなことなら、昔から、もっと賭け事に勤しんでおけば良かった・・・
え、そういうことじゃない?
地道に生涯を賭けられるものを探していこうと思う。
石工になれるように。
<参考図書①>
「エンジニアリソース革命」国本和基(著)
<参考記事①>
<参考記事①>
「宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃」(角川ソフィア文庫)加藤文元(著)
<参考記事②>
【リストアップした書籍】
「ミル自伝」(大人の本棚)J.S.ミル(著)村井章子(訳)
「マゾヒズムの発明」ジョン・K. ノイズ(著)岸田秀/加藤健司(訳)
「手を動かしてまなぶ 曲線と曲面」藤岡敦(著)
「エンジニアリソース革命」国本和基(著)
「エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか」Will Larson(著)岩瀬義昌(訳)
「イラク水滸伝」高野秀行(著)
「歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方」 伊藤敏(著)
「めくるめく数学。」嶽村智子/大山口菜都美/酒井祐貴子(著)
「世界一流エンジニアの思考法」牛尾剛(著)
「庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン」庵野秀明(著)大泉実成(編)
「パーティーが終わって、中年が始まる」pha(著)
「BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?」ベント・フリウビヤ/ダン・ガードナー(著)櫻井祐子(訳)
「エビデンスを嫌う人たち 科学否定論者は何を考え、どう説得できるのか?」リー・マッキンタイア(著)西尾義人(訳)
「自由研究には向かない殺人」(創元推理文庫) Kindle版ホリー・ジャクソン(著)服部京子(訳)
「小学生でもわかる世界史」 ぴよぴーよ速報(著)
「情報の歴史21 象形文字から仮想現実まで」松岡 正剛(監修)編集工学研究所/イシス編集学校(編著)
「老年の豊かさについて」(法蔵館文庫)キケロ(著)八木誠一/八木綾子(訳)
「ジェンダー格差 実証経済学は何を語るか」(中公新書)牧野百恵(著)
「千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話」済東鉄腸(著)
「宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃」(角川ソフィア文庫)加藤文元(著)
「総合的研究 論理学で学ぶ数学――思考ツールとしてのロジック」長岡亮介(著)
「ヴィクトリア朝時代のインターネット」(ハヤカワ文庫NF)トム・スタンデージ(著)服部桂(訳)
「世界史と地理は同時に学べ!」 山﨑圭一(著)
「神は妄想である―宗教との決別」リチャード・ドーキンス(著)垂水雄二(訳)
「空海の夢」松岡正剛(著)
「心理学化する社会 癒したいのは「トラウマ」か「脳」か」(河出文庫)斎藤環(著)
「増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法」酒井利昌(著)坂本光司(読み手)
「物語のつむぎ方入門 〈プロット〉をおもしろくする25の方法」(アルケミスト双書)エイミー・ジョーンズ(著)駒田曜(訳)
「物語のかたり方入門 〈ナラティブ〉を魅力的にする25の方法 (アルケミスト双書)(アルケミスト双書)エイミー・ジョーンズ(著)山田文(訳)
「人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険」ベンヤミン・ファン・ロイ/アダム・ファイン(著)小坂恵理(訳)
「数学する精神 増補版 正しさの創造、美しさの発見」(中公新書)加藤文元(著)
「さらば、神よ」リチャード・ドーキンス(著)大田直子(訳)
「最後の親鸞」(ちくま学芸文庫)吉本隆明(著)
「吉本隆明が語る親鸞」吉本隆明(著)信濃八太郎(イラスト)
「禍」小田雅久仁(著)
「ヒューム 道徳・政治・文学論集[完訳版]」デイヴィッド・ヒューム(著)田中敏弘(訳)
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「鈴木大拙随聞記」志村武(著)
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