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【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その9)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748285284-mVqPGQSMfh.jpg?width=1200)
いつだって、欲しいのは、
「答え」
だって思っていたけれど、その前に、もっと欲しいのは、
「問い」
だったのかもしれない。
だって、考えてもごらんよ(^^)
問わないからには、きっと、答えなんて、でないでしょ?
それは、必ずしも、声に出さなくたってよくて、問うことで、問われることで、ああ、そういえば、って考えるきっかけになるから、ね(^^)
すると、ふと流れる時間のスピードが、ゆっくりになることがあります。
そして、
「自分のことば」
を探し始めるはず。
答えは、いつでも、そこに、静かに佇んでいるものかもしれません。
「 “うつくしい” と、ためらわずに言えるものはなんですか?」
答えるタイミングは自由。
世界にたったひとりの自分に、今日、最後の質問をなげかけて、
「最初の質問」(講談社の創作絵本)長田弘(詩)いせ ひでこ(絵)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748342943-t4WSD7Rwg2.jpg)
この絵本は、終わるのですが、この質問に関連した答えのひとつとして、プラトンは、以下のように問題提起していましたね^^;
「詩は、確かに、魅惑的だ。
しかし、私達は、詩によって、魂を揺さぶられているとき、本当に、美に関わっているのだろうか?」
美を求める心は、誰の内にもあるはずです。
私達の眼差しは、個々の価値判断を介して、美しいもの(=創作作品)を見出して、そこに安らいます。
しかし、そこに、
「目的」
を見出して、自己満足する私達の
「あり方(態度)」
は、本当に、
「美しい」
と言えるのでしょうか。
それは、どこか欺瞞的かもしれません。
そして、最終的に、私達を、本当に、満足させ得る態度なのか?、と噛み砕いて言うなら、プラトンは、そう考えていたのではないかと推察されます。
「美しいものを求めて人と人が関わる」という基本的な点においては、どの創作活動も立場を等しくしていると考えられます。
異なるのは、たぶん、作品そのものが
「目的」
ではない、という点です。
プラトンによれば、詩人は、自らの詩において浄化(カタルシス)を見出し、そこで安らいますが、哲学者は、そうではなく、ここに問題の次元が存在していると考えられます。
つまり、多くの「美しいもの」=創作作品は、決して、美そのものではなく、美しかったり、美しくなかったりするものにほかなりません。
だから、私達が、
「これこそが美だ」
と思って、個々の創作作品に入れ込み、安心するあり方(態度)は、決して、
「本当に美を求めている」
とは言えない、というわけです。
なぜならば、私達は、
①ある時には美しかったり
②ある時には美しくなかったり
するような不完全なものを、真心から求めているわけではなくて、
「美しさにおいて欠けるところがない完全なもの」
を求めているはずだからです。
だから、創作作品は、確かに、
■美を分け持つもの
ではあり、
■美の影
ではあるけれども、それ自体に、自己満足することは、人のあり方としては、正しくない、とプラトンは考えたわけです。
そして、この欠けるところがない完全な美、私達が、それゆえに、何かを愛したり、愛さなかったりする究極の根拠、それをプラトンは「美のイデア」(私たちが生きる感覚的世界とは別次元に存在する真実の世界(イデア界)、そこには完全なる「美」そのもの(美のイデア)があり、現実世界の事物はそれを断片的に含有するがゆえに美しいと認識されるという。)と呼びました。
これまで疑いようのなかったあらゆる境界線が揺らぐ曖昧で複雑な現代。
「多様性」は、時に、「不安定」と同義です^^;
既存の価値観や美意識が脆く崩れ落ちつつある世界。
あらゆる美の可能性に取り囲まれて戸惑う私達。
今、創作作品(短歌)を通して、雲の上のイデアとやらに問いかけてみる!
その際、近年では、鬱病にも効くんじゃないかと知見が溜まってきて、普通に、カウンセリングにも採用されている勉強にもメンタルにも効く「ソクラテス式問答法」も活用して、
「はたして、私たちの『美』は、そんなに単純だろうか?」
と、ね(^^)
【ソクラテス式問答で使う7パターンの質問】
1.明確化の質問
◯◯◯とはどのような意味ですか?
別の方法で説明するとどうなりますか?
メインの問題はなんだと思いますか?
何か具体的な例をあげられますか?
そのポイントをさらに広げることはできますか?
2.初期設定の質問
この問題はなぜ重要なのですか?
この問題を解決するのは簡単ですか?難しいですか?
なぜそのように思ったのですか?
この問題の前提はなんでしょうか?
この問題は、何か他の重要な問題と関係がありますか?
3.仮定の質問
◯◯◯で仮定されていることはなんでしょうか?
いまの答えの代わりにどんなことを仮定できますか?
あなたは◯◯◯を前提にしているようですが、合っていますか?
私はあなたの意見を正しく理解できていますか?
4.エビデンスの質問
実例にはなにがありますか?
◯◯◯を事実と考えた理由はなんですか?
ほかに必要な情報はありませんか?
◯◯◯の理由を教えてくれませんか?
どのような理屈でこの結論にいたったのですか?
証拠が本当かどうかを疑う理由はありますか?
その信念を持つにいたった理由はなんですか?
5.ソース・起源の質問
それはあなたのアイデアですか?それともどこかで聞いたことですか?
いつもそのような考えが浮かびますか?
あなたの意見は、他の人や事に左右されたものですか?
どこでそのアイデアを思いついたのですか?
そのように感じた原因はなんですか?
6.影響・結果の質問
◯◯◯でどんな効果があると思いますか?
◯◯◯が起こる確率はどれぐらいでしょうか?
◯◯◯の代わりになるものはありますか?
◯◯◯にはどんな意味がありますか?
もし◯◯◯が起こった場合、ほかにどんなことが起きるでしょうか?
7.視点の質問
他のグループの人たちは、この問題にどう反応すると思いますか?それはなぜですか?
◯◯◯さんの反論に対して、あなたはどう答えますか?
◯◯◯を信じている人は、あなたの意見についてどう思うでしょうか?
なにか代わりの意見はありますか?
◯◯◯と◯◯◯のアイデアはどこが似ていますか?またはどこが違いますか?
【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その9)
「太陽は山上にあそぶ子供らを食べ鳥どもを食べてかくれぬ」
(松平修文『水村』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748713138-OL8Ny4qzE8.jpg?width=1200)
「地に降りて水へと戻る束の間の白きひかりを「雪」と呼び合う」
(本川克幸『羅針盤』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748730579-zC8M2NRhvJ.jpg)
「朝おきて泡たてながら歯をみがくまだ人間のつもりで俺は」
(嵯峨直樹『神の翼』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748754068-IwYcN3SkOL.jpg)
「爪のない ゆびを庇って 耐える夜 「私に眠りを、絵本の夢を」」
(鳥居『キリンの子』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748768042-Y1G4USTS1N.jpg)
「冬木立高くそびゆる傍らに人はゆっくり時計のネジを巻く」
(清水あかね『白線のカモメ』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748779260-aDtnYso6t8.jpg)
「透明な月球のごとき丸氷にバーボン注げば夏がきている」
(笹公人『終楽章』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748790093-pWUiJXgE3a.jpg)
「曇天のくもり聳ゆる大空に柘榴を割るは何んの力ぞ」
(浜田到『架橋』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748806361-ysRE4uhuGT.jpg)
「覗(のぞ)いてゐると掌(て)はだんだんに大きくなり魔もののやうに顔襲(おそ)ひくる」
(前川佐美雄『植物祭』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748819057-g156eqlyJ1.jpg)
「白抜きの文字のごとあれしんしんと新緑をゆく我のこれから」
(安藤美保『水の粒子』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748834287-kaB6eiPkzL.jpg)
「薄明のままに明けない日のやうに卵の殻のやはらかな白」
like the dim light
before day dawns
is
the soft whiteness
of this egg’s shell
(紺野万里『星状六花』より)
![](https://assets.st-note.com/img/1710748851093-bPYbuJyzOj.jpg)
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<短歌>
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【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その10)
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<俳句>
【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その1)
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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その2)
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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その3)
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