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【読書メモ】「辞書と日本語 国語辞典を解剖する」(光文社新書)倉島節尚(著)


[ 内容 ]
膨大な時間と手間と人手を要する辞書作り。
その現場に半生を捧げてきた著者が、これまで案外知られていなかった国語辞典のウラ側を分かりやすくかつ楽しく解き明かす。

[ 目次 ]
第1部 辞書を読む(日本語の変化を辞書はどう映すか 辞書には何が書いてあるか 語源の奥深さ 用例は語る)
第2部 辞書作りの舞台裏(見出し語はどのように選ぶか 辞書の命―原稿製作 辞書作りの手順)
第3部 辞書をより深く知る(辞書の歴史 辞書の近未来)

[ 発見(気づき) ]
私たちが何気なく手にする国語辞典。

これがどのように作られたか、どのような性質を持つか、日本語と辞書の関係とは、ということを、『大辞林』に携わってきた著者が語っています。

「大辞林 第四版」松村明/三省堂編修所(編)

私の場合、研究成果の報告書や技術的な連絡書等を書こうとすると、資料を集めることになるのですが、何より先に集めるべきものは、専門分野の学術書でも、入門書でもなく、まず、その技術情報に関連する辞書だったりします。

特に、文芸作品を創作される方は、それが顕著ではないでしょうか。

文章は、自分の文体で書かれるべきものですが、その文体とは経験の集成で、その経験とは、幼少の記憶からの積み重ねであることから、経験に偏った文章が、他人にしっかり読まれるか、というのは、常に疑わなければいけないとの認識で、書くように心掛けています。

余談ですが、「書くのがしんどい」という本のなかで、

「書くのがしんどい」竹村俊助(著)

デジタルとアナログについて、こう書かれています。

「スマホやパソコンを眺めながら考える人も多いのですが、デジタルデバイスだとついSNSを見てしまったりするので気が散ってしまいます。

オススメは素材を紙にプリントアウトして持参すること。

思考が整理されたら、デジタルに戻って文章を編んでいけばいいのです。

このアナログとデジタルの行ったり来たりが大切なのです。」

パソコンで何かを書くほうが早いから、すべての作業をデジタル化しなきゃいけないわけではありません。

私自身、マインドマップを取り入れて、

「マインドマイスター(mindmeister)無料でゴリゴリ使いこなしBOOK : 最強!無料デジタルマップツールNO.1」綿樽剛(著)

文章を書き上げる前に、何度か黙読してみながら、適宜、修正を入れる作業は、どちらかと言えば、アナログのままです。

簡単に言うと、誰でも漢字を間違って覚えていたり、間違った文章を書いていたりする可能性が考えられることから、自分自身への戒めとして、しっかり見直せ、ということです。

そのために、辞書は、とても役立つアイテムであり、辞書引きは、知らない言葉を調べるだけではなくて、知っている言葉を深めるのが特徴ですね(^^)

よって、普段は、ネットより素早く正確な情報を得やすく、ネット環境がなくても調べられるカシオの電子辞書「EX-word」XD-SX21000を使っています。

ポイント1:脱線をせずに情報収集ができる

ポイント2:複数の辞書を横断して検索できる

ポイント3:携帯性とコスパ面で圧倒的に有利

この電子辞書は、日本語、英語系の大辞典や、様々な専門書を数多く収録しているため、

[国語系]
精選版 日本国語大辞典
広辞苑 第七版
明鏡国語辞典 第三版
新明解国語辞典 第八版
新漢語林 第二版
NHK 日本語発音アクセント新辞典
日本語大シソーラス 類語検索大辞典
角川類語新辞典
使い方の分かる類語例解辞典
三省堂 反対語便覧[新装版]
日本語コロケーション辞典
現代カタカナ語辞典
旺文社古語辞典 第十版
旺文社全訳古語辞典 (第五版)
明鏡 ことわざ成句使い方辞典
大修館 四字熟語辞典
楷行草 筆順字典

[英語系]
リーダーズ英和辞典 第3版
リーダーズ・プラス
新英和大辞典 第六版
ジーニアス英和大辞典
ジーニアス大和英インデックス
小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版
オックスフォード新英英辞典 改訂2版
オックスフォード例文辞典

[生活・実用]
日本大百科全書(ニッポニカ)
ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版
百科事典 マイペディア 電子辞書版
ナショナル ジオグラフィック ビジュアル 大世界史
ビジュアル 科学大事典
里山の昆虫ハンドブック
里山の植物ハンドブック 身近な野草と樹木
新ヤマケイポケットガイド 野鳥

幅広い分野の知識を網羅しており、1つの単語を検索すると、さまざまな辞書で意味を調べられるので、とても便利です。

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洋書を読むことに挑戦してみると、あることに気がつきます。
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特に、便利だと感じたポイントは、手書き認識機能です。

例えば、書籍を読んでいて、不明な言葉が出てきた場合、読み方がわからず、スマホでも読み方を検索できないときに、非常に役に立ちます。

搭載されている国語辞典で、意味を調べることができるうえに、それぞれの解説の違いを比較することができるのも、非常に良い点だと思います。

ビジネスで使用する専門用語や、趣味で読む小説の単語を調べるのに便利です。

また、文学3,000作品やクラシック名曲1,000フレーズを収録しているため、趣味や教養の向上にも役立ちます。

さらに、言葉だけではなく、音声コンテンツも豊富に収録されており、野鳥の鳴き声のみならず、「クラシック名曲のフレーズ」も検索できます。

これがあれば、「名前は知っているけど、どんな曲だっけ」という場合、簡単に、答えを見つけられます。

操作性も、良くタッチパネルを搭載しているため、スムーズに検索することができます。

矢印キーと決定キーの間に隙間が空いているため、入力しやすいキーボードです。

文字キーは手前に向かい、傾斜を持って配置されているので、不安定な場所でも入力しやすくなっています。

また、難しい漢字も教科書体で チェックできるため、パソコンやスマホではわかりにくい文字や漢字を、拡大して見る機能を搭載。

資料や手紙などの作成時、書きにくく、画数の多い漢字などが出てきた場合も安心です。

さらに10年ぶりに改定された『広辞苑』第七版を収録。

新語も追加されており、広辞苑らしい的確かつ簡潔な短文で、「今を知ること」ができるのも大きな魅力です。

[ 教訓 ]
もちろん、普段、文章を書かない人でも、迷う部分は、数多いはず。

そんな時に、尋ねる前に、調べる習慣を身に着けるためにも、辞書に頼ってみては如何でしょうか。

逆に、辞書が嘘だらけなら、それに従って書かれる文章も、嘘だらけになってしまうはずです。

つまり、辞書は、常に、日本語の本質を突いていなければいけません。

これが非常に難しいそうです。

現代語の用法を、ただ正確に追うだけでは、その辞書は、10年後に使えなくなります。

クラシカルな用法を、ただ墨守していると、現代の用法を捕らえられません。

また、一面に偏った定義をしていると、他の用法が誤用に見えてしまいます。

取り逃した単語があると、当然ダメです(^^;

私達は、日本人だから、自国語の辞書の重要性を実感しないのかもしれませんね。

しかし、もしもこれが、英和辞典や和英辞典だったとしたら、どうでしょうか。

和英辞典の訳を頼って文章を作ったら支離滅裂になったり、中高時代に和訳問題で、変な訳語を使ってしまって大失敗したり、等々、いろんな失敗をしてきたんじゃないかと思います。

英語の場合だと、最近は、最も翻訳性能が高いDeepL翻訳を使えば、海外サイトの閲覧は、とても楽になりましたね。

辞書というものは、本当に大切なもので、それなしでは、ほとんどの人が、正しく、何も読めなくなってしまう可能性だってあるかもしれません。

古典ギリシア語や、ラテン語のように、ネイティブが、もう誰もいない言語では、はっきり言って、辞書に頼るしかありませんよね。

この本では、用例が、どのような役割を果たすかも紹介されているので、参考になります。

用例なんてなくてもいいじゃないかと考える人がいるかもしれないし、広辞苑を引く時に、字義しか見ない人も、大勢いるかもしれません。

これも、外国語で考えると、重要度が分かるはず。

日本語では考えられないような文章展開をするのが外国語なので(例えば、ドイツ語においては、『gefallen』+3格=「主語が3格に気に入る」など)、その文章展開の法則を理解するためには、結局、用例が必要になります。

また、小説を書く方にとって、日本語の用例が、非常に重要になるのではないかと推定されます。

「金田一秀穂の日本語用例採集帳」金田一秀穂(著)

「日本語表現文型―用例中心・複合辞の意味と用法」(NAFL選書)森田良行/松木正恵(著)

「現代日本語用例全集 1ア―キ/2ク〜シ/3ス−テ」見坊豪紀(著)

例えば、『「芽生える」と「芽吹く」の違い』を考えてみると、「種子が芽生える」「種子が芽吹く」とは言うのかもしれませんが、「街路樹が芽吹く」と言うけれども、「街路樹が芽生える」とは言わないだろう、ということは、なんとなくイメージで理解できるはずです。

これらは、単語のつながり(コロケーション)の問題ですが、それらを考えるにも、用例が大きな参考になるので、普段から、日本語の用例に慣れておくと活用範囲が広がって、文章の作成時に有効です。

因みに、この用例は、小学館『使い方の分かる類語例解辞典』から紹介してみました。

「使い方の分かる 類語例解辞典〔新装版〕」遠藤織枝(編著)

この他にも、以下の様な辞典も出版されているので、必要に応じて活用してみて下さい。

「感情類語辞典[増補改訂版]」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)滝本杏奈/新田享子(訳)

「性格類語辞典 ポジティブ編」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)滝本杏奈(訳)

「性格類語辞典 ネガティブ編」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)滝本杏奈/新田享子(訳)

「トラウマ類語辞典」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)新田享子(訳)

「場面設定類語辞典」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)滝本杏奈(訳)

「対立・葛藤類語辞典 上巻」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)新田享子(訳)

「対立・葛藤類語辞典 下巻」アンジェラ・アッカーマン/ベッカ・パグリッシ(著)小山健(イラスト)新田享子(訳)

[ 一言 ]
私たちは、とにかく、なんとなく、一冊、辞書を持っていれば安心という気持ちでいるかもしれない。

しかし、辞書自体にも、長短がはげしくついているわけですから、単純に考えない方がいいと思います。

だからこそ、今でも色々な辞書が出て、改訂されているのだと思います。

これをうまく使わないのは、高度情報化社会の中で、非常に損失が大きい様に感じられます。

そして、本当にこだわるなら、少なくとも、真剣に文章を書いて、他人に見せようと思うなら、ちょっと違う用途の辞書を二冊くらい持っておくと、本当に役に立つはずですよ(^^)/

最後に、より適切に文章を書くとを目的とした場合、必要なのは、語彙を増やすということ、語彙力を高めるということです。

日本語の語彙は、大変豊かです。

ですから、前述の用例に加えて、1つの言い方だけではなく、「言い換え力」を身に付けていくといいと思います。

こうも言えるし。

ああも言える。

あるいは、ニュアンス的には、AよりもBのほうがよりニュアンスが伝わるといったように、細かなニュアンスが伝わるように言葉をセレクトできたら良いですね。

例えば、こんな感じで言い換えできると有効です。

●なるほど:「おっしゃるとおりです」「確かにそうですね」「ごもっともです」

●大丈夫です:「問題ございません」「差し支えありません」「お気持ちだけいただきます」

●ぶっちゃけ:「ありていに言えば」「率直に言うと」「本音を言うと」

そういう力が語彙力というものです。

辞書を有効に活用して、書き文字である活字というものを吸収していければ、日本語として使える語彙力を飛躍的に高めることができるのと思います。

その際に、

・この言葉というのはこういう大本があるんだとか

・この漢字はこういうふうな成り立ちなんだとか

そういうところも、同時に知ることができると、記憶が定着しやすくなり、応用もしやすくなっていきますよ(^^)

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