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【1週間短歌ごはん生活】10月に旬を迎える食材と短歌

日出木りんごさん撮影

秋は、日本人の主食の代表である、お米を収穫する季節。

新米を楽しみにしている方も、多いのではないでしょうか。

この時期は、米だけでなく、さまざまな食材が実ることから、

「実りの秋」

「収穫の秋」

と呼ばれます。

特に、10月は、旬の食材が、豊富に出回る季節です。

肌寒さが増す10月に、ぴったりな旬の食材を楽しみましょう。

と言うことで、そんな10月に旬を迎える食材を詠った短歌に食指が動いてしまわない、かな?(^^)


【10月に食べたい旬の魚や野菜と短歌】

■秋鮭

N/A

■サバ 鯖 青花魚 鮄

「バラ肉も中華ちまきもしめ鯖も在りし日々よりここにぞ凍る」
(島田修三『秋隣小曲集』より)

「お客さん旨さうに酒を飲むねえと〆鯖の上で褒められてをり」
(田村元『昼の月』より)

「旅なんて死んでからでも行けるなり鯖街道に赤い月出る」
(吉川宏志第三歌集『海雨』より)

「カポーティ―のお洒落短編読み終へていたく冷えたる鯖寿司つまむも」
(島田修三『帰去来の声』より)

「朴の葉に塩鯖の鮨包みけむ皐月のひとはよく笑ふ木木」
(前登志夫『野生の聲』より)

■ニシン 鰊 鯟 鯡

「にしんそばと思った幟はうどん・そば 失われたにしんそばを求めて」
(佐々木朔「まちあるき(全国版)」/「羽根と根」通巻8号より)

■サツマイモ 薩摩芋

N/A

■ゴボウ 牛蒡

「冬牛蒡せいせいと削ぐ時の間も詩語ほろび詩となる言葉あり」
(今野寿美『世紀末の桃』より)

「梅雨明けを牛蒡の広葉畑にゆれ里子なりにしとほき日のたつ」
(中道操『人間の声』より)

「娘の去りてひかひかと母はさびしかりきんぴら牛蒡を山盛りつくる」
(池谷しげみ『二百個の柚子』より)

■シイタケ 椎茸 香蕈

「ぎっしりと椎茸のびる夢からさめてもう三時間すぎたり」
(高瀬一誌『レセプション』より)

■リンゴ 林檎

「秋の雨あがった空は箱のよう林檎が知らず知らず裂けゆく」
(江戸雪『空白』より)

「林檎の花透けるひかりにすはだかのこころさらしてみちのくは泣く」
(齋藤芳生『花の渦』より)

「あまたある神の御腕の一本に君がいて林檎を我が唇におく」
(立花開『ひかりを渡る舟』より)

「かなしみを晒すごとくに灯のしたの林檎の皮に刃をくぐらせつ」
(横山未来子『とく来りませ』より)

「食卓に林檎の時間うごきゐむ人の不在を澄みゆきながら」
(服部みき子『シンクレール』より)

「林檎の花透けるひかりにすはだかのこころさらしてみちのくは泣く」
(齋藤芳生『花の渦』より)

「十二月二十八日午後二時のひかりのなかに二つの林檎」
(今井恵子『渇水期』より)

「林檎ほどの火にてポットを温めつきみの聴けざるきみの寝言よ」
(瑞田卓翔「光の声、水仙の音域」より)

「真夜中の鍋に林檎はほろほろと心細(うらぐは)しいのち煮詰められたる」
(尾崎まゆみ『明媚な闇』より)

「インフルエンザの子供は熱し 林檎摺り極々小の星出づるべし」
(米川千嘉子『滝と流星』より)

「啄める林檎の肉のたっぷりとありてひそけくながれゆく時」
(角倉羊子『ヴェネチアの海』より)

■ブドウ 葡萄

「救われることもすくうこともなく葡萄畑の上の三日月」
(田中拓也『夏引』より)

「沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ」
(斎藤茂吉『小園』より)

「イエスは三十四にて果てにき乾葡萄噛みつつ苦くおもふその年齒(とし)」
(塚本邦雄『装飾楽句』より)

「バスを待つ女生徒たちのその太き脚は、秋たけて葡萄踏む脚」
(松平修文『トゥオネラ』より)

「少し長めに生きたることも葡萄パンにまじる葡萄のごとき確率」
(杉﨑恒夫『食卓の音楽』より)

「ひとふさの葡萄といへど手に余り内なる闇のかがやきにけり」
(雨宮雅子『悲神』より)

「葡萄色の/古き手帳にのこりたる/かの会合の時と処かな」
(石川啄木『一握の砂』より)

■柿

「メールにも筆跡がある祖母からのメールはまるで柿の絵てがみ」
(田村穂隆『湖とファルセット』より)

「仕事にいく途中に柿の木があって実がなっているいつ見たときも」
(永井祐『広い世界と2や8や7』より)

「〈柿死ね〉と言つてデッサンの鉛筆を放り出したり娘は」
(花山多佳子『春疾風』より)

「凍み豆腐干し柿大根 東北の手仕事に降る雪のつぶてが」
(梶原さい子『リアス/椿』より)

「柿の実のびつしりとつく木の下に落葉みづみづし厚く積もりて」
(秋葉四郎『樹氷まで』より)

「けつたいなしぶい子やつたそれがかうほとりと美味い、渋柿を食ふ」
(池田はるみ『正座』より)

「青柿のをさなくひかる梅雨過ぎて「生活学校」廃刊となる」
(柏崎驍二『青北』より)

「おりたちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落葉深く」
(伊藤左千夫『左千夫歌集』より)

「アトリ科の鳥とのみしか分からぬが柿の枝より移りてゆけり」
(永田淳『1/125秒』より)

「夕光(ゆうかげ)の揺れる縁側 父がいて父のフォークが柿を刺したり」
(佐佐木幸綱『ムーンウォーク』より)

「こんなにも太つてしまひし青柿よ六月まひる出会ひがしらに」
(足立晶子『雪耳(シュエアル)』より)

「熟柿(うれがき)はわれを抱きし伯母のやうぽたぽたとして皮破れさう」
(中野昭子『夏桜』より)

「寒へ向かふ季節(とき)にして軒の干し柿は含羞の粉(こ)を加へゆくなり」
(佐藤通雅『強霜(こはじも)』より)

「苦しみの実りのごとき柿ありて切なしわれの届かぬ高さ」
(三枝昂之『甲州百目』より)

【参考記事①】

【「こだわり」に関する短歌】

「麦縄といふ古き名を思ひつつ初秋(しよしう)の熱きうどんを食へり」
(高野公彦『渾円球』より)

「さかいめのなき時を生きゆうらりと瞳うるわし川底の魚」
(東直子『十階』より)

「「はえぬき」の炊きたてを食む単純な喜びはいつも私を救う」
(三枝昻之『上弦下弦』より)

【10月を含む曲特集】

あたらよ「10月無口な君を忘れる」

TETORA「10月」

理芽「十九月」

【10月に聴きたい歌】

【秋の名曲】10月に聴きたい&歌いたい邦楽ソング!心に響く人気曲を厳選https://www.ragnet.co.jp/october-songs?disp=more

【参考記事②】

【関連記事】

【1週間短歌ごはん生活】4月に旬を迎える食材と短歌
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https://note.com/bax36410/n/n56f94dc884d3

【1週間短歌ごはん生活】9月に旬を迎える食材と短歌
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