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【1週間短歌ごはん生活】12月に旬を迎える食材と短歌

千葉麻紀さん撮影

本格的な寒さが到来する12月。

12月の平均気温は7℃台と、寒さが身に染みる季節です。

湿度が低く乾燥する上、忙しい時期でもあるため、体調管理には十分に気をつけたいところ。

また、師走の時期でもあるため、忙しく過ごす方も多いのではないでしょうか。

そんな12月に旬を迎える食材は、ビタミンが豊富で免疫力アップのサポートをしてくれるものが多いです。

疲労回復にも役立つため、積極的に旬の食材を食卓に取り入れましょう。

そして、体があたたまる鍋やスープがおいしい時期でもあります。

旬の食材も鍋やスープにして食べることでおいしくいただけます。

と言うことで、そんな12月に旬を迎える食材を詠った短歌に食指が動いてしまわない、かな?(^^)


【12月に食べたい旬の野菜や果物と短歌】

■大根

「春までは送るものがもうないと言ふ父の大根やはらかく煮る」
(小林真代『ターフ』より)

「大根で撲殺してやると思ひたち大根買つてきて煮てゐたり」
(藪内亮輔『海蛇と珊瑚』より)

「凍み豆腐干し柿大根 東北の手仕事に降る雪のつぶてが」
(梶原さい子『リアス/椿』より)

「刻みたる大根に振る粗塩に春の大地の水は寄り来る」
(玉井清弘『屋嶋』より)

「この町の見知らぬ人と一本の大根の上下分け合ひ暮らす」
(大松達知『アスタリスク』より)

「やや冷えしブリ大根を熱き飯(いひ)に載せてぞ食うぶ春立つあしたを」
(島田修三『東洋の秋』より)

「大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり」
(花山多佳子『木香薔薇』より)

「ゆふされば大根(だいこん)の葉はにふる時雨(しぐれ)いたく寂(さびし)く降(ふ)りにけるかも」
(斎藤茂吉『あらたま』より)

「大根は切断されて売られおり上78円、下68円」
(鳥居『キリンの子 鳥居歌集』より)

■水菜

「ひょっとしてくっつくかっていう二人の間で水菜をしゃこしゃこと食む」
(野口あや子『夏にふれる』より)

■小松菜

「小松菜が値引きをされて横たわるかたわら過ぎてふと立ち戻る」
(沖ななも『日和』より)

■野沢菜

「感情の汐入り混じる朝餉さえ野沢菜噛めば飯欲しくなる」
(島田幸典『no news』より)

■みかん 蜜柑 蜜橘 樒柑

「香りさえ想像されることはなくりんごはxみかんはyに」
(伴風花『イチゴフェア』より)

「青みかん剝けば亡き母うら若く寄り添ふごとしよき香りする」
(馬場あき子『あかゑあをゑ』より)

「出生地あたりの店でみかん買ひ食べつつ路地を三周したり」
(木畑紀子『かなかなしぐれ』より)

「街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る」
(木下利玄『紅玉』より)

「冬の昼、指にみかんを押せばまた押したくなりて押す三度押す」
(内山晶太「秋のこと、冬のこと」/「現代短歌」2018年3月号より)

「蜜柑のはな咲きたるあさの耳ふかく時のながるるおとのきこゆる」
(山田富士郎『商品とゆめ』より)

「ダンボールの箱ごと冷えて届きたる愛媛みかんの房頰張れり」
(髙野岬『海に鳴る骨』より)

「陽だまりを揺するごとくに運ばれる収穫されしみかんの籠は」
(古谷円『百の手』より)

「お父さん大嫌いって子に言われしばらく蜜柑がむけなかった」
(塩谷風月『月は見ている』より)

「批評めく言葉のあとのしずまりに病室(へや)に誰(た)がむく蜜柑がにおう」
(石床隆文『琥珀の時間』より)

「あたらしきいのちみごもる妻とゐて青き蜜柑をむけばかぐはし」
(杜沢光一郎『黙唱』より)

「目ざめたら小さな蜜柑が掌の中にわたしは庭の王だつたのだ」
(岡井隆『鉄の蜜蜂』より)

「枝撓る蜜柑畑を通り抜け直売所に買ふ大き八朔」
(山本資子「眠れぬわれを」/「アルファ」第25号より)

「たはやすくむかれし蜜柑のあまつさへ小さく分かるることもかなしく」
(中島行矢『モーリタニアの蛸』より)

「摘みさして帰りにし実の十ばかり蜜柑畑に暮れ残りたる」
(尾上柴舟『日記の端より』より)

「ぶさいくな蜜柑にあれどわれよりも先住なれば実なりまぶしむ」
(なみの亜子『バード・バード』より)

「みのりゆく蜜柑の山にかこまれて海はしづかな藍に凪ぎをり」
(高瀬一誌『レセプション』より)

「夏蜜柑畳に放るごとく置き一人くやしくわが眠るなり」
(田井安曇『木や旗や魚らの夜に歌った歌』より)

「箱買いの蜜柑二人で床にあけ 見たことないよこんな冬、って」
(雪舟えま『たんぽるぽる』より)

■ゆず 柚 柚子

「柚子、柚子と柚子を見つけて騒いでは柚子投げ上げて柚子受け止めて」
(五島諭『緑の祠』より)

「時は柚子に小さき五辨の花さかす雪のやうなる白さに点る」
(十鳥早苗『縄張り宣言』より)

「柚子ひとつ浮かべてあそぶ夜の湯にさみしき霊もきてあそべかし」
(桑原正紀『天意』より)

「暮れ早き夕べを母と竿かざし柚子を穫りたり明かり消すごと」
(江田裕之『風鶏』より)

「瞑想に来よと誘ふ告知板まこと遠くて柚子の実を買ふ」
(百々登美子『風鐸』より)

「明治屋で買って冷蔵庫に入れた柚子胡椒の壜に降る霜」
(牧野芝草『整流』より)

■イチゴ 苺

「野ゆき山ゆき木苺を食ひ茅花つばなを食ひ嬉しかりしよ母の故里」
(『空よ』酒井佑子より)

「カツレツの厚みや苺の個数にも差をつけたがるわが妻の愛」
(岡本勝『花の季節』より)

「雪壁の迷路を迷いなく歩き苺を届けまた戻り来る」
(北山あさひ『ヒューマン・ライツ』より)

「小さい林檎小さい苺スーパーになくて小さい経済が好き」
(松村由利子『光のアラベスク』より)

「わが飼へる苺ぞろりとくづほれてなすすべもなし春の星夜に」
(睦月都「十七月の娘たち」/「短歌」2017年11月号より)

「つつかれてヨーグルトに沈む苺 やさしき死などあるはずもなく
杉﨑恒夫『食卓の音楽』

「とりかへしつかぬ時間を負ふ一人ミルクのなかの苺をつぶす」
(佐藤佐太郎『形影』より)

「風邪の子のために買われし苺なり深夜の冷蔵庫開ければ匂う」
(永田淳『1/125秒』より)

「くきくきと背骨を折りてゆくやうにわが体(たい)を折り木苺に触る」
(足立晶子『雪耳(シュエアル)』より)

「ただひとつホームの露台に売れ残る苺大福を近づきて見つ」
(内藤明『夾竹桃と葱坊主』より)

■たら 鱈

「みりん甘くて泣きたくなつた銀鱈の皮をゆつくり噛む夏の夜」
(山下翔『温泉』より)

■牡蠣

「たつぷりと牡蠣の旨味をふふみたる土鍋の底の葱をたのしむ」
(内藤明『斧と勾玉』より)

「一生分の牡蠣を食つたと言ふ奴もみんな一緒にあたらうねと言ふ奴も」
(永田和宏『某月某日』より)

「サリンジャー死にし話題は牡蠣の殻開けて啜らむとする間に終る」
(真野少『unknown』より)

「淋しさは壊してしまえ生牡蠣(なまがき)に檸檬をしぼるその力もて」
(道浦母都子『花やすらい』より)

「ある時は命さびしみ新らしき蠣(かき)の酢蠣を作らせにけり」
(北原白秋『雲母集』より)

■ホタテ 帆立 車渠 海扇

N/A

【参考記事①】

【「こだわり」に関する短歌】

「麦縄といふ古き名を思ひつつ初秋(しよしう)の熱きうどんを食へり」
(高野公彦『渾円球』より)

「さかいめのなき時を生きゆうらりと瞳うるわし川底の魚」
(東直子『十階』より)

「「はえぬき」の炊きたてを食む単純な喜びはいつも私を救う」
(三枝昻之『上弦下弦』より)

【12月を含む曲特集】

Aqua Timez「12月のひまわり」

GACKT「12月のLove Song」

BAYHOOD feat. GIPPER「12月サンキュー」

Yoctopolis「12月」

reGretGirl「12月29日 (December 29)」

Kawaru Gawaru「12月にはきっと」

chay「12月の雨」Rec Ver.

【12月に聴きたい歌】

【12月に聴きたい歌】冬らしさを感じる曲&クリスマスソング

https://www.ragnet.co.jp/december-songs

【参考記事②】

【関連記事】

【1週間短歌ごはん生活】4月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n30045f074e52

【1週間短歌ごはん生活】5月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n437c0e97aa13

【1週間短歌ごはん生活】6月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/nc9728bd70b71

【1週間短歌ごはん生活】7月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n754ea8fd7399

【1週間短歌ごはん生活】8月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n56f94dc884d3

【1週間短歌ごはん生活】9月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/nf95ef5f1b7a7

【1週間短歌ごはん生活】10月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/n3b1b1877e8cc

【1週間短歌ごはん生活】11月に旬を迎える食材と短歌
https://note.com/bax36410/n/nca90334700de

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