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【読書メモ】「反脆弱性[上][下]―不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」ナシーム・ニコラス・タレブ(著)望月衛(監修)千葉敏生(訳)
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本書によれば、政治、経済、医療や生活全般のように、未知が大部分を占める場所や、ランダムで、予測不能で、不透明で、物事を完璧に理解できない状況では、反脆さが大きな役割を果たします。
その理由として、システムに害をもたらす事象の発生を予測するよりも、システムが脆いかどうかを見分けるほうがずっと楽だからです。
ここで、色々な障害(リスク)に対してのアプローチとして、予測不可能なリスクを、どう乗り越えることができるか?を考えた場合、反脆の仕組みを理解すれば、不確実な環境のもとで、予測に頼らずに意思決定を下すための体系的で包括的な指針を築くことができます。
それは、脆さ(変動性による被害の受けやすさ)は測れますが、基本的にリスク(その被害をもたらす事象を予測する)は測れないことに起因しています。
つまり、世の中の非対称性を理解する事で、変動性による被害の受けやすさが測定できることから、その被害をもたらす事象を予測するよりは、よっぽど簡単だということです。
現代の様に、不確実性な世界を生き抜くためには、ローマ時代の積極的なストア哲学(※)者達と同様に、不確実性を自分のものにするべきなのでしょうね。
※印:
ストア哲学は、社会への関わりを大切にし、人間も自然も同じように大事にすることを説く哲学。
みずからの思索を深めることを強調しながらも、社会的つながりを重視している。
そういった心持で、世の中を見つめ直してみると、ランダムな事象(や一定の衝撃)によるダウンサイド(潜在的損失)よりも、アップサイド(潜在的利得)の方が大きいものは、著者言うところの反脆く、その逆のものは脆い事になります。
著者は、社会を脆くし、危機を生み出している主犯は、身銭を切らない人たちであると指摘しています。
世の中には、他者を犠牲にして、自分だけちゃっかりと利を得る反脆くなろうとする人たちがいます。
彼らは、変動性、変化、無秩序のアップサイド(利得)を独り占めし、損失や被害といったダウンサイド・リスクを他者に負わせていますが、このような他者の脆さと引き換えに手に入れる反脆さは目に見えません。
そこで、参考までに、以下の通り、社会における非対称性について引用しておきますので、世の中を俯瞰する際のひとつの視点として活用してみて下さい。
【社会における非対称性】(出典:「身銭を切れ」93ページより引用。)
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【参考図書】
「身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質」 ナシーム・ニコラス・タレブ(著)望月衛(監修)千葉敏生(訳)
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