ロジラテ思考のマネジメント「優れたリーダーは”意思決定が早い”理由」#A09
ファーストチェス理論をご存じでしょうか?
プロのチェスプレーヤーに、次のような実験をしたそうです。
次の手を5秒以内で考えてもらい、30分後に再び同じ盤面で手を考えてもらいました。すると86%が同じ手だったそうです。
この結果を見ると、プロのチェスプレーヤーの直感力は正しいということになります。
ビジネスの世界でも、優れた経営者やリーダーは素早い判断力と意思決定力があると言われています。さて、プロチェスプレーヤーとの共通点は何でしょうか?
彼らに共通していることは、豊富な知識と経験を体系化している点です。
問題に直面したとき、体系化された知識と経験で得られた直感は、かなりの率で正しいといえます。
1.体系化した知識、経験を手に入れる方法
優れたリーダーとは、常に自分の事業のことを考えている人です。
情報収集、人脈、マーケットの動きなど変化に対して敏感になっている人達です。
こう言うと昭和的なビジネススタイルだと思われるかも知れませんが、「ふっと気づくと、考えてしまう」くらいその事業に愛着を持っていなければ事業の成功はありません。
例えば、1)自分は何を知っていて、何を知らないのか? 2)知らないことは、どこの誰に聞けばいいのか? 3)焦点を合わすべき情報は何か?持っている情報の深さはどの程度か? を考えることです。
これが積み重なっていくと、バラバラの情報が何かのタイミングで情報同士がつながって、相関関係が見えるようになります。
複数の相関関係が積み重なっていくと、やがて体系化された知識と経験になっていきます。
優れたリーダーとは、知識と経験を体系化する作業を愚直に積み重ねていった人達といえます。
次の項は、体系化とは何をするのか?についてお話していきます。
2.体系化された「知識と経験」を身につける方法
やることは簡単です。
「何が起こって」、「何故それが起こって」、「何をする」、「結果」を時系列に記録して、定期的に観察と分析すれば相関関係が見えるようになります。
それをベースに戦略戦術を立てて実践していけば、自分の知識と経験は自動的に体系化されていきます。
下の図をご覧下さい。前回の記事#08でも登場していますが、これはロジラテ思考ノートです。
これを半期ごとに記録し、知識、経験の相関関係を分析します。
ロジラテ思考ノートの記録が習慣になると、下図の思考プロセスが身につきます。
問題が発生したら、仮説を立て、課題を設定し、解決策を実践し、結果によって新たな仮説立てを繰り返していくようになります。
この思考法が身につけば、問題に直面したとき、過去に立てた仮説の中から類似した仮説を選び出し、課題・解決策を考えれば、素早い意思決定ができます。
ロジラテ思考のマネジメントは、体系化された知識と経験を積み上げ、正しく、素早い意思決定ができるメソッドとして是非活用を考えてみてください!