ビジネス成功の鍵、「集中力」と「分散力」を身につける方法
私たちは、社会から常に集中力を高めることを求められてきました。
私たち自身も、成果をあげたり、イノベーションを起こすためには集中力が不可欠だと信じてきました。
しかし、野生動物の世界に目を転じると、真逆な能力を求められていることが分かります。
例えば、シマウマは草原の草を食べることに集中していると、肉食獣餌食になるリスクが高まります。
このことは、人間界でも同じことがあります。
例えば大工の親方です。
親方は現場で自然に自分の作業をこなしながら、次の段取りを考えて的確な指示を出しています。これを怠ると現場の事故や納期に問題が生じます。
つまり、分散力を活かしながら仕事をマネジメントしています。
1.新しい発想を生み出すとき、脳はどこを使っているのか?
ワシントン大学のシュピナー博士が以下のような面白い実験をしました。
つまり、新しいアイデアやイノベーションの着想を生み出すときは、脳は運動や行動を司る「前運動野」という部位を活性化させています。
アイデアの着想と運動の関係性が明らかになったことは興味深いですね。
2.分散学習が、成果があがる理由
次に、分散学習が成果を上げる理由について考えましょう。
仕事柄たくさんのビジネス書を読みますが、長時間読んでいると脳が劣化したスポンジのようにスカスカになっていき、休息という水を与えても、ただ文字が流れ落ちていくようになります。
そんなとき、いったんビジネス書から離れて、村上春樹さんの本を読むと、文章のリズムが良質な水となって脳の中に取り込まれ、ビジネス書に戻ったとき理解が進みます。
つまり、ほかの本を読むという「運動=行動」が分散力を呼び覚まし、今読んでいるビジネス書を読み解く集中力が増して理解できるようになるのです。
ビジネスにおいても同様の原理が働きます。
多くのビジネスマンは、学習し実践し、そこから得られる変化や機会に集中し、新たな戦略や戦術を考えます。これが分散学習です
具体的には、
→学習 (学び)
→実践 (行動)
→分析 (行動)
→学習 (学び)
→戦略戦術の修正(行動)
→戦略戦術の実行(行動)
というサイクルを回しています。
3.ビジネスで求められる集中力とはなんだろう?
学校の勉強は、与えられた教科やテーマに集中力を発揮し、求められた評価点を得ることが成果ですから、集中学習は効果的な学習法です。
しかし、ビジネスの集中力とは、「学習」 ⇒ 「実践」⇒ 「分析」 ⇒ 「学習」 ⇒ 「戦略戦術の修正」 ⇒ 「戦略戦術の実行」から見いだされた変化や機会に集中して、次の打ち手(戦略戦術)を考えることです。
これを、マネジメントの大家 ピーター F ドラッカーは、以下のように説いています。
以上を纏めると、以下のようになります。
学校の勉強は、与えられたテーマに一点集中学習して成果をあげる。
ビジネスは、実践の結果あらわれた変化や機会に集中して、イノベーションを起こす。
4.ビジネスでは、集中力と分散力の使い分けが鍵となる。
集中力は、タスクをやり遂げたり、深く理解したりするのに必要です。
分散力は、環境が変わったり、新しいアイデアを出したりするのに必要です。
この二つをうまくバランスさせると、効率的に仕事を進めたり、新しいアイデアを生み出したりできるようになります。
つまり、集中力で必要な情報やスキルを身につけるために発揮し、分散力で柔軟な考え方や広い視野も持って、新たな変化や機会を見いだして成果に繋げていけば、成功への道が開けます。
皆さんは如何お考えでしょうか?