「畳み人」という選択
本の紹介文
朝渋っていうコミュニティに所属していた時に、出会った一冊です。読んでいて特に著者の設楽さんの人柄にも魅力を感じました。編プロ(編集プロダクション)に入りたく新卒でマイナビに就職したのに営業に回されるハメに。
その後、マイナビの新規営業として幻冬舎にアプローチする中で幻冬舎の営業職に募集し内定が貰えたというちゃっかり具合。(人材業界ってそういうとこあるから便利ですよね笑)その後、紆余曲折あり幻冬舎の箕輪さん、Newspicsの佐々木紀彦さんらとともに有名著書編集を手掛け、その中で身に付けた、会社経営者及び参謀に必要な能力を「畳み人」と仮称し本書にそのtipsが綴られています。
要約ポイント
①広げ人と畳み人
いいアイデアが思いついてもそれを実行に移すことが出来なければ何の価値もない、ということからビジネスアイデアをプロジェクトリーダーなどの起案・発案者を大風呂敷を広げる「広げ人」その対をなす仕事のアイデアを実行に移す役割を「畳人」と定義していて、畳み人の存在(あるいは資質)ナシではアイデアの実行は不可欠。畳み人は実行におけるキーパーソンという位置づけ。
※企画立案(0→1)を広げ人、企画実行(1→100)を畳み人とすると覚えやすいですね。
どんな人が向いているの?→心配性な人。飲み会とかみんなが楽しめてるかという企画力を持ってる人。ビジネスを動かした時にお客さんや世の中社内がどう動くかを先回りして読める人が素養としてはあるみたいです。
先を見据える人間関係の構築や、タスク縮小に全力を尽くす等、基本とも言えることを徹底的にやることが畳み人になるための練習になる。
②アイデアの共犯者になれ
畳み人は広げ人のことをよく理解し右腕になる。その信頼関係の密度がアイデアを実行に移す上でに一番重要だといいます。
そして、広げ人はとかく朝令暮改ということをよく理解すること。むしろそのアイデアの実行における広げ人は目まぐるしい時流に常にアンテナを立ててアイデアの本質を追いかけて試行錯誤しているという認識が大切で、あくまで広げ人のアイデアの批評家という立場ではなく、そのアイデアを出した広げ人のことをよく理解し、汲み取る力が必要となってくる。
③クロスカウンターを狙え
一見するとアイデアを出した人が脚光浴びる中、地味で平社員的なイメージがついてしまいがちな畳み人というポジション。だが、広げ人の思考を汲み取ることを習慣化してしまえば、広げ人を支配しコントロールすることができる。ここを押さえておくと輝く参謀への近道。
畳んでいる途中に生まれるアイデアを実行する中でもっと面白いアイデアをボトムアップできて広げ人のアイデアに相乗効果をもたらすことも可能。
自分は畳み人だ、広げ人だと役割を固定する必要はなく、ハイブリッド型(どちらのポジションも可能になる)ことが希少性を生む。
最初が誰でもジャストアイデアで一発当てれば世界を変えられると思われがちだけど、畳み人を経験していないとアイデアの実行可能性やそこに潜むリスクを把握できるので
まとめ
自分の中で畳み人とはお母さんみたいな存在だなと思いました。野球でいうとキャッチャーかな。荒ぶる投手の素質をどうやって引っ張っていくかという頭の使い方や、能力の引き出すチームで最も頭を使う存在です。
ビジネスの本って大概、広げ人の本のような気がしました。facebookマーク・ザッカーバーグみたいになにかをやり遂げた!とかこんなサービスを作った!とデカデカ記載しているものも多いです。たしかにそれもとてつもなく凄いこと。でも大半は広げ人だけで作ったサービスでこの世に広まってることは戦略性を持てず、変化に対応できず、堕ちていく。
本当に評価されるべき、というよりこれからのVUCAの時代に私達が目指していきたいのはこういった根回しや企画を推進・実行するまでの準備を行った「畳む」経験でありその知識やプロット。上手くプロジェクトが進むか否かチカラ次第なので。若いうちにどれだけアイデアを出したか、ではなく実行に移し実現したかの総数ビジネスレベルを格段に引き上げるものだと感じました。
目の前の仕事を全力で取り組むべきだけど、新人が会社としての立身出世のためにまず必要な本だと思います。
是非ご一読を。
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