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都築郷士『ぶうつく』呟きの如く・10 附・詩人の為の秋冬ワードローブ集

吉右衛門の芸はどこがいいか。
吉右衛門の芸のいい所は、すべて吉右衛門が役の性根をしっかりつかんでいる所から来る。-『中村吉右衛門』小宮豊隆 - 悪文だねー笑。(筆者註.. この吉右衛門は初代吉右衛門。テレビの『鬼平』で有名なのは、養子とした二代目吉右衛門丈である。書いてゐる小宮は漱石の弟子。)

余りある肉の美よ汝ナレ「ル」伯の女 郷士
※勿論ルノアールね。

【蟹】

赤いベレーを被つた屠殺者
サングラスが売りの遊び人
そのどちらでもない。

両者には「詩」がないのだ、
幾らポエジーの萌芽が認められやうと。

その事頭に登らせると、
空氣が薄いやうな
水ばつかりの世界なやうな、

氣がして
私はあぶく吹く - 三島に当て付けの

蟹、に成りさうなのだ(因みに私は蟹坐)。

©都築郷士

※怖い物知らずだつた三島由紀夫にも、弱点はあつた。蟹、が死ぬほど嫌ひ - 否、怖かつたのだ。「蟹」と言ふ文字を見たゞけで、総毛立つたと云ふ。

道楽に蟹をやつちやあ駄目ですか大阪悩まし食の都よ
(©都築郷士)

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