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★【チーム作り】高校野球1年間の流れ

(このnoteでは、”強い高校野球チームを作る”方法を仮想の高校を見立て様々な角度から具体的にシミュレーションしております。野球に関わる全ての方々にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。)
「工藤note高校 野球部」甲子園・日本一までのチーム育成プロセス を考える|工藤

高校野球は、夏の大会が終わると、(国体出場を除けば)3年生が引退し1・2年生で構成するチームの代の入れ替わり・新チームスタートのタイミングになります。ここから夏の大会終了までが「その代の1年間」という考え方になります。
大会の日程はほぼ毎年決まった時期なので、最終目標は夏の大会になりますが、そこまでの過程も1年間の計画で組んでいきます。


1年間の大会の流れ

8月~ 秋季大会

新チームスタート後ほどなく秋の大会が始まります。この大会は翌年春のセンバツ(甲子園)につながる大会となるため(センバツ大会の重要選考資料 地方大会で優勝すると、明治神宮大会に出場)甲子園出場を目指すチームにとってはいきなり「本番の大会」になります。

11月 明治神宮大会

明治神宮大会は、各地区の秋季大会を優勝したチームが集う初の全国大会で、秋の日本一を決める大会となります。
その世代でトップクラスを形成していくであろうチームばかりなので、チェックする機会があればチェックし「全国トップクラスはどのくらいか?」を実際に見ることができると、非常に良い機会になります。

3~4月 春のセンバツ(甲子園)

春休みに甲子園球場で開かれる全国大会になります。
出場できれば素晴らしいですが、出場が出来なかった場合も出来る限り試合をチェックし、秋の神宮大会同様トップクラスをチェックします。

3~6月 春季大会(地域により開催時期に差がある)

春季大会はは地区大会までで甲子園(全国規模)につながる大会ではありませんが、冬のトレーニングの成果を試し夏の大会へ向けチームの課題を明確にできる大会になります。

6~8月 全国選手権大会(夏の大会 甲子園)

「その年の日本一を決める大会」で、チームとしては1年の締めくくりとなる最後の大会となります。甲子園(全国大会)に出るためには、基本都道府県の大会で優勝する必要があります。
1年間の目標をこの夏の大会で達成するために、年間計画を組んで日々の練習に取り組みます。

9~10月 国体・高校野球競技(硬式)

夏の甲子園大会で優秀な成績を収めたチームが選ばれる形で秋季の国民体育大会に出場します。

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以上が高校野球の1年間の流れになるので、これを踏まえてチームの年間スケジュールを組んでいきます。

1年間のチーム作りの流れ

7・8月 新チームスタート方向決定・秋季大会準備

夏の大会終了後・新チームスタート時に、チーム・個人の目標・方向性を明確にした上でスタートします。
最終目標はあくまで「夏」なので、夏を意識したチーム作りを秋から行ないます。そのための通過点として「秋」と「春」があるイメージです。

チームスタートの時期は早いチームで6月下旬、甲子園の出場し上位進出した場合は8月下旬 とかなり差がありますが、「秋の大会」へは限られた時間の中で準備を行なう形になります。
出来れば、4月くらいの段階である程度新チームの構成を描いておき、新チームスタート段階から素早く具現化・修正できる状態を作ることができると良いです。

≪夏休み期間の過ごし方≫
高校は7月下旬から夏休みに入るので、通常時期よりも練習・練習試合に時間を割くことができる期間となります。合宿等で集中的に強化策を入れることができるのもこの時期です。
チームレベルとしてはまだまだこれからの状況ですが、9月から始まる秋の大会(春のセンバツ出場権が掛かる重要な大会)に向け限られた期間で可能な限りチーム力を上げる時期になります。「基本の反復で形を作る」ことにプラスして(突貫にはなるが)実戦練習・練習試合を数多くこなしチームの”実践経験値”を上げていきます。
選手個人としては、新チームの中で自分が負うべき”役割”が段々と見えてくるので、自分の強みをハッキリさせ練習段階では失敗を怖れず様々なチャレンジをしながら、経験を積み秋の大会へと挑みます。

9・10・11月 秋季大会

9月に入ると秋季大会が始まります(大会時期は地域により差あり)。

この大会で上位に進出すると来春センバツへの切符を手に出来るので、この段階でのベストなチーム状態を作り大会に挑みます。
例えば(私は住んでいる)福島県で言うと、センバツの出場権を手にする可能性が高くなる結果としては…
● 支部大会で上位に勝ち進み、福島県大会の出場権を得る
● 福島県大会で上位(3位まで)に勝ち進み、東北大会の出場権を得る
● 東北大会で決勝まで勝ち進むと当確
となります。また、東北大会で優勝すると、各地区大会の優勝校が出場する明治神宮大会に出場となります。

チームの目標が「センバツ出場」ではない場合でも、立てた目標に向かいこの段階でのベストなチーム状態を作り大会に挑みます。自チームの強さ(立ち位置)がどのくらいの位置にあるか?確認するのにも有効な大会です。

10・11月 秋季大会後の取り組み

秋の大会で出た技術的な課題に対し、短期間で修正できることはこの時期に行なってしまいます(来春まで時間を置かない)。
すぐに改善が難しい課題は、
● どこが問題だったのか?
● 改善のために「冬の間に出来ること」「春以降に出来ること」は何か?
                          明確にする。
ようにします。

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(高校野球では「対外試合禁止期間」があり、高野連が
 12月1日〜翌年3月7日まで公式戦・練習試合も禁止と設定しております。
    
この期間は、選手個々の基本的な体力強化にあてる期間なります。
          練習試合は3月8日、公式戦は3月19日が解禁日です。)
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12・1・2月 オフシーズン トレーニング

試合ができず地域によりグランドが雪に覆われるこの時期は、試合に向けた技術の向上ではなく来春に向け体力強化(トレーニング)を進める時期になります。
春までに目指す体力強化の目標(出来る限り定量で目標設定)を定め、そこを目指して(基本は)この3か月間で強化を進めます。体力強化のトレーニングは日々単調になるものが多いため、(退屈しないトレーニングの工夫も重要ですが)定量の目標設定による意識の向上が有効です。

≪冬の合宿≫
チームによっては「冬の合宿」がある場合もあり、合宿中はひたすら体力強化のプログラムを行なう厳しいものになります。「これだけ厳しい練習をしてきた…」という自信を選手に植え付けることもできる機会となります。
≪食トレ≫
日々の体力強化を効率的に筋肉や強い体に変えるため、食事に関しても意識して摂っていくことができる時期にもなります。
「食べる量」だけでなくバランスよく食べることを意識します。シーズン中はなかなか知識を得ることができないので、この時期に少しでも勉強しより良い栄養の摂り方を学びます。

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(「対外試合禁止期間」が明け、練習試合は3月8日、
              公式戦は3月19日が解禁日になります。)
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3月 実践練習スタート

冬場のトレーニングメニューから、ボールを使った実践メニューに切り替わっていきます。
この時期に「野球ができる喜びを感じ、できることに感謝する」気持ちを高めることができるように、冬場は意図的にボールを持たないトレーニングにする(野球をすることを飢えた状態)ことも有効です。

≪冬を越え、チーム・選手がどう変わったか?≫
チームとしては、まずは冬の体力強化で選手の能力が伸びて変わってきているので、そこを見極め一からのポジション争いをするようにチーム編成の組み直しを進めます(秋のレギュラー=春のレギュラーにしない)。また、秋の大会で出た技術的な課題に対し修正を取り組むことができる時期になるので重点的に改善を進めながら、「基本」的な「当たり前の実践」が自然にできるように繰り返します。(何を考え、自分の体をどう動かすか?に集中して取り組み、体に染みこませる)

4・5月 春季大会

早い地域では3月のセンバツ開催時期から、春季大会が始まります。
甲子園につながる大会ではないですが、結果が夏の大会のシード校選定にもかかわってくるので大事な大会です。また、冬の体力強化がどのようにチーム力向上につながっているか?把握できる非常に良い機会になります。
できるだけ多くの公式戦の経験を積めるよう、上位進出を狙います。また、1年生は初めて見る大会になので、高校野球の試合の空気に慣れてもらう機会になります。

例えば(私は住んでいる)福島県で言うと、東北大会で勝ち進むためには…
● 支部大会で上位に勝ち進み、福島県大会の出場権を得る。
● 福島県大会で上位(3位まで)に勝ち進み、東北大会の出場権を得る。
となります。
夏の大会の試金石となる大会です。新チームスタート時に立てた目標を達成できるチーム力があるか?この春季大会である程度の見極めをします。

≪チームの追い込み時期≫
この時期は実戦に近い練習を行ない技術的な経験を積む時期なので、週末には積極的に練習試合を組み(練習試合がない場合は、紅白戦を組む)全選手がより多くの実践経験を積めるようにスケジュールを組みます(レギュラークラスに偏らないように注意)。
またこの時期は「追い込みの期間」として厳しい練習になってくるので、春季大会期間中でも「追い込み練習」をやめるのではなく、選手の疲労が残っていてもそのまま春の大会を戦います。最終目標はあくまで「夏」なので、方向性をしっかり全選手が理解しているチームであればその意図も十分理解できると思います。

6月 夏季大会への最終準備

春の大会終了後は、夏の大会に向け各選手がこれまで積み上げてきた力を日々の練習・練習試合の中で”すべて出し切る”ことを意識して取り組みます(いざという時に100%出し切れる練習となる)。
本番直前にメンバー発表(ベンチ入り)がありますが、それ以降は各選手の役割が決まってくるのでそれに徹するようにします。

7・8月 夏季大会

最終目標である大会で、この大会でかつ進むと夏の甲子園への切符を手に出来ます。例えば(私は住んでいる)福島県で言うと、夏の甲子園の出場権を手にする結果は…
● 福島県大会で優勝する
となります。トーナメント制なので、1回負けたらそこで終了となります。

1年間で最大の目標となる大会なので、新チームスタート時に立てた目標を達成するために1年間取り組んできたことを試合で100%出し切る準備を行ないます。
大会初戦時に100%のコンディションで挑むか?大会が進む中でコンディションが上がるようにしていくか?は、チームが立てた目標により変わってきますが、基本はチーム・各選手が「力を100%出しきる」試合・大会にすることを一番意識します。

必ず”1年間”でチームを考える

このように、高校野球の1年間はおおよそ「8月が新チームスタートで、翌年の7月が夏の大会本番」となりますが、この1年間を「何となく」過ごしていると最終の夏の目標に到達することはできません。
1年間の目標に対し、その時期その時期でクリアすべき課題を明確にしそこに意識を集中して日々の練習に取り組むことが勝てるチーム作りのポイントになります(目標がその日その日を支配する)

最終目標はあくまで「夏」なので、夏を意識したチーム作りを秋から行ないます。そのための通過点として「秋」と「春」があるイメージです。その大会ごとに「勝つ」ことだけを考えていると、その大会の敗戦から課題を見つけることなく同じ失敗を繰り返し”夏に勝てる”チームを作ることができません。

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高校野球のチーム作りに関しては、さまざまな本が出版されております。
主だったものをご紹介します。


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