【どうする家康】榊原小平太のつかみどころの無さ。マイペースなのかイケイケなのか?第8回「三河一揆でどうする!」もっと深掘り
NHK大河ドラマ『どうする家康』第8回の、もっと深掘り感想です。
前回の感想はこちら↓
(※以下、ネタバレ注意)
(※本記事のセリフの引用箇所は一部ノベライズに準拠しており、ドラマのセリフとは異なる場合がございます)
マイペースなひねくれ者からイケイケになり、あわや裏切りも?榊原小平太に注目!
今週3本目の『どうする家康』(以下『どう康』)レビューになります。第8回も、足を痛めたフリして裏切りに回った本多正信だったり、なかなか名前覚えてもらえない夏目広次だったり、そんな広次を謀反へ導いた千代だったりと、注目すべきキャラの多い回ではありましたが……。
今回は小平太(後の榊原康政)について「もっと深掘り」で注目していきたいと思います。(ちなみにサムネイルの犬の写真は、小平太と平八郎コンビっぽいなと思って選びました……わかりづらいかw)
彼も酒井左衛門尉忠次や本多平八郎忠勝、そしてまだ出てきていない井伊直政と共に「徳川四天王」と呼ばれる忠臣になっていくので、今後も活躍する場面が沢山描かれるであろうキャラの一人ではあるんですけど。今のところ、どうもつかみどころがない……ってこれ、別にディスってるわけではないですよw
例えば左衛門尉は、いつも家臣団のまとめ役。今回、一揆が起きて家臣団が殿を責める中、「今さらそれを申しても詮無いこと!」と仲裁に入ってすぐに一揆の鎮圧へと動き出しました。
瀬名なんかは、明るく朗らかな女性として描かれていますし。優しい面も多いですが、第7回や、第8回の序盤では、その芯の強さから家康に強く意見するようなシーンも。それでも第8回の中盤、家康が「どうせ皆わしが嫌いなんじゃろうからな……」と自虐を言ったときには「近しい家来たちは皆変わらず、殿をちゃんとおそばで支えてくれているではありませぬか」なんて慰めもしていましたね。愛情深いなぁ……。
ちゃんと一人ひとりキャラがわかりやすく描かれている中で、小平太だけちょっとつかみどころがないんです。第6回の「続・瀬名奪還作戦」では「同い年の平八郎殿に追いつき、さっさと追い抜きとう存じまする」と言い、今回は「私めに兵をお与えくだされば、いずれの寺もことごとく攻め落としてみましょう」なんて。セルフプロデュースの鬼!急にイケイケじゃねぇか。
やはり少年時代に大樹寺で家康(当時は元康)に惚れこんで以来、殿に早く認められたい一心……かと思えば、一向宗の寺内町で舞を披露していた女からの手紙を受け取り、「吉良からの誘いを受け取りました」「迷っていてはいけませぬか?平八郎殿のように」なんて危ういセリフも口にしていました。
しかしこの場面では、そう言われた平八郎自身も迷っていたことを、小平太は見透かしていたのでした。平八郎は小平太の肩をつかんで咎めるようなそぶりを見せながらも、相手が去った後で自分の懐に手を入れると、やはりそこには吉良からの密書が。小平太、意外に鋭いところもあるんだなと驚かされたシーンではありましたけど。
そもそも、公式サイトの登場人物紹介では、「マイペースで、ちょっとひねくれた性格」なんて書かれていましたね。
マイペースな雰囲気は、初登場の第2回、大樹寺の木の上で昼寝をしていたシーンから出ていました。「家柄もよからぬ武家の次男坊、しかも強国の草刈り場の三河に生まれし身の上では、書物などいくら読んだところで出世はおろか長生きも望めませぬ」なんてセリフもありましたし、確かにひねくれ者でもある。
だから第6回の初陣から急にイケイケになったのが驚きでもあったんですよね。第7回の本證寺の寺内町潜入でも完全に陽キャになってたし。
これが「若さ」ってものなのかもしれないですけど、ちょっとつかみどころがない。次に何をするか、どんなセリフを言うのかなかなか予想できないキャラになってしまっているような印象も受けます。
小平太単体ではなく、平八郎との対比で考えればわかりやすい?互いを映し出す鏡か
そもそも第6回からは、平八郎とコンビで描かれるようになった小平太。自らが「ちぎれ具足」と名付けたボロボロの鎧をまとう姿が、立派な鎧を着た平八郎との対比で「無課金・廃課金コンビ」なんてパワーワードも生まれましたけどw
平八郎は第1回から出てきていたこともあり、もうわりとキャラが定まってきています。当初は家康(当時は元康)に「主君と認めぬ」なんて言っていた彼も、今では忠臣。第3回では「名を挙げたいものは俺に続けー!」と叫びながら勇ましく戦っていましたし、第6回の上之郷城攻めはもちろん、今回の本證寺攻めでも勇ましく槍を振るっています。
平八郎は「筋の通らないことは大嫌い」なだけで、基本的には男気と義で生きているキャラ。第7回で、実は女性に対しては奥手だということも判明しましたが、硬派な男性キャラって割とそういうギャップのある描き方をされることも多いので納得です。
そう考えたときに、小平太はやはり平八郎と対照的なんですよ。戦場では具足もボロっちいしすぐにピンチに陥ってしまうけど、女性に対しては積極的。そう言えば第2回でも大樹寺の住職・登譽上人から「夜遊びばかりしておるからだ」なんて言われてましたね。元々パリピではあったのか……。
だから、戦の前にはクールな平八郎との対比で「進む者、榊原小平太!退かざる者、榊原小平太ー!」なんてやかましく描かれているのも理解できます。
さらには吉良の書状を受け取ってしまい、己の迷いを明け透けに口にするのも、黙して苦悩する平八郎との対比ならば納得感が。
そもそも平八郎が書状を受け取ってしまったのも、渡してきた相手が女だったからでしょうし。ウブな男が、女からもらった手紙をその場では捨てられないでしょうwただその後、手紙が吉良からのものだったと気づいても、やはり今は「殿のミスのせいで、本證寺攻めという筋の通らぬことをやらされている」ことに苦悩したのだろうと想像できます。
ただ、逆に小平太が「迷っていてはいけませぬか?平八郎殿のように」と言ってくれたことで、平八郎は書状を握りつぶすという行動に出ました。一見矛盾しているようですが、他人にも打ち明けられない悩みというのは、明らかにされてしまった瞬間に解消することだってあります。ただの恥ずべき悩みだったと気づかされたわけです。
または平八郎が、小平太と対照的な存在として、「小平太が迷っている中で、俺は迷っていてはいけない。やつの手本とならねば」と踏ん切りをつけたところもあるのではないでしょうか。
そもそも、小平太も書状を受け取っていたと知って、「そうか、誘われたのは俺だけじゃなかったのか……無差別に配り歩いていただけか」ということだって気づけたでしょうしね。
まだ武功を上げていないようにも見える小平太。なのに認められすぎ?
それにしても小平太……今のところ戦場での活躍はほとんど無いようにも思えますが。初陣の上之郷城では、「榊原小平太ー!」と名乗りを上げるばかりですぐにピンチになり、平八郎に助けられていましたし。
そして「私めに兵をお与えくだされば、いずれの寺もことごとく攻め落としてみましょう」「さあ、仏さんよ、バチを当ててくだされ!バチをくれー!」と威勢のいいことを言っていたのに関わらず、敵の罠にかかって「バチじゃー!」みたいになっていました。と言うか、あの場からよく殺されずに帰れたもんだな……後ろについていた兵が庇ってくれたんでしょうか。
そもそもなんで平八郎、「よし、小平太、俺の兵を分けてやる」なんて、そんなアッサリ小平太を信頼できるのww小平太のへっぽこっぷりはお前が一番見てきただろうに。そして、モノか何かみたいにして分けられる兵も可哀そうだろ……何が悲しくて、小平太みたいなへっぽこを庇う必要があるのか。彼についた兵は恐らく、罠にかかった小平太を助けてる間に、門徒たちからぷすぷす刺されたりもしたでしょう(※妄想です)。
これは逆によ、小平太のへっぽこを見てきたゆえの「兵を分けてやる」なのかもしれないですね。コイツ一人で戦場に行かせたらヤバイぞ、すぐ死ぬぞ。守らせないと……って、じゃあ、そもそも戦場になんか行かせちゃだめじゃんなんて思いますけど。
でもやっぱり小平太の強みと言えば、戦に赴く際のイケイケですよ。他の家臣たちが、坊主が相手となることに及び腰なのに、「バチをくれー!」なんて叫んだのは小平太だけですからね……その結果、みんなドン引きしてたけどw
ふんづまった際に突破口となってくれる力は、小平太にあるんじゃないのかなと。まだまだ実力不足の「無課金勢」ではありますけど、その威勢の良さを平八郎だって買ってくれている気がしますね。
てか、あいつら肩を並べて飯を食ってるんだぜ。もはや仲良しじゃねぇか。今後もそんないいコンビでいてくれ。まぁ、これから戦も大掛かりになっていくので「ずっと付きっきり」ってわけにはいかんだろうけど……。
(オマケ)伝承にもある「ちぎれ具足」の造形は、俳優・杉野遥亮とスタッフによる合作
と、せっかく丸々一本で小平太について書いてみたので、最後は「ちぎれ具足」について触れておきましょう。あのボロボロな具足はただのギャグというわけではなく、実際にある榊原康政の逸話からきているのだとか。
なんと、伝承に沿っての「ちぎれ具足」だったんですね。なおその造形については、小平太を演じる俳優・杉野遥亮さんとスタッフさんによる合作だということが2月22日放送の『ゆう5時』でも明かされていました。
ちなみに具足や旗にも書かれている「無」という一文字の意味について、こちらは史実としても謎に包まれているようですが。家康が自分の新たな名前に「家」の字を入れたことにも独自の解釈があったように、ドラマ内でも今後明らかにされることがあるのでしょうか。そう言えば今回、吉良の書状を持ってきた女からも意味ありげになぞられてましたし。期待しましょう!
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