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【どうする家康】鵜殿長照はなぜ死に際に天井を見上げたのか。“愚直”に生きた武士の美学に惚れる!第6回「続・瀬名奪還作戦」もっと深掘り

NHK大河ドラマ『どうする家康』第6回のもっと深掘りです。
前回の感想はこちら↓

またまた今週も「もっと深掘り」記事お届けするんですけれども、その前にちょっと前フリをば。毎週『どうする家康』記事、「雑感」「深掘り」「もっと深掘り」更新してると、「雑感」と「深掘りは」そこそこアクセス稼いでくれるんですよ。

けれど、この「もっと深掘り」に関しては、一番力を入れて書いているのに、なかなかアクセスが増えないというジレンマが……更新時期がもう週の終わりあたりなので、もはや視聴者の皆さんの気持ちは次の回へと向かっちゃってるのかもしれないですけれども。

そもそも更新内容もだいぶマニアックになっちゃってるんでしょうか。第5回では服部半蔵、第4回では今川氏真について触れてましたし。ただ、第6回のストーリーでは氏真、かなり注目されていましたよね。そうなるだろうという先見の明はあったのかなとは思いつつ……。

じゃあ今回も氏真がメイン?かと言うと、そうではありません。第6話でついに討たれてしまった鵜殿長照(役:野間口徹)、そして最初で最後の登場?になる岡部元信(役:田中美央)という、今川に仕えた重臣2人について深掘りしていきたいと思います。

って、またマニアックー!w

まぁ、そんな感じで僕のnote記事の中では不人気コンテンツになっちゃってはいるんですけれども……面白かったらゼヒ、シェアしてください……ね!(切実)

(※以下、ネタバレ注意)

本当は戦いたくなかった?ノベライズにだけに描かれた鵜殿長照の心境

さて、第6回で元康(家康)の前に立ちはだかった、上之郷城・城主の鵜殿長照ですけれども。

第5回の雑感でも触れましたけど、彼、そもそも「桶狭間の戦い」のときには大高城で籠城(ろうじょう)しておりました。織田勢に囲まれて手も足も出ずに餓死寸前だったところ、元康からの兵糧入れを受けて九死に一生を得たという物語が第1回でも描かれていましたね。

今回の上之郷城戦、前半では長照、元康への恩も忘れたようにニヤニヤと山城の上から弓やら岩やらを落とすというイヤらしい攻撃を仕掛けていました。近くに従える二人の息子には「氏長、氏次、よく見ておくがよい。太守様のご恩を忘れ、忠義を捨てた者の末路を」なんて言って。

でも僕、先週あたりか、ようやくノベライズを買ったんですよね。そしてこれを見ると、なんと長照のこんなセリフが書かれていたのですよ。

鵜殿長照は櫓(やぐら)に上がり、小高い名取山を睨んだ。そこに元康の本陣があるのだ。
「戦いとうはなかったぞ……元康」と長輝は呟いた。

第六章『続・瀬名奪還作戦』|小説『どうする家康一』

いやぁ……!ドラマ観た後にノベライズ(kindle版)で読んで、ハッとして思わずスクショしちゃったぐらいでした。なんでこのシーン、ドラマではカットされちゃったんだろう……。

まぁ、ノベライズは他にもドラマで無かった場面や、ちょっと設定が違っているところも数か所あったりします。ドラマの長照とノベライズの長照もひょっとしたらパラレルワールドぐらい差がある可能性があるんですけど。

ただ、ノベライズの設定だけでも「戦いとうはなかったぞ……元康」の台詞が見れて、思わず「ありがとうございます……」と手を合わせてしまいましたね。やっぱり恩は忘れてなかったんだよ、長照。それを思うと、「太守様のご恩を忘れ、忠義を捨てた者の末路を」なんてセリフも180°違って見えますね。

「私にはこうする他ないんだ、本当は元康に恩義もあるけれども、部下への、息子たちへの示しというものがある。なにより、個人的な情に振り回されて今川様に盾突くようなことはあってはならない」。葛藤を抱えつつ、そんな自分を律するために戒めて言ったセリフでもあったように感じます。

ドラマでは、もっとわかりやすく「鵜殿長照は敵!」ということを表現するため、あえて視聴者が彼に感情移入してしまうようなシーンはカットされたのかもと思いましたけど。小説版だけでもそこを補完出来て良かったですよ……ありがとうございます、著者の木俣冬先生……(←ちなみに僕、「エキサイトレビュー」でライターやられてた頃からの、木俣先生のファンでございます)。

死に際が台無しに?長照はなぜ天井を見上げてしまったのか

しかし、前半はそんな堅牢な守りを見せながらも、忍びに入り込まれたらあれよあれよと崩れていった上之郷城。

長照も、「忍びか!元康、卑劣なり!」なんて叫んでましたけど、さすがに忍びへの備えが甘すぎない?なんて思ってたら、NHKサービスセンターの運営する「ステラnet」ではこんな記事が掲載されてました(※と書くと公式見解っぽくも見えますが、あくまで筆者の主観だと思って読んでます)。

見た蔵:長照は忍びへの備えを怠っていたということですか?
同 門:というか、あえてやってなかったんじゃないかな。長照にとっては、正々堂々と戦うのが武士の作法。お互い名乗りをあげて、正面からぶつかる平安武士のフェアプレーをしたいんだ。

第6回の立役者は半蔵(山田孝之)ではなく氏真(溝端淳平)ってなんだ!? 大河初心者の“見た蔵”とマニアの“同門センパイ”が第6回を大胆レビュー!|ステラnet

「正々堂々」……確かに、演じられている野間口さんもインタビューでも「台本を読んだときに、最初に感じたのは“愚直”」なんて答えられていました。

ただ逆に言えば……もしも元康が正々堂々本陣へと乗り込んできたら、周りの部下に「手を出すな!」なんて言って一騎打ちの戦いをしかけ、負けたら最後は元康に首を差し出す……なんて展開もあったかもしれないですね。

忍びに入り込まれたせいで、「虫けらどもの手にはかからぬ」と言って自害の道を選んでしまったのは、哀しくもありながら、いさぎよさに涙したシーンではありました。

一方、倒れ込んで死に際に天井を見てしまい、それで息子たちの所在が女大鼠にバレてしまったのは痛恨のミス。でも「最後の最後で間抜けだよね~」とか、そういうことではないと思うんですよ。朦朧とした意識の中、きっと人って、知性よりも本能の方が勝るハズ。

もし死に際になって何か憂い事が一つあったとするなら、逆にそのことに対する強い執着心を露わにしてしまうと思うんですよね。実際、僕の祖父も死に際には、「学~、学~、さようなら……」と僕にばかり声をかけてくれたのを思い出します。うちの父は「結局、息子の俺には何も言わなかった……」と嘆いてましたけど(めっちゃ余談ですみませんw)。

それできっと長照も、最期は本能から息子たちを心配し、つい彼らが隠れている天井を見上げてしまったのではないのでしょうか。

女大鼠がそれに気づいて天井に棒手裏剣を投げますが、直後、長照はそのまま目を閉じ、事切れてしまいました。ひょっとすると、自分が天井を見上げた後の忍びたちの行動に関しては、長照もまったく感知していなかったかもしれません。あとは死にゆくのみの状態だったはずです。

息子たちを思うがゆえの、最期の過ち。そのせいで息子たちを逃がす機会を失ってしまったのは皮肉ですが、お陰で彼らは自害することなく、忍びたちに生け捕りにされ、人質交換によってぶじ今川へ帰ることができました。これは長照の過ちではなく、父の強い想いのお陰で息子たちは救われた。そういう風に考えてあげた方が、長照も浮かばれるだろうと感じざるを得ません。

最初で最後の登場?岡部元信、史実では義元の首を取り返した功績も

さて、鵜殿長照に負けず劣らずの今川の忠臣・岡部元信も、今回ドラマで初登場でした。一応、第5回では数正の口から「駿府は遠い。鵜殿長照、飯尾連龍(いのおつらたつ)、岡部元信といった猛将たちが守る城々を落とさねばならぬ」と、名前だけは出てたんですけどね……。

ただし岡部元信、公式サイトの登場人物ページを見てみると、載ってないんですよ……第5回でいきなり故人になった大鼠は載ってるのにさ。ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛(唐突なカイジ)

まぁ、でもせっかく出てきてくれたんだからドラマで描かれなかった史実の岡部元信にも触れておきましょうか……実は彼、桶狭間で今川義元が織田信長に討たれた際、義元の首を信長から取り返した功労者でもあるそうなんです。

桶狭間にて今川軍が総崩れになった際の、岡部元信の動向が以下に記されています。

雪崩を打って敗走する中、元信だけは鳴海城に留まったといいます。そして攻めてくる織田軍をことごとく退けました。
これでは埒が明かないと思ったのか、信長は元信に開城するよう迫ります。その条件として元信は「義元公の御首をお返し願いたく…。」とでも言ったのでしょうか?この忠義に信長は感動して義元の首を丁重に棺に納めた上で送り届けたといいます。棺を受け取った元信は義元の棺を輿に乗せると先頭に立てて堂々と鳴海城から引き揚げて行ったそうです。

「岡部元信」義元の首を信長からもらいうけた不敗の猛将|戦国ヒストリー

そう言えば、第6回の劇中でも、氏真が亡き父の鎧兜に目を向けて「父上……」なんて呟いてましたけど。そうか、第1回で信長が槍にぶら下げてぶん投げてた義元の首は、岡部が取り返してたんですね。

「歩けなくなったら捨てろ」のセリフは非情だが、罪人や敵にも情に厚い武将

そんな忠臣であるのにかかわらず、氏真、「岡部ェ!」なんて雑に命令下してましたけど。おいおい、岡部ェがちゃんと働いてくれてなかったら、義元の首、カラスの餌になってたぞ?家臣でももうちょっと敬えよ!なんて思うんですけどね……。

そんな岡部ェ、瀬名たち人質を連れていく際にも彼が引っ立てにきたわけですけれど。岡崎まで連れていくという氏真に「歩かされるのですか」と巴、そして「この子たちには無理でございます」と言う瀬名に向かって「歩けなくなったら捨てろ」なんて言葉を吐いていたのも岡部ェでした。

まー!無慈悲な……と思いつつ、言葉とは裏腹に、瀬名たちの縄を切ってあげたのも岡部ェ。それで子供たちはおぶったり抱っこしてあげたりできたんですけれども。優しいね……。

ただ余談ながら、彼らが実際どれぐらいの距離を歩かされたんだろうと思って調べてみたら、びびったすわ……現在の地図で「車で最短1時間45分」「徒歩で最短23時間55分」なんて距離なんですけどね。これ、道路整備されてない時代だからもっと険しくてとんでもなく大変だったでしょうね……こんな距離を子供抱いて、おんぶして歩いてたら、肩も腰も死ぬわ……。

まぁ、ちょっと話が逸れましたけど……何とか関口一家、吉田城に到着。ほぼ満身創痍。で、数正が人質交換の交渉にやってきたときに、「今も今川に忠義を尽くすご家来衆がどう思うか。この岡部様とて!」と言い放ったのは、ポケ〇ン的に言えば「こうかは ばつぐんだ!」でしたね。氏真が「岡部、やれ」と言っても、岡部ェは刀を構えたままためらっていました。

岡部ェが情に厚い武将であることを数正も知っていたから揺すったんでしょうけど。しかし、こういう岡部みたいな家臣こそ大事なんやで。

そして、そういう家臣を「やれ」と言っても動かせない氏真。その一方で「やれと言われたことをやるのみ」と言う服部半蔵みたいなプロを抱えているのが元康。これも、氏真と元康とで、綺麗な対比が描かれてたんですね……。

はい、ではここまで「岡部ェ」って何回言ったでしょうか。

正解は7回でした。いぇい。(※正解しても景品はありません)

(締め)面白かったらいいね&シェアしてね!

と、以上、今回もめちゃめちゃマニアックに深掘りしてみましたね。情報過多で、若干まとまりが悪くてすみません;(←そういうところやぞ)

さて、いよいよ明後日は第7回、一向一揆編のスタートということで……『どうする家康』ファンの皆さん、準備はいいですかなッ!?

僕もまた当日に「雑感」記事をアップできるか……アップできなくても、ぜひ楽しみにしていただけたら幸いでございますよ!

何卒ッ!!

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