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ペアリングイベント2024 / 2ndのはなし ③

二皿目、カクテル。
和菓子とドリンクの全体はリンクを参照してください。
例によってレシピから。

豆乳を使ったアレキサンダーツイスト
<shake / cocktail glass>
スイートベルモット 20ml(ノイリープラット)
みりん 15ml
紅茶 20ml(アッサム)
豆乳 10ml (成分無調整)
醤油 1/2tsp

焦がし砂糖餡と奈良漬の煉切に合わせたもの。
試作を頂いた瞬間に「あ、これはアレキサンダーをツイストしよう」と浮かんで、それを素直に実行した。
が、上記レシピの通り、蓋を開けてみたら「これがアレキサンダーのツイストか?」と問われるとなんとも返しようのない構成に落ち着いた。
ちなみにアレキサンダーのレシピは以下。

Alexander
<shake / cocktail glass>
コニャック 30ml
カカオリキュール 15ml
生クリーム 15ml

こうやって改めて見比べると影も形もないな…。
豆乳がギリギリその欠片をうっすら残している程度。
もちろん最初はコニャックを使ったものからツイストし始めた。だけど初手で和菓子を潰すことがわかったので変更。

手持ちにきな粉ビターズがあったのでそれをメインに組み立てて、コニャックを周縁に纏わせればと思ったけどそれも上手くいかず。
ビターズと繋ぐ意味も含めて豆乳と生クリームのブレンドも試したものの、乳性感の主張も強く、コニャックと生クリームは外すことにした。
この時点でもうアレキサンダーのアイデンティティは無いも同然…どころか、もとよりカカオリキュールも使っていないので「概念としてのアレキサンダー」化した。ここまで来るとツイストというよりインスパイアであるが仕方なし。

兎にも角にも「和菓子を活かすカクテルバランス」を指向して、ローアルコールで組み上げることにした。
奈良漬、煉切と繋ぐもの。ここはやはり味醂である。
前回も使っていたからとても抵抗はあったもののこれは動かしようがなかった。
優しいタッチと独特の風味・コク、そして相性とどれをとっても申し分なし。
これに紅茶(アッサム)をやや濃い目に水出ししたものと豆乳を合わせた。が、このままだと悪くはないが複雑さに欠ける。何か加えようと試した結果、スウィートベルモットに行き着いた。味醂との相性、とても良し。
ベルモットって実は西洋の味醂なのでは?という解釈ができたのは新たな発見。
しかし、それでもあとほんの少しだけ輪郭を立たせたいと考えていた時、醤油をビターズ代わりに使うということを思い立ち、試してみたら見事にハマってくれた。

工程はそれなりにあったもののわりかしスムースな進行。
意地を張らずに味醂を使ったからでしょうな。あそこで「前回使ったから使いたくない!」なんて言い出していたら倍以上の苦労をしたと思う。意地は張るところと張らないところの見極めが肝心というのも学びました。

ちなみに今回の3杯中、これがいちばん反応良かった。
主観と客観はやはり違うもんだなーと思いました。

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