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別の書籍から”セカイのタケミツ”にせまってみた
『ヴァイオリンと管弦楽の協奏風狂詩曲』と『ピアノ協奏曲』
音楽家としてのちに『セカイのタケミツ』と称される武満徹は、書籍『武
満徹・音楽創造への旅』で伊福部昭・早坂文雄の『ヴァイオリンと管弦楽の
協奏風狂詩曲』と『ピアノ協奏曲』,これら管弦楽曲が上演された際、日本
でも管弦楽曲が上演されるのだと関心をもち、実際に2作品を聴きに行くと
いうエピソードがある。
⏫分厚いが、武満徹を一冊で知るには十分なテキスト本。
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武満徹と早坂文雄
武満徹は清瀬保二の弟子ともいえるが他に早坂文雄の影響も受けており、
『武満徹・音楽創造への旅』では一章まるまる早坂文雄との思い出が綴られ
ている。
⏫まず、入門書としてはこれがおすすめ。
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🔼後半、早坂文雄サイドから、若き武満徹との交流が描かれる。早坂文雄
が縁となり、のちにNHK大河ドラマ『源義経』の音楽を武満徹が担当するエ
ピソードなど多岐にわたる。さくいんがないのでエピソードを探すのに困
る。
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武満徹と伊福部昭
顧みれば武満徹と伊福部昭とのエピソードはゼロに近いがいくつか共通項
はある。
箇条書きにすると
① 徒党を組むのを好まない
② その時代の音楽の代表者だと語られることがあるが本人はそう思っていない
③ イメージや代表曲を紹介されるが本人は他に作曲を聴いてほしい
④ 昭和45年(1970)の大阪万博の時、それぞれパビリオンの音楽を担当
⑤ 映画音楽のためなら映画監督を激突、論争してもかまわない
⑥ 作品に日本楽器を使用したものもある
など。
②では伊福部昭は民族音楽、武満徹は十二音奏法(無調音楽とも呼ばれ
る)の代表みたいに評されるが、伊福部は映画で怪獣という「この世ならざ
るもの」を表現するために無調音楽のようなもので表現、その効果に一定の
理解を示しつつも純音楽ではついに無調音楽を使用したものは制作されなか
った。
③では武満徹は紹介頻度が多い『ノーヴェンバーステップス』よりも
『秋』のほうが完成度は高いからそちらのほうを聴いてほしい、と語ってい
る。
⑥ では早坂文雄の影響で武満徹は宮廷音楽「雅楽」のイメージした『秋
庭歌』があるが、伊福部は「雅楽」に対して当時の庶民の音楽である「郢
曲」をイメージした『郢曲鬢多々良』、和楽器の箏を使用した『琵琶行』な
どがある。
🔼巻末さくいんがあって人物検索しやすい。伊福部昭がピアノと管弦楽の
ための「リトミカ・オスティナータ」を初演した際、武満徹は「中間部がな
かったらもっとよかった」と評したというエピソードが載っている。
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あとがき
うろ覚えなのだが『お天気待ち』(野上照代著)で映画『乱』のひと悶着
が書かれていたと思うが、情報として不確実。どうかご自身の目で確かめて
いただきたい。
<参考文献>
『武満徹・音楽創造への旅』 立花隆 文藝春秋 2016 65P~80P、87P~89P、329P、637P、672P
『日本の音楽家を知るシリーズ 武満徹』小野光子 ヤマハエンターテイメイントホールディングス 2017
[伊福部昭関連書籍]
『伊福部昭の音楽史』 木村与巴仁 春秋社 2014
[早坂文雄関連書籍]
『黒澤明と早坂文雄 風のように侍は』 西村雄一郎 筑摩書房 2005
『日本映画音楽の巨星たち 1』 小林淳 ワイズ出版 2001