流刑囚の映画百物語~番外編『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(’24日)
私流刑囚がその時々で見た映画を紹介するコーナー。今夜ご紹介するのは『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。
本作の5点満点評価は…
コンセプト…2.5点
カメラワーク…3点
ビジュアル…3点
脚本…2.5点
総合評価…2.8点
所謂「ゆとり世代」にとってのガンダムシリーズ代表作と言ったらこれになるんだろうか。兎にも角にも20年ぶりのアニメ続編、劇場版である。
劇場版の製作自体はほぼTVシリーズと並行して発表されていたような記憶がある。しかし製作サイドの諸事情で一旦は企画がお蔵入りのような形になり、数年前くらいから再スタート、という感じではなかっただろうか。
ガンダムSEEDシリーズと筆者個人としての関わりとしては、確か第1シリーズは中学生の時に、第2シリーズ(Destiny)は高校に入ってから始まった。第1シリーズこそリアルタイムで全話見たが、第2シリーズは序盤までは見ていたものの折り返し地点の前で見るのを止めてしまった。
何故見なくなったかと言えば、単純に興味がなかったからだと言える。第1シリーズからしてなんというか昼ドラのような話であり、その時点でやや興ざめというか見ていて羞恥心がくすぐられるような感があった。またもっと極私的な話をするとするならば、実家には居間にしかテレビがなく、尚且つ実家の家族仲もそれほど良くなかったのでその心理的ハードルを越えてまで居間のテレビで見たい番組内容ではなかったということなのだろう。
またTVシリーズの時点で絵柄がそんなに好みでもなく、またそもそも日本のアニメ文化みたいなもの、それ自体にもあまり親しみを持っているわけではないということも挙げられる。要はアニメ・オタクカルチャーみたいなもの全般に距離があるというわけだ。
というわけで前作『Destiny』の大半を見ないまま配信にて本劇場版を見ることになったわけだが、当たり前といえば当たり前なのかもしれないがまずどの勢力とどの勢力が戦ってるのかがわからないのだ。なにせ「確か”ザフト”とかいうのがいたような…」とかそんなレベルの記憶しかないのだから。
またこれも自明すぎる話なのかもしれないが、「あ、ゲルググとかギャンはそのままのネーミングなんだ」とか「シン・アスカは赤いガンダムに乗ってるんだ。じゃあアスラン・ザラは死んだのだろうか?」「量産機もガンダムなんだ」とかそういうところから話を始めなければならない。要はラーメン二郎のオーダーのようなもので前提知識を欠いた人間には極めてハードルが高いということだ。
ストーリー的にはおそらく(見てないから断言することもできないが)TVシリーズ直後くらいから始まっている話なのだろう。つまり長編映画としての独立性はなくこれまでの話を知っていることが前提となっているというわけだ。困った、いよいよわからない。
逆説的にだがしばしば映画に関して語られるところの「映像表現さえ素晴らしければ脚本やストーリーはどうでもいい」というのは全くの嘘だというのがよく分かる。まずストーリーを知らなければ、知ろうという動機づけ(興味)がなければどんな素晴らしい演出も上滑りしてしまう。
ただそういう意味ではこれほどまでに鑑賞ハードルの高い作品がそれなりにヒットをしたということ自体が特筆すべきことであるのも事実だ。「ガンダムSEED」というコンテンツのストーリーを20年経っても把握している人々がかなりのボリュームで存在する。これは影響力の大きさをダイレクトに物語っている。
個人的にはそこそこクオリティの高い普通のアニメとしか思わなかったが、ファンムービーとしては十分合格点なのではないか。たぶん。
ーーー
「流刑囚の映画百物語」では「あなたが批評を読みたい作品」を募集しております。
これまで映画を数千本単位で鑑賞し、過去には映画紹介サイトで連載経験もある私流刑囚がこのページ下「記事をサポート」より2000円以上入金で1000文字以上のボリュームであなたの好きな(もしくは嫌いな)作品を批評いたします。
ただし依頼可能な作品は「ネット配信、レンタルビデオもしくは劇場にて視聴可能なもの」に限定します。
また下記の条件に当てはまる場合、
・有料ネット配信およびレンタル新作料金の場合プラス500円
・アニメ作品およびテレビドラマの劇場版作品の場合プラス500円
・劇場公開作品の場合プラス1500円
の上記追加料金も必要となります。
記事の掲載は入金が確認され次第、翌月中に完了いたします。