【異世界軍記物語】総括のコンジェルトン
第一部 帝国の分裂第六章 勇者の弟
⑥
「なあ知ってるか?ヒルメスのやつ、皇帝直々の命で捕まったんだとさ」
「知ってるさ。アレニアまでわざわざ護送するんだろ?なんですぐ処刑しちまわねえんだろ」
「皇女様を誑かしたとあっちゃ大罪人だぜ。普通ならすぐ八つ裂きだろうになあ」
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パパは何故、ヒルメスをすぐに殺さなかったのだろうか?今思えば、その処刑を躊躇わせるなにかが、ヒルメスにはあったのかもしれない。確かにヒルメスの剣の腕は既に都では知られるところだった、だが、それ以上